105,バッドエンド
エリックが魔力を解放した。
ビリビリと空気が揺れる。
小さな風が吹き、だんだんと大きくなっていく。
時計塔のレンガもあと少しで、きっと耐えられなくなって崩れてしまう。
ティファニーちゃんは、吹き荒れる風によろけながらも、エリックの前に立ちはだかった。
「やめてください!! これ以上、壊さないで!」
ティファニーちゃんの悲痛な叫びが響いた。
それは、魔王様が討伐されるルートの光景と同じだった。
だから、この後のことは見る前に分かってしまう。
ティファニーちゃんの制止にも構うこと無く、魔王様は魔法を使った。
時計の歯車がどんどんと壊されていく。
やがて壁に一筋のヒビが入った。
「あっ!」
ヒビは大きくなり、ティファニーちゃんとビクター様の床まで届く。
時計塔の封印の崩壊まであと少し。
魔王様は嬉しそうに笑い、その笑顔を見たティファニーちゃんは一つの決断を下す。
「させません!」
その目に宿るのは、小さな怒り。
ティファニーちゃんは、みんなの贈り物の魔法石のネックレスの力を解放させた。
持っていた魔王様の魔法石の力も加わって、ティファニーちゃんの力は最大限。
七色の光が溢れだし、崩れそうだった時計塔も、倒れて動けなかったビクター様も癒した。
救国の乙女の力が覚醒したティファニーちゃんは、その力を使って、傷付き壊れたもの全てを癒し治したのだ。
そして光が収まったとき、魔王様の姿はどこにもなかった。
この後そんなことが起こるなんて、見たくない。
「エリック…」
涙が溢れる。
息ができないくらいに。苦しい。




