シャルル王国のギルド
ガチャ…と開けたのはいいが、とても広い。
受付まで時間がかかりそうだ。
「あの…ここに数日前、茶髪で目が青い男性がきたという話を聞いたのですが…。」
リリアは恐る恐る受付の女性に尋ねる。
「はい、確かにいらっしゃいましたが、どのようなご関係ですか?」
仕事の為、定型文を並べる受付の女性。
「私が探している家族かもしれなくて、もう長い事探しているのですが中々見つからず。」
「承知いたしました。少々お待ちください。」
と資料のある部屋へ入って行った。
怪しまれないか心配だったが、杞憂みたいだ。
本当にリリシア殿下なのか?
期待が膨らむが。
「お待たせいたしました。この方です。」
その資料を2人で覗き込んでみると…。
名前 リーシュ・リッヒ
と記載されていた。
名前は間違いなく偽名だろうか?
「リリア、リリシア殿下の本名は?」
「リリシア・ミズリー・シューリッヒです。」
「かなり怪しいな?見た目も髪の毛だけ染めて、偽名の可能性も十分あり得る。本人も見つかると危険なんだな。」
「そうですね。見つかったら悪事に利用される…それだけシューリッヒ皇国は技術を流出させたくないという事でしょうから。」
「あの、その方はいつ頃お戻りになられますか?」
シャルディが前のめりになって尋ねた。
「リーシュさんが戻られるのは、1年後くらいかと思います。依頼が、1年という期限なのです。」
「どんな依頼ですか?」
今度はリリアは前のめりになった。
「それは…ドラゴンを倒しに行くというクエストで、期限が1年なのです。毎年この時期にドラゴンが出るので、強い人を探しているのですよ。」
「そうなのですね。でドラゴンが出るのはどちらですか?」
「シャルル王国の北に位置する、ルイル共和国です。」
「ルイル共和国!?ドラゴンで有名な!?」
またまたシャルディが前のめりに聞いた。
リリアとシャルディは意外と気が合うのかもしれない。
「はい、寒い上にドラゴン100匹というクエストですからね。1年で達成出来るかどうか…。」
「情報ありがとうございます。探してみようと思います。」
リリアは冷静になった。
ルイル共和国…フェリカ王国とは仲良くない。
シャルル王国とは隣接しているからか、友好国になっているが、恐ろしい国で間違いない。
せっかく情報を手に入れたのに、よりによってルイル共和国とは…。
リリアは頭を抱えた。
この件は、フェリカ王国にいるジョンヨンにも伝えないといけない。
ギルド紹介所を出てから、リリアは無言だった。
「有力な情報があって良かったけど、フェリカ王国とルイル共和国は仲良くない方だよね。」
「そうなの。私の婚約を巡って対立したからみたい。その時はもうジョナサンと婚約していたから断ったんだけど、ルイル共和国の第1王子が私に会わせろとゴネてたとか。」
「すごい話だね…。君は魔性の女なのかな。ルイル共和国の第1王子って…アイツか。」
「ご存知ですか?私は一切知らないので。」
「各国の第1王子同士で月に1回会合があるんだよ。まぁ…フェリカ王国は適切な人材を派遣してたけどね。」
どうやら、フェリカ王国代表は第2王子のジョンヨンだったという事だ。
国王も先見の明があったのだろうか?
結果的に間違えでは無かった。
フェリカ王国の国王も胸を撫で下ろしている事だろう。
「一先ずリリシア殿下らしき情報が入ったな。また国を跨ぐし、リリア王女は一度フェリカ王国に戻って報告をした方がいいね。」
「そうですね。シーナと約束したお祭りがあるので、それが終わってから、フェリカ王国に戻ろうと思います。」
「うんうん、お祭り楽しんで行ってよ!」
盛り上がっていると、ポタポタと生ぬるい液体が2人の拳をすり抜けていく。
そう、さっき買ったいちごのアイスだ。
この暑さ、溶けないわけがない。
「アイスの存在を忘れていたね。」
「奇遇ですね。私も忘れていましたよ。」
2人は引き攣った笑顔で言った。
リリシア殿下の情報で手一杯だからだ。
「ここら辺で、座って食べるところありますか?」
「それなら、近くにいい公園があるんだ。そこに行こうか。」
さぁ、お手をどうぞと手を差し伸べている。
リリアも手を掴んで、軽い足取りで公園に入った。




