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没落皇子と異世界の姫  作者: 九条ましろ
第一章 祖父の形見のペンダント
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祖父の過去

パーティーはジョナサンのせいでめちゃくちゃになったので、ここぞとばかりにリリアは抜け出すことにした。

どのみち主役がいようがいまいが関係なさそうだ。

昼間なので、まだ陽も高い位置にある。


「そうだ、薔薇が見頃と聞いたから、庭園の方に行ってみようかしら。」


お天気も良いので、庭園に行くことにした。


庭園に着くと、色とりどりの薔薇が咲いていた。

一面薔薇…。

なんという眼福でしょう。

ジャディさんが心をこめて育てているのが、わかる育ち具合だ。


「綺麗…さっきの馬鹿げた話が飛んでいくようだわ。あっ、あそこのベンチに座りましょう♪」

とりあえず、ベンチに座って休憩しながら薔薇を愛でることにした。


「いやぁ…ここの庭園の薔薇は昔から変らないのぅ。」


隣のベンチに老人男性が、リリアと同じく座って休憩していた。

見た目は、この国の王族と似ていて、レアな年齢は80代くらいだ。


「昔から…?よくここにいらっしゃるのですか?」

リリアは老人男性に尋ねる。


「実はじゃが、私は君のお祖父さんの2番目の兄のジョセフと申す。よくここでジョシュアと追いかけっこして、父上や母上、城の者に怒られていたのだ。ジョシュアは活発でな、発明品もよく作っていた。」

そのリリアのお祖父さんの兄を名乗る老人男性は、遠い目をしながらポツポツ話し出した。


「私と上の兄は発明品を作れないから、感心していたのじゃ。まさか最後は発明品で時空を超えるとは。私も驚いた。国王陛下の父である兄も突然消えたので、暫くは国内外を探し回るほどじゃった。」


「祖父は私の住んでいる世界でも、よく発明品を作って家族を驚かせていました。いつまでも好奇心旺盛でしたね。」


祖父の発明品にどれほどの人々が救われたのだろうか。

思い返してみると、平和主義者なのか人々に喜んでもらえる物しか発明していなかった。


「それにしても、長生きをするものじゃな。ジョシュアの孫娘に会えるとは…本当に良かった。彼が生きていたという証拠にもなる。」


リリアを見つめる目は祖父そのもの。

兄弟だからなのか、とても似ている。


「私も祖父のご兄弟にお会いできて嬉しく思っております。お声がけありがとうございます。」

と微笑んだ。

その笑顔はまるでジョシュアの様にも見えたそうだ。

ジョセフは血の濃さを体感したのである。


「リリアさんは、ジョシュアに似ている。見た目だけじゃなく、性格まで。争い事が嫌で、王位継承権も早々に手放した。優しすぎるから、さぞかしこの世界は生き難い事だったろう。所でどうやってここにきたのかのぅ?」

ジョセフはリリアがジョシュアの孫という事は認識していたが、どうやってフェリカ王国にきたのかは知らなかったようだ。

リリアは例のロケットペンダントを見せた。


「祖父が亡くなった時遺言書がありまして、私が祖父の血を濃く受け継いだという理由でこのロケットペンダントを譲り受けました。どうぞ、中をご覧ください。」

と言ってペンダントの蓋を開けた。

ジョセフが覗き込んでみると…。


「これは…!間違いなく若き日の我が家族じゃな…。父上が国王に即位した時の写真じゃ。ジョシュア…この写真を大事にしていたのか。」

ジョセフの目が少し潤んでいた。

ジョシュアは異世界に行ってみたいと言って消えても、この家族写真は手放さず持っていたという証拠になる。


「祖父は亡くなるまで、このペンダントを肌身離さず、誰にも触らせないようにしていましたよ。この思い出は自分の中に閉まっておいたのですね。そして、私をここに飛ばしてもきちんと孫という証拠を見せるために、このペンダントを選んだのだと思います。」


「そうかも知らんのぅ。リリアさん、ありがとう。ジョシュアが決してフェリカ王国を見捨てた訳じゃないということがよくわかったよ。これからは私をお祖父さんと思って接してくれると嬉しいのぅ。」


「それは安心しました。祖父も今頃驚いてるはずです。想定していた時期より早くこちらにきてしまったのですからね。それでは、ジョセフさんは第3のお祖父様ですね!」


「そうじゃ、遠慮なくいつでも頼ってくれると嬉しいのぅ。」

とちょび髭を触って照れ笑いをした。

ふふっと2人で笑い合う。

そんな穏やかな時間が過ぎた頃、バタバタとこちらに向かってくる足音が……。

何事かと見やると、あのバ…いやジョナサン殿下で…

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