103,魔王復活
「もう一つ。…ソフィアと出会ったのは、偶然だったのか?」
ビクター様の問いに、エリックは頷いた。
「あぁ。たまに一人になれる場所を探して、迷子になる生徒がいるから、その類いのことかと思ったんだ。…あの行方不明になった生徒みたいにな。特に今年は高位貴族が多く、一般枠もあるって言う、異例の年だって聞いたから。学校に馴染めない生徒も多いだろうと」
「そうか…」
…今までのことを思い出す。
「本当にエリックは、ずっと用務員さんでいてくれてた…」
この『物語』の鍵は、ティファニーちゃんだ。
それを知ってもエリックは、私の手助けをしてくれていた。
「…まぁな。ソフィアは一生懸命だし、一応、国が滅びるかも知れないと聞かされれば」
あぁ。そうだ。
この優しい人は、国の滅亡を望んでいなかったのだ。
「さて、本当にそろそろ良いだろう。俺をここから出してくれ。…それとも、自分で出ていくか?」
エリックの目が暗く輝いた。
それはゲームの中で国を滅亡させる、魔王様と同じ顔だった。
機械室に風が起こる。
「パトリシアの封印は強力だが、元の体を取り戻せた今、この時計塔ごと破壊すればなんとか外に出られるだろう」
そう言うと、ティファニーちゃんの持っている魔法石をチラリと見た。
「俺に国を滅亡させる理由はないが、俺の魔力を最大限に発動させたとき、その魔法石も連動して暴発したら、…確かに被害は大きいかもな」
「本物の魔王に?」
「…再び封印されるのはごめんだ。あんたたちに討伐の意志が無いのなら…」
「…討伐が望みか?」
「解放って言ってくれ。もう長すぎるくらいだ。このまま魔王として、また魔力を狙われるのもうんざりだ。折角、ソフィアを見習ってシナリオ通りに魔王を演じたのに、見破られるとか…」
私は息を飲んだ。
朧気だったバッドエンドが一気に鮮明になる。




