92,対決2
ゲームでの、時計塔の機械室の中での動きを思い出す。
ビクター様は、魔王様に負ける。
キンッ、と金属がぶつかる音が響く。
狭い時計塔の中で、二人は時計の歯車にぶつからないように器用に戦っていた。
あまり激しい戦いはしなかった。
ビクター様は、さっきと同じように剣をとばされ膝をつくけど、大怪我はしない。
ビクター様に止めを指そうとするとき、ティファニーちゃんが間に入るのだ。
そっとティファニーちゃんを見ると、ティファニーちゃんもまた逃げようとはせず、心配そうにビクター様を見ていた。
なにかあったら、直ぐにでも助けに行く。
そんな決意が見て取れる。
だから、大丈夫。
怖がることはない。
本当は、聞き慣れない剣と剣が激しく打ち合う音が怖くてたまらない。
練習じゃない。少しでも油断すれば、簡単に傷を負う、命がけの戦い。
魔法石を持つ手が震えるけど、私は、私に言い聞かせた。
シナリオ通りに進んでいるんだから、大丈夫。
剣がぶつかる大きな音がして、私は、思わず目を閉じた。
直後に、くぐもった呻く声とどさっと重たいものが倒れる音。
真剣勝負が終わった。
目を開けるとビクター様が、倒れた魔王様に剣を向けていた。




