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定命の国  作者:
10/19

兆しと共鳴

決行日まで、残り6日。


ユウとソラは、潜伏先を都内の廃ビルに移した。

そこはかつてリベラル系新聞社が入っていたが、数年前に「自主廃刊」していたという。


「本当に、自主だったのかは怪しいけどね」

ソラが皮肉混じりに言う。


彼らは、二人で動くには限界があると判断した。

映像の挿入、塔への潜入、データの保険ルート、陽動──

最低でも4名、できれば5名以上の協力者が必要だ。


「私には、“繋がれる奴”が3人いる」

ソラが口にしたのは、いずれも“制度を憎んだ過去”を持つ若者たちだった。


柊アカリ

祖母の定命処理に立ち会わされ、発狂。医学を捨て、匿名で制度批判を続ける。


葉山セイゴ

“通知ミス”で父親を失う。真相追及中に公安に拘束され、脱走。


遠野カズキ

国家監視AI“オルフェウス”に不正アクセスし、顔認証の抜け道を見つけた天才。


彼らはそれぞれバラバラに行動していたが、ユウの告発動画によって“目覚めていた”。

つまり今、共鳴しはじめていたのだ。



SNSには広がらない。報道にも出ない。

だが人々は確実に「違和感」を覚え始めていた。


「父が突然、通知もなく消えた」


「祖父の“70歳直前の失踪”が誰にも調査されない」


「投稿した制度批判の動画が、5分後に消された」



ある学校では、教師が「定命制度は人道的だ」と講義する中で、

一人の生徒がこう発言した。


「……でも、誰が“死に値する”って決めてるんですか?」


教室に沈黙が流れた。


その瞬間を、監視AIは記録した。

だが同時に、AIの“フィルターロジック”が初めてバグを吐いた。


そのバグは、やがて“感染”を始める。



この物語はフィクションです。

実在の人物・団体・事件などには一切関係ありません。

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