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タ第十一話  赫鎖


光の宮廷ルミエル──

その朝は、まるで死者の息を潜めたように静かだった。


花咲く庭に風は吹かず、白い塔の尖端は雲を切り裂きながら、ひときわ高く、鋭く空を貫いていた。

空に浮かぶ三つの月は完全に重なり、昼であるにもかかわらず薄白い光を地に落としていた。


《ミラザリス軍》が出陣のときを迎える。

戦場は、国境に広がる乾いた丘陵地──かつて交易都市として栄えたサエルの廃墟。

そこへ進軍する三姉妹は、いずれも威厳と魔力を纏い、美しく、そして強かった。


**


ヴァミ・ミラザリスは、父王の愛馬〈フェルノート〉に跨がっていた。

深紅のマントを背に、黒銀の軽鎧が陽光を弾き返す。

腰には未だ封じられた聖剣はなく、代わりに父から譲り受けた模擬剣を帯びている。


彼女の瞳は静かに光っていた──深い緋、闇に沈む前の焔。


「リヴォン、ノン、……必ず戻る。これは誓い。私たちは、三人で帰る」


**


リヴォンは、白の駿馬〈ルシアル〉に乗り、重ねた術式を刻んだ魔法水晶《ミラグラスの瞳》を手に持つ。

青銀の外套が風を孕み、彼女の姿はまるで“静寂の盾”そのものだった。


「敵の術式は複合式。……けれど、崩せないものではない。

今度は私が、姉さんたちを守る」


その言葉は、炎にも冷気にも勝る鋭さを持ち、空気すら切り裂いた。


**


ノンは、栗毛の優駿〈コロナ〉に嬉しげに乗りながら、胸に抱くのは女帝から贈られた銀のブレスレット。

淡い桃のドレスに軽装を重ねたその姿は、兵士たちからは“光の使者”と囁かれる。


「よーし! 怖くないぞー! ね、コロナ、一緒にがんばろ!」


彼女の明るさは、戦地を照らす太陽のようだった。


**


戦の号砲が上がる。

ミラザリス王国》と《サルヴァネス魔導軍》の本格的な衝突が、丘陵の地《サエルの亡都》で始まっていた。《サルヴァネス魔導軍》──黒き旗を掲げた敵軍が、丘を越えてなだれ込む。


