83,時計塔が開くとき
ティファニーちゃんが、時計塔の扉に手を掛けた。
その瞬間、カチャリと小さな音が聞こえた。
「えっ…」
恐る恐る扉を押す。
「開いた…」
ティファニーちゃんは困ったような顔をしてこちらを振り返った。
ギィィっと、軋む効果音と共に、扉が薄く開いた。
「開いてしまいました…」
「…あぁ。そうだな」
ビクター様も予想外だったんだろう。
ティファニーちゃんと同じように、戸惑っている。
「中に入っても良いでしょうか…」
ここにいるのは、とても真面目な二人だ。
だから、先生の許可なく見知らぬところには入らない。
でも。
私は、そっと扉から離れた。
そして、ゲームと同じタイミングで雪の降る勢いが増した。
雪混じりの風が髪を揺らす。
「!」
見上げると、ハンカチに雪が積もり始めていた。風のせいか、それとも雪のせいで重みが増したのか、ハンカチが少ししんなりとしてくる。
ハンカチの端がひらひらと揺れた。
「すみません。直ぐに戻って来ます!」
ティファニーちゃんは、そう言うと、扉を開けて時計塔の中に入った。
「待て!」
ビクター様が慌てたように、ティファニーちゃんに呼び掛ける。
ビクター様もティファニーちゃんを追って中へ。
その瞬間、鐘が鳴り響く。




