逃げ場なし! 迫りくる愛の拷問
目の前には、異世界の姫・セリス。そして彼女の両脇には、侍女たちが微笑みながら控えている。
「さあ、カイ。私の愛を受け取る準備はできた?」
セリスは嬉しそうに微笑みながら、俺の手を取ろうとする。その手はしっとりとしていて柔らかい……が、問題はその先だ。
俺はなんとか逃げようと、ベッドの上でじりじりと後ずさる。しかし、扉の前には騎士たちが立ちはだかり、窓の外は高い城壁に囲まれていた。完全に逃げ場なし。
「なあ、セリス。本当に痛みが愛の証だって信じてるのか?」
「ええ、もちろんよ。あなたに愛を証明するには、心と身体の両方に深く刻まれるものでなければいけないの」
ぞっとするような笑顔だった。
「いやいや、俺の世界じゃ愛ってのは、もっと穏やかで優しいもんなんだ! 言葉や行動、支え合う気持ちとか、そういうもので表すんだよ!」
「そういう愛も悪くないわね。でも、それだけじゃ本物とは言えないわ」
「なんでだよ!?」
「だって、愛しているのなら、お互いを強く感じたいでしょう? 痛みこそが、私たちを繋ぐものなの」
「おかしい!! 絶対におかしいぞ!!」
俺は全力で否定したが、セリスの信念は揺るがなかった。
「では、まずは少しずつ始めましょう」
セリスが手を叩くと、侍女たちが黒い布を持って近づいてきた。俺は即座に飛び上がり、逃げようとしたが、騎士たちが素早く動き、がっしりと両腕を押さえつけた。
「お、おい! やめろ!! 話せ!!」
「大丈夫よ、カイ。最初は軽いものから試しましょう」
そう言いながら、セリスは優雅に黒布を手に取り、俺の目の前に広げた。そこには、恐ろしくも精巧に作られた拷問具の数々が並んでいた。
「な、なんでこんなに種類があるんだよ……!?」
「これは愛のための道具よ。ほら、これは手首を軽く締める拘束具。少しの圧力を感じることで、お互いのつながりを確かめられるの」
「そんな繋がりいらねえ!!」
「じゃあ、これはどう?」
セリスが手に取ったのは、見た目はただの筆のようなものだった。
「え? それは……?」
「これは愛撫の拷問よ。体をくすぐることで、快楽と苦痛の境界を曖昧にするの」
「おい、それただのくすぐりじゃねえか!」
「違うわ、これは高度な技術を要するものなの。さあ、試してみましょう!」
「やめろおおお! くすぐりはダメだ、俺はくすぐりに弱いんだ!!」
俺は必死に身をよじるが、騎士たちにしっかりと押さえつけられてしまう。
「まずは脇腹から……ふふっ」
「やめろ、ひぃぃぃ!! ああっ、ダメだってば!!」
涙目になりながら、俺は必死に逃げようとするが、セリスはまるで楽しんでいるかのように微笑んでいる。
「くすぐりに弱いのね。じゃあ、ここはどうかしら?」
「足の裏はやめろぉぉぉぉ!!!」
拷問という名の愛の儀式が、俺をどこまでも追い詰めるのだった……。