空が震える。

火球が落ち、結界が張られ、刃が叫び、血が熱をもって地に染み込む。


リヴォンは即座に前線の魔導障壁を展開し、兵士たちを守る。

ノンは、傷ついた兵たちの心に“静寂”を流し込み、陣の士気を保っていく。


だが──

その時だった。


敵の刺客が、リヴォンの守りをすり抜け、斜面から突進してくる。

黒き霧が立ち込める戦野。

剣戟の音、魔術の火柱、陣の叫び──それらが重なり、戦場はまるで巨大な生き物の鼓動のように脈打っていた。

彼女の水晶が一閃し、空間に“光の壁”が咲くように現れる。

その内側に踏み込もうとした敵兵は、全身を裂かれたように苦悶し、呻きながら崩れ落ちた。


ノンは、兵士の間を駆け、傷ついた者に触れるたび、静かに語りかける。


「泣かないで……あなたの痛み、ぜんぶ、銀色の風にしちゃうから」


ブレスレットが淡く輝き、兵士の表情が次々に和らいでいく。

──その“心の共鳴”は、甘く、温かく、だが時として狂気すら誘う幻のようだった。


そのとき。

敵の刃がノンの頬を裂いた。


鋭利な斧のような魔法の軌道が、空気を裂いて斜めに飛び、咄嗟に避けたノンの白い頬に鮮紅の筋が走った。


「っ……!」


風が止まり、音が消えた。



彼女の頬に、鋭い刃がかすめ、鮮やかな赤が花弁のように散った。


「……っ! ノ、ノンっ!!」


ヴァミの叫びが轟く。


ヴァミは騎馬を降り、重装の兵士たちの前に立つ。

彼女の赤いドレスは戦塵に汚れ、腕には複数の擦過傷が浮かび始めていた。

だが、その眼だけは鋭く冴えわたり、月明かりに猫のような光彩を反射しているヴァミの叫びが轟く。


時間が止まったように、風が凍る。

彼女の胸に、これまでにないほど深い痛みが奔った。


──これは怒りではない。

──哀しみでも、憎しみでもない。


それは、“選ばれた血”の鼓動。

黒猫の記憶が、緋色の魂が、全身を駆け巡った瞬間だった。

落雷に打たれた瞬間アゼル達は笑っていた

「運が悪かったな。あはははははははは!!!お前は・・・・・・?ふわわあああああああ!!!!」

絶二人が涙を流しながらヴァミのもとへ駆け寄り手を握る。


「何をしている妹たち…。私はいいから早く母上を、民を守れ。」

命を迎えるに等しい莫大な稲妻にヴァミはその場に多入れ込んで目から口から吐血した。どんどん足は冷たくなり意識が薄れていくのがなぜか心地よかった。

「お姉さま1人を守れずに国なんか守れるもんか!!」

「そうだよ。大好きな人を守れないならノンちゃんは……ノンちゃんは…」

大粒の涙が零れ落ちては砂煙が今更息を吹き返しヴァミは幻覚を見た                                               

「お父様…私はあなたのように強くなりたかった。」心の声を絞り出すかのように遺言のような弱い声を聴くと天空が音を出して裂けた。

封印された聖剣が、その瞬間、どこからともなくヴァミの手に現れる。

誰も彼女が抜けるとは思っていなかったその剣が、雷鳴のように煌めき、解き放たれる。



「お姉さま!!」


「あ………あれは!!!聖剣!?」 

「打て!姫に渡してなるものか!!!」

アゼルが焦りカデルや兵士ひ叫べどもリヴォンの魔道により混乱を起こしている。

「何をしている!?このザコドモがっ!!」

そこにルフは明らかに怒りを覚えた。雑魚という言葉が気に食わないのだろう。


敵陣は幻覚を見て混乱を起こす。

リヴォンが覚醒した証拠だった。守るべくして使ってきた力は覚醒とともに相手を混乱へ恐怖の幻覚へと導く。

いつのまにかリヴォンの左目は金色に右目はブルートパーズのように閃光を放っていた。

その姿を幼きその目でノンは見つめていた。

「これが覚醒というものなのかな・・・・?」



この時を待っていたかのように傍らのカラスが甲高い声で鳴き封印された聖剣が、その瞬間、どこからともなくヴァミの手に現れる。

誰も彼女が抜けるとは思っていなかったその剣が、雷鳴のように煌めき、解き放たれる

今にも絶滅しそうなヴァミが剣に手を置くと何処からか父の愛用していた香水の香りがした。おぼろげにまだ姉妹がいない、家族三人だったころの遠い昔の記憶が走馬灯のようにめぐる

