束の間の安らぎ
次の日、早速ジョンヨン殿下とのお茶会を開催。
嫌なことは甘いものを食べて忘れよう!
がコンセプトになっている。
嫌なことは言わずもがな。
リリアはお茶会で食すスイーツを作る事にした。
お互いの好きなスイーツをリクエストして食べよう!
と約束したからだ。
厨房でパティシエさんには承諾済み。
アイコンタクトで彼らは厨房を離れた。
「私がジョンヨンに美味しいスイーツを作って、驚かせましょう!」
リリアはやる気十分!気合い十分!
でスイーツ作りに取り掛かった。
ジョンヨンの好きなお菓子は、フルーツタルトだ。
リリアの好きなお菓子はスポンジケーキ。
フルーツを沢山用意してもらったので、スポンジケーキもフルーツたっぷりにしようと決めた。
そして、手際よく作り、お茶会の時間になった。
「ジョンヨン、喜んでくれるかな?」
リリアは浮き足立つ気持ちで、ご機嫌にスキップしている。
温室に到着!
ジョンヨンは先に待っていた。
もちろん、メイドさん達や庭師のジャディさんも。
「皆さん、お待たせ致しました!リリア特製フルーツたっぷりのケーキとタルトです!どうぞお召し上がり下さい。」
そう言いながら、ケーキとタルトを配っていく。
周りはポカーンとしている。
リリアがお菓子を作るとは誰も思わなかった。
「リリアはまだ子どもなのに、こんなに美味しそうなお菓子を作れるなんて、素晴らしいね!僕の好きなスイーツも覚えててくれて嬉しいよ!いただきます。」
ジョンヨンはリリアの作ったタルトを一口食べた。
「うーん!とっても美味しいよ!気持ちがたくさん込められているから、とっても美味しいんだね!」
「良かった!1番の自信作だよ。」
メイドさん達やジャディさんも美味しい!
とケーキやタルトに舌鼓を打つ。
何でもない平和な時間が愛おしい。
ここで本題に移る。
「皆さん、私リリアは正式に第1王子のジョナサンと婚約を致しました。明日から、王妃教育が始まります。もうこのような時間を取ることが難しいと思われます。本当に親切にしてくださりありがとうございます。もし見かけたらお声がけ下さいね!王妃教育を受けるため、婚約者お披露目会までの間、王城から出ることも学院に通うことも出来ません。外のお話聞かせてくださいね。」
今日で自由な時間は終わる。
王妃教育は厳しいもので、前王妃も10年間耐えたとか…。
メイドやジャディさんは
ぜひお声がけ致します!
美味しい城下町のお菓子を差し入れしますね!
私も城下町の美味しい料理差し入れします!
わしは育てたお花をお部屋に差し入れします。
などなど、皆さん差し入れをする気満々だ。
「僕は、リリアと一緒に教育を受けるよ!父上に頼んでみる。リリア1人だと心細いよね。勉強は何処でも出来るから。」
ジョンヨンはそう言って、国王に直談判しに行った。
「ジョンヨン殿下が婚約者なら良かったですのにね…兄に横取りされちゃって…。」
「ジョンヨン殿下は健気で応援したくなるお方…次期国王の座に相応しい事は、国王陛下も認めてるという話ですよ。」
メイド達はあまりにもジョンヨンが気の毒過ぎて、王城の全メイド・執事がジョンヨン派と言っても過言ではない。
それだけジョンヨンは物腰柔らかく、心優しい人間なのだ。
ジョンヨンは戻ってこず、お茶会はお開きとなったのである。