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没落皇子と異世界の姫  作者: 九条ましろ
第一章 祖父の形見のペンダント
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10年前の記憶

10年前…

リリアが突然この国にやってきた時の事は、よく覚えている。


肩まで伸びた金髪ストレート。

瞳はエメラルド色の海のよう。

間違いなくフェリカ王国の王族と同じ見た目である。

最初に発見したのは、ジョンヨンだった。

道端でウロウロしていて、危ないと思ったからだ。


「ねぇ、もしかして迷子?」


ジョンヨンはなるべく優しく声を掛けた。


「え…あなたは誰?」


その綺麗なエメラルドグリーンの瞳が不安そうに目を伏せながら、ジョンヨンの方に振り向いた。

少しプルプル震えていて、小動物の様にも見える。


「僕は、この国の第2王子のジョンヨンだよ。この国は国民と王族は仲良く暮らしているから、この様に1人で歩いても大丈夫なんだ。」


ニコッと微笑んで見せた。

少しでも恐怖心を拭いたかったからだ。


「そうなんだ。良い国なのね。私の住んでいた国は偉い人は皆んな護衛付きだったし、1人で歩いてもいなくても、狙われる所だよ。」


リリアは感心した様に、ポツポツ話した。


「君は別の国から来たんだね。それはさぞかし怖かったよね。」


よく1人で泣かずに居たね。

とジョンヨンはリリアを励ましていた所…


「ジョンヨン様!その女子はどの様な身元で?」


と急に護衛の1人が2人の間に割って入ってきた。

護衛の仕事を全うしている。


「あぁ、彼女は先程知り合った子だよ。初めてこの国に来たから、どこに行ったら良いのかわからないんだって。」


ジョンヨンは誤解されない様に説明をするが、突然知り合ったのは怪しい!

という事になり、リリアは王城に連行される事になってしまった。


「えっ、私これからどうなるの?」


更に不安が増していくばかり。

目には涙が溢れるのを我慢している。


「せめて、僕も彼女の第1発見者という事で、同行させて頂きたい。」


ジョンヨンはリリアを1人で連行させまいと、最もな意見を言った。


「承知いたしました。ジョンヨン様にもご同行願います。」


護衛の方がどこから湧いたのか?

というか、怖すぎて震える手足を必死に動かすリリア。

そんな彼女をジョンヨンは大丈夫!と手を握って王城までの道のりを励ましたのだった。


王城に着くと、謁見の間に連れて行かれた。

どの話もこの流れが普通だが、リリアはまさか自分が体験するとは思いもしなかった。

国王陛下に謁見するという事で、想像以上に冷や汗やら、手足の震えが止まらない。


「国王陛下の御成〜!」


という声と共に、国王陛下が現れた。

待ち時間は5分少々だと思うが、とてつもない緊張で長く感じた。


「そなたに問う。この国にどうやってきたのだ?」


国王は鋭い眼差しで質問した。


「はい、国王陛下。私は別の国に住んでいましたが、ある日祖父が亡くなり、遺言書で祖父の形見のペンダントを譲り受けました。そのペンダントは今首にかけている物です。ペンダントはロケットタイプになっています。この中を1度も見た事はありませんが、祖父が生前とても大切な写真だから。と私たち親族にも見せてくれませんでした。そして中を見ようとしたら、突然ペンダントが光を放って、気が付いたら私はこの国に居ました。」


真実のみ語っている。

嘘をついてもどうせバレるからだ。


「そうか。そのペンダントが突然光ったのか。さぞかし、驚きと恐怖があっただろう。差し支えなければ、そのペンダントを儂にも見せてもらえる事は可能か?」


「はい、国王陛下の仰せのままに。」


護衛の方がリリアのペンダントを国王に差し出した。


「ふぅむ、一見何の変哲もないロケットペンダントじゃが…これは!!!」


国王が突然驚いて叫んだ。

何事かと護衛達が集まってくる。


「そなた、名を何と申す?」


「リリア・ミミリー・フェリカと申します。」


「リリアか…このペンダントの中の写真は、儂の祖母と家族なのだが、もしかしてジョシュアという者は知っているのか?」


「ジョシュアは私の亡くなった祖父でございます。」


「何という事じゃ…ジョシュアおじに孫がいたとは…。この国から出て行った時にはもういないのかと思っていたのだ。子孫に会えて長生きしていて良かった。」


「あの…国王陛下?」


周りの誰もが…?となっているだろう。

展開が早すぎて着いて行けない。


「実はそなたの祖父のジョシュアはこの国の3番目の王位継承権を有していたのだが、権力争いが嫌で、自ら放棄したお方なのだ。

この国では、王位継承権から外れた者は、国外追放となるのだが、他の国ではなく別の世界の国に行きたいと言っていた。」


「私の祖父をよくご存知なのですね。」


「あぁ、ジョシュアは儂の憧れのおじだったからのぅ。ものづくりが好きで、とうとう別の世界に行けるという発明品を完成させて、儂の目の前で披露してそれっきりになってしまった。」


どこか昔を懐かしんでいる。

リリアの祖父と見えない絆があったのかも知れない。


「その発明品がこのペンダントの様ですね。1度使ったら、もう使えないのではないかと思いましたが、このペンダントには仕掛けがありそうですね。」


ジョンヨンが興味深々でペンダントを手に取ってみる。


「遺言書…まだ全部見ていなかったので、ここで読みたいと思います。」


リリアは遺言書の続きを読み始めた。


「リリアへ。私の見た目を唯一引き継いでいる君にこのペンダントを託そう。

きっと良いことが起こるはず。

私はまた別の仕掛けをこのペンダントに細工したが、今度はもう元に戻ることができない。

1度発動したら、今住んでいる世界にはいられない。大人になってから考えて見てほしい。

私の生まれた世界なら、リリアは生きていけるだろう。見た目に私の特徴が出ている。

この国の王族は皆んなリリアと同じ見た目だから、きっと生きやすいという事を願って、このペンダントを譲る。

もし本当につらいのなら、ロケットを開けて見て。それが発動の合図です。」


読み終わると、国王は深く頷いた。

間違いなくそなたは、この国の王族の血を引いていると…。


「私の生まれた国では20歳で立派な大人とみなされますが、ここでは18歳ですね。どの年齢から婚約者など決まるのでしょうか?」


「私の場合ですが、同じ階級の方と婚約することが多いですね。男爵は男爵とというのが暗黙の了解となっております。」


国王の側近がそう答えた。

当たり前だか、同じ階級の人間と結婚すると、イザコザがなくて円滑だともいう。


「そうじゃのぅ。リリアがこの国で不自由しない生活と、結婚するまで面倒を看ようではないか。ジョシュアには大変世話になった。お孫さんに恩返しできるとは、この上ない喜びじゃ。」


こうして、国王陛下は異世界から来たリリアの面倒をバックアップする事になった。

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