「母上・・・。父上・・・私は・・・」

剣の冷たさが、温かな思い出が心を満たしたときヴァミは完全に覚醒した。

剣を右手に握りしめる。首から立ち上がり宙を舞う。

その偉業言葉になる者はいなかった。


何度も何度もまるで何かにとりつかれたように宙で日頃の鍛錬をぶっ壊しながら地面に着地しまじまじと聖剣を見れば黒と金と紫の稲妻が輝いている

「ふふふふ・・・・・。こんな時くらい粗削りな虹も私には必要ないってことね・・・・?」

頬に、鋭い刃がかすめ、鮮やかな赤が花弁のように散ったノンの顔を見て美しき高貴な笑顔を向けると

雄叫びを上げながら美しく絹のような髪が逆立つ。

「お姉さま・・・・?」

妹二人は確かに、確かにこの目で姉の覚醒を感じた。

あの冷静な姉が狂気に満ちた。

「──返せ「もう許さない──」」


彼女は低く、獣のように呻くように呟いた。


次の瞬間。

彼女の剣は空気ごと敵陣を裂き、炎の大地を引き裂く。


風が爆ぜ、音が千切れ、彼女の剣が“狂気”に変わった。

優雅で耽美なその動きは、むしろ死神の舞にも似ていた。

我はヴァミ・ミラザリス──

「この手で、すべてを焔の底に沈めてやるわ!!」


彼女は笑った。

その笑みはもはや理性ではなく、狂気に満ちていた。


「おほほほほほほ……ふふ、あははははあッ!!」


戦場が変わった。

彼女の一太刀で大地が裂け、空が砕けた。


リヴォンもまた限界を超えた防御魔法を放ち、

ノンの共鳴が戦士たちの意識を繋いで一つの巨大な意志に変える。



「見せてもらおう、王国の“狂華”を」




ヴァミの視線が揺れる。

その一瞬、刃が止まった。


ノンが涙を流しながら叫ぶ。


「誰も、憎しみのままじゃ終わらないで……!」


だが、敵の指揮官たちは退かぬ。

姫たちは最後の一撃を放った。


三人の髪が風に逆立ち、瞳が発光し、声を揃えて笑った。


「さあ──

この王国を嘲笑ったすべての者たちよ、

死の淵へ沈みなさい!」


狂気と高笑いが谷に木霊し、

炎の爆裂と共に敵軍は瓦解し

「みんな!!!やっちまえ!!!!殺したもん勝ちだ!!!!」

向かってくる兵士はいない


ゼアク、カデル、ルフが天空の中のヴァミを見て卑屈になる


「あれが・・・・覚醒・・・・?」

「女だからと怯んでいたが・・・まさか・・・」

「あれではまるで国王よりバケモノダ」



「当り前じゃない。私は化け猫よ。さ。正々堂々とこの剣の藻屑と消えよ。

滅せよ!!!!!!!腐りきった都よ!!!3人まとめてかかってこい!!!」


三人は見事挑発にのせられ降りてくるヴァミに刃を向けた




「あ!!」

リヴォンが馬車の音に気が付いた。

なんと爺やが馬車を引き心配していた母を、さらにはまた違う馬車で民衆がやってきた。


「皆様」

「お嬢様!!!!」

馬車を止めると女帝は息をのんでいた。

民衆は腰を抜かす者もいれば絶句して立ち尽くす者もいる。

「姫様!!!」

「姫様アブナイ!!!」

そんなことはお構いなしに三人相手に死闘を繰り広げているヴァミは笑いながら戦いを楽しんでいる。

「ゼアク。そんなことでは私を殺せまい。お遊び程度でよくも私に無礼な言葉を・・・・。いや、妹たちに謝れ!」


剣を交える音が心地よかった。

末で静寂な鉄琴とハープの様に。


剣が鋭く閃光する。松明の様に。


リヴォンの防壁が一気に広がり、ノンの元を守る。

ヴァミはそのすべてを理解したうえで、前へと進む。


剣が空を裂けばカデルとルフは腕や足からの大量出血に折れた

「助けて・・・・?私は死にたくない!!」


「ほう。この場に及んで命乞いか??女々しいな。いいとも。助けてやろう。」

「本当か!?」

「もちろんだ。私にだって感情はある。貴様たちにはいろんなことを

いわれ、学んだ。だから」

地に倒れこんでいる二人を横目に

二人に地面に座れるなら。と手を貸した。


「せめて・・・せめて苦しまずに逝くといい。」


「ぐあああああああああ!!!!

