63,ティファニーちゃんを探せ!
ダンスを踊った後は、ビクター様は生徒会長のお仕事に戻った。
舞踏会で生徒会長としての役目とは?
そう思ったけど、初心者だらけの舞踏会。
色々アクシデントが起こるらしい。
慣れない靴で足を痛めた、パートナーと会えない、等々。
もちろん先生方や、軽食を用意してくれてるスタッフの人もいるけれど、生徒との仲介者は必要らしい。
クレアたちと軽くおしゃべりした後、私は行動に移した。
まずは、ビクター様とティファニーちゃんが話している現場を押さえる!
仲良く話しているところを見かけて、嫉妬に駈られたソフィアはティファニーちゃんを追いかけて、側にあった赤ワインをぶちまけるのだ。
だから、まずは二人がいるところを見かけないといけないんだけど…。
「どこ…?」
広い舞踏会の会場の中は、着飾った生徒たちでいっぱいだった。
特にドレス!
ふわりと裾が広がっているから、幅をとる。簡単に背後の人を隠せてしまうのだった…。
…今まで、ゲーム通りに進んでいた。
特に注文をつけなくても、自然にゲームと同じドレスが仕上がったし、ビクター様の行動もスチルと同じだった。
だから私がソフィアらしく動けば、ティファニーちゃんとビクター様が話しているところに、偶然居合わせることになると思っていたのに…。
緊張してたからか、私はティファニーちゃんを見つけることが出来なかった。
時間的にはそろそろなはず。
先にビクター様のところで張って待ってる?
「…」
私は自分のドレスを見た。
真っ赤なドレスは遠目にもはっきりと見える、目立つ物。おまけに、他の人のドレスよりも布地がたっぷり使ってあるから、誰かの影に隠れてもはみ出す可能性大。
この舞踏会の中で、私を探すのが一番簡単だろう。
つまりは、ビクター様の側に私がいると、ティファニーちゃんは直ぐ気付いて、怖がって近寄って来ない。
それだと、ティファニーちゃんはビクター様と踊れないわけで…!
どうしよう。
焦れば焦るほど 、良い案が思い付かない。
「…?」
悩んでいると突然、側に飾ってあった花瓶の百合が揺れた。風に吹かれたかのように、さわさわと揺れ動く。風は、そっと私の右頬を撫でるように吹くと、そのままふわりと吹いて行く。
右…。
風は見えないけど、吹いた感覚と少しだけ垂らしていた髪の動きで、室内にも関わらず吹いた風は、右の方へと向かったと分かった。
右にそっと目を向けると、白いドレスの裾が見えた。
「!」
私は、急いで曲がり角まで戻り、身を隠す。なにも知らないティファニーちゃんは、私の前を通りすぎて、ビクター様の元へと向かった。
「…」
今の風は…。
風の発生源を探すも、特に異変は見つからない。
上の階かな。
吹き抜けの場所だから、上からかも。
直ぐ側の階段を登り掛けて、思いとどまる。
今の風を無駄にしちゃだめ。
私は、そっとティファニーちゃんの後を追った。




