93,討伐
剣を弾きとばされ膝を付く魔王様と、魔王様に隙無く剣を向けるビクター様。
ゲームと立場が逆だ。
ここで、ビクター様が勝つなんてシナリオ、どのパターンでも無かった。
嘘でしょう。
どうして…。
「ソフィア。もう大丈夫だから、先生方を呼んできてもらえるか」
ビクター様は、落ち着いた声で言った。
「…え」
「この不審者を、俺とティファニーで見て…ら、君は先生に報告…城…騎士団を…」
ビクター様の言葉が頭に入ってこない。
不審者。
城…騎士団…。
うつ向いたまま、魔王様は微動だにしない。
何が起こっているのだろう。
だって、魔王様は魔法が使えるのに。
私がちゃんと悪役令嬢を演じられなかったから、シナリオが歪んでしまったの?
「…ごめんなさい」
「ソフィア様?」
私は、ずっと大事に持っていた魔法石をティファニーちゃんに渡した。
「私、先生を呼びには行きません」
落ちていた魔王様の剣を拾い上げる。
ずっしりと重たくて、両手でなんとか持ち上げられた。
「ソフィア?」
私があまりにもふらふらだからか、ビクター様は私が剣を持って歩いても、戸惑うだけで止めなかった。
私は二人が油断している隙に、魔王様とビクター様の間に立つ。
「この方を討伐なんて、させません」