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ!!!」

ヴァミは高らかに笑いながら父上の仇と叫び二人まとめて首をはねた。

「比喩だと思うなら覆えばいい。喧嘩を吹きかけてきたのはそっちだ。」






血飛沫のシャワーは姫の顔もドレスも汚濁した。


「よし、次は・・・・?」

ヴァミが振り返ると妹たちがゼアクの目をくり抜き覚醒による力で心臓を抉り出した。

「二人ともやるわね。」

「お姉さま。脳みそがまだ残っておりますがいかかがいたしましょうか?」

「うーんそうですね・・・・。私の力で偽物の記憶を植え付けておきましょう」

呪文を唱えると目と心臓がないというにやめてくれ許してくれと命乞いをする。


「へー人間って実は心臓なくても話せるんだ??便利だね。」

楽しそうにゼアクの両眼をビー玉の様に転がして遊ぶノンに確かな覚醒を感じた。

まだ10歳のノンは覚醒に気づいていないようだ。


「ぐああああああああああああああああああああああああ!!!!やめてくれ!!!!」

昔のトラウマや恐怖で狂い暴れている」

「ほっといたら死ぬかな??」

10歳らしい酷な言葉であった


血を吸いすぎた聖剣の切っ先に血が滴る。

コツコツとヴァミが歩み寄る。


「なんてこと!!」

女帝の見た景色に市民や爺やが言葉を失った。


見てば空はマゼンダ色。白い新月や満月、月食が並ぶ各青ざめた月が昇っている。

先ほどの黒いカラスがヴァミの肩に乗っている。

カラスが湯気の立ち込めたゼクアの心臓を美味しそうに丸呑みした


「このままでは生き返るかもしれん。敵情の敵に情けは無用」

ヴァミは目を見開き脳みそを指して出した。それをカラスに食べさると笑った。

「元気でいろよ。いや、いつまでも彼の世でもお元気で。大丈夫です。何があっても三人の力で国を、民を守ります。

私なりにこれからも鍛錬を続けてまいります。」

カラスが飛び立った一滴の涙をこぼして。


「ありがとう。お父様。」




敵陣を抹殺した快感に溺れる間もなく


──戦いは、終わった。





帰還の馬車の中、三姉妹は静かに横に並んでいた。

ノンは傷に包帯を巻かれながら、眠っている。

ヴァミの手はまだ微かに震えていた。

リヴォンの眼差しは、遥か先──国の未来を見つめていた。


「……これが、私たちの役目だったんだね」


ヴァミが静かに呟くと、リヴォンが答えた。


「まだ……“始まり”よ。

あなたが聖剣を抜いたということは、まだ“何か”が残っている」


「うん。でも、大丈夫。

私たち、三人でいれば──何だって超えられるから」


ノンが目を開き、微笑んだ。


「ケーキ、冷めちゃったね」


三人はその瞬間だけ、いつもの姉妹に戻った。


**


光の宮廷──

女帝アミルネアは、城のバルコニーから遠くを見つめながら、微笑んでいた。




そしてその足元、影に紛れた“もう一つの月”が、ゆっくりと浮かびあがる。




ここまでお読みいただきありがとうございました。初めて投稿させていただきました。

個人的な話を含みますので聞きたくない方はスルーしてください。


私は脊椎側弯症、双極性障害、摂食障害、腎臓病、胃腸に持病があります。

通院がひどく遠い場所だったり死ぬまで治らない病気が多くストレスも感じており自〇したことも何回もあります。

けどどうしても〇なないんです。何度も何度もやったけど成功しませんでした。


まだやり残したこと、小さなころからの小説家。ひょんなことからっこに参加させていただきました。



私の書き方はどちらかというと背景描写か人物の動きに偏ることがよくあります。

それは読者様の想像力をつぶしたくないからです。

だからかけているような描き方をしておりますので読者様がどんどん想像していいんです!

(読者様がいらっしゃるかわかりませんが。)

これからも病と闘いながら何か皆様の楽しみであったり面白い作品を作って参りたいと思います!

夢は大きく書籍化。です。

それでは次回のお話でもお会いしましょう!!ありがとうございました!

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