枕と、騒がしい朝
翌朝――
ガチャァンッ!!!
「おいレイガァァァァァァ!!!」
部屋の扉が、あり得ない勢いで開け放たれた。
「……うるせぇな、朝から……」
眠れぬ夜を過ごしたレイガが、ソファでぼさぼさ頭のまま起き上がる。
その隣には、ふにゃっと寝ぼけ顔のミコトが、まだ枕を抱いたまま。
「お前なにしてんだよ!? ていうかミコト!?マジでいるし!!」
カナトは血相を変えて、レイガを指さす。
「部下に聞いたぞ!? “昨夜、ミコト様がレイガ様の部屋にお入りになったまま……”って!!!」
「……ああ。そうだけど?」
「いや“そうだけど?”じゃねぇよぉぉおおおおおお!!!」
「なに!?抜け駆け!? ってか、なに!?俺が3ヶ月前にミコト攫われた件で反省してるの知っててそれ!?!?!?」
「落ち着けカナト、ミコトが起き――」
「おはよう……って、なに、この騒ぎ……?」
ミコトがむくりと顔を出す。
「…………」
カナト、フリーズ。
「……まって、まって、まって」
「枕抱えて、寝起き……あれガチで泊まったやつ……???」
「いや、違うんだよ」レイガが口を開こうとしたが、
「いや違わねぇよ!!!くそ、俺の大事な大事な嫁候補があああああ!!」
「……え?…カナトどうしたの?」
「っ……い、いや……ちがっ、いや……あ゛ぁぁぁぁあああっ!!」
「おい。朝からうるさい黙ってろ」
「くそ野郎ォォォ!!」