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悪役令嬢ですが、シナリオを順守することに決めました  作者: 飴屋


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56/88

55,分岐点

「…ティファニー、今日も図書室?」

「うん。調べたいことがあって」

「そっかぁ」


教室で、そんな声が聞こえてきて、私は気付いた。


ティファニーちゃん、ルートから少しずれてる…!?


誕生日の贈り物をもらってからのティファニーちゃんには、選択肢がいくつかあった。


今まで以上に、勉強や友情を深めることに力を注ぐか否か。


真面目なティファニーちゃん。

みんなの期待に応えるべく頑張る。


…じゃ、駄目なんだ…。


生徒会のお仕事や、理科部の手伝い、ハーリィやマックス、リンジーたちとのお茶会。

それらに力を入れてはいけない。

彼らとの仲を深めるのに時間を使うのが、今までの正解だったけど、今回は違う。


舞踏会の準備をしなくてはっ!


ダンスとは無縁の生活を送ってきたティファニーちゃんは、もちろんダンスを踊れない。

ダンスの授業では、パートナー役の男子生徒の足を何度も踏んでいた。

優しい生徒だったので、許してもらえたけど、ティファニーちゃんには苦手意識がしっかりと植え付けられてしまい…。


実践形式の試験でなんとか合格すると、それ以降は練習しなくなってしまったようだ。


ティファニーちゃんとしては、ダンスが必要な人生を送るとは考えてもいないので、これ以上練習する必要はない、と思っているんだろう。


年末の舞踏会も、ただ参加するだけのつもりのようだ。


でも、それでは駄目なんだ…!


空き教室で、掃除の時間の裏庭で、早朝の渡り廊下で、せっせっと練習しなければ、舞踏会でビクター様とダンスは踊れない。


イベントが起こらない。

ただ、悪役令嬢にドレスを汚されて、泣きながら自室に戻るだけになってしまう。


何度も言う。絶対に駄目!!


「ソフィア様? どうされましたか?」


私が難しい顔をしていたからか、クレアが心配そうに聞いてくれた。


「…何でもないわ」


…ティファニーちゃんと友だちなら、一緒に練習しよう、って誘えるけれどなぁ。


でも、そもそもダンスには、相手役の男の子が必要。

初心者なら音楽も欲しい。


なかなか、ハードルが高いのだ…。


…ビクター様なら、初心者の子でも上手くリードして踊ってくれるだろうけどなぁ。

足を踏んだ経験から、ティファニーちゃんが遠慮してしまうだろう。

ティファニーちゃんが踊りたくなるように仕向けなくてはならない。


「…」


帰りの支度をしながら、考える。

ダンス…。





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