75,二つ目のチョコレート
アンブローズと王子は帰っていった。
そして再び、教室内は静寂に包まれる。
「…」
二人が校舎から出ていくのを待って、エリックは隠した箱を取り出した。
二つ目のチョコレートを口に入れて、送り主のことを思う。
ソフィアは、「推し」が魔王だと見破られて驚いていたが、分かりやすすぎだ、と思う。
様付けも、他の攻略対象者への態度ももちろんそうだが、しかし一番の決めては違った。
彼女はいつも、「救う」とか「守る」としか言わなかったから。
国を滅亡させる魔王にたいして、「倒す」とはほとんど言わなかったのだ。
たまに似たようなことを口にはしたが、いつも悲しげだった。
だから、ソフィアは魔王のことが一番好きなのだと気付いた。
国を守るため、魔王を討伐しなければいけないことに罪悪感を持っている。
だから、国外追放を望んだのだろう。と、思う。
アンブローズだけではなく、見捨てるしかなかった、かつての推しへの贖罪のために。
魔王が討伐されて、きっと彼女は一人泣くだろう。
それなのに、追い打ちを掛けるように婚約者から断罪されて、婚約を破棄される。
真実を知って慰めるものは、誰もいない。
とても優しい子だから、友人になってやってほしい。
本当は、アンブローズにそう言いたかった。
みんなを救ってくれると言うのなら、どうか彼女も。




