表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢ですが、シナリオを順守することに決めました  作者: 飴屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/108

84,掃除中

エリックは、時計塔の近くの校舎の二階で掃除をしていた。


ここなら、時計塔がよく見える。


『大雪が降った次の日の朝、もしもワンコ先輩とハーリィとマックス。あとマナック・メーテルリンクが時計塔の近くにいたら、止めてほしい』


そのソフィアの願いを叶えるためだ。


おそらくは、今日がその日。

しんしんと雪が積もった。

もう少ししたら、雪かきをする必要があるだろう。



雪の勢いが収まったころ、時計塔に二人の男女がやって来た。

モーリス・コリンズとリンジー・コストナー。

ハンカチが飛ばされたらしく、困ったように見上げている。

窓を開けて様子をうかがっていると、声がした。


王子とアンブローズだ。


鍵、と聞こえたから、時計塔の鍵を探しに行ったのかもしれない。


二人が足早に去っていく。


大体は、ソフィアの話通りだ。

自分の役目は、もうすぐ終わる。


「しかし…」


時計塔に来るのは、王子とアンブローズ二人だけだったはずだ。

それなのになぜか、よく見慣れた銀髪の女子生徒の姿がある。


ソフィアの性格からして、気が変わったというのは考えにくい。


…何か異変が起こったか。

それとも、うっかり失敗したか。


今にも泣き出しそうな、ソフィアの顔が浮かぶ。


助けに行こうと、窓を閉めたときだった。


「おはようございます」


廊下の向こうから生徒が二人、やって来た。


「おはようございます」


なるべくにこやかに挨拶を返す。

早めに教室に来る生徒はいる。

静かな教室で予習復習をしたい生徒や恋人同士の生徒。


しかし、目の前にいるのは、ハーリィとクレアだ。


時計塔のそばではないが、この二人が時計塔の前にいる人物に気がついたら、直ぐにそちらに向かってしまうだろう。


これは、まずいな。


考えるエリックに、なぜか立ち去らない二人は言った。


「いつも掃除をしてくれて、ありがとうございます」

「いえ」

「今も掃除中ですか?」

「? えぇ」


ほうきを持っているのに、なぜそんなことを聞くのか。


首を傾げるとハーリィは笑った。


「本当は、誰かと待ち合わせをしているんじゃないのか?」

「?」


なんの話だろう。

時計塔を気にしつつ、二人の様子を伺う。


「…この学校のなかに、不審者がいるかもしれないと、生徒会長が調べていたんだ。俺たちはその手伝いをしている」

「不審者、ですか?」


ハーリィはクレアを自分の後ろに隠すようにして立った。


「あぁ。そいつが公爵令嬢を脅して、公爵家をおとしめようとしているんじゃないかって」

「…」


時計塔を見る。

相変わらず三人でいるようだ。


それで、ソフィアがあの二人に同行しているのか。


何かおかしな方向ではあるが、ソフィアの策略がどこかで露見したのだろう。


「…俺は、ただの用務員ですよ」


そう答えると、クレアが紙を取り出した。


「失礼ですが、お名前を教えていただけますか?」

「エリック・スミス」


その名を聞いて、紙を見る。


「…名簿にないわ」

「この学校の住み込みの人間の名簿一覧にないってことは、…やっぱり、侵入者なのか」


ハーリィの疑いの目が、濃くなった。


「おかしいな。あるはずですよ」


そう、間違いなくあるはずだ。

落ち着いた声で言うと、クレアが小さく声をあげた。


「あ、あった!」

「どれ。…本当だ。エリック・スミス。…時計塔管理人…?」


鐘が鳴り響いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