プロローグ
亡き祖父ジョシュアに親族で1番見た目の特徴を色濃く引き継いでいるという理由で、孫のリリアは遺言書で祖父のロケットペンダントを譲り受けた。
リリアは見た目が原因で現代での生活に相当悩んでいた為、ロケットペンダントの中身が気になって不用意に開いてしまう。
するとロケットペンダントが突然光り、異世界に飛ばされてしまった。
右も左もわからない時に、最初に出会った男の子がリリアと見た目が同じで………。
煌びやかな大広間…。
そう今日は、この国の王子ジョナサンとこの国の国王のおじの孫のリリアの婚約お披露目会なのだ。
リリアは1人で大広間の真ん中に立っている。
この国の貴族達も王子はまだかとソワソワしていた。
バーン!!!!!!!!
と大広間のドアと勢い良く開かれる。
当然そこにいるのは、ジョナサン王子であって…。
隣にいるのは、この国の公爵令嬢ライラ・フィリカ・アフィリーチェだ。
彼女の家も王族にとって必要不可欠。
学院に通っていて、知り合ったのだろう。
黒髪ロングストレートの美人だ。
王子じゃなくともアプローチはあったであろう。
その2人を見て、貴族たちはザワついていた。
仕方ない、婚約者といわれているリリアではなく、別の公爵令嬢だから。
そして、ライラの勝ち誇った顔を見ていると滑稽に思えてくる。
だが、王子の顔は違うようだ。
リリアを見るなり、頬を染めたのだ。
初めて婚約した時のような顔だ。
「今日この場で、リリア・ミミリー・フェリカルツォーネとの婚約をは…はは破棄…しない!!!!」
ザワザワ…ザワザワ…。
1番驚いているのは、ライラだった。
婚約破棄!と意気込んできたのに、ジョナサンはリリアを見るなり頬を染めた。
「ちょっ…ジョナサン殿下、婚約破棄すると息巻いていたではありませんか!?」
ライラはジョナサンに詰め寄る。
「し…仕方がないだろう、あんなに美人になっているなんて誰も思わない。」
至って冷静である。
さっきの勢いはどこに行ったのか?
「と…兎に角、お披露目会は中止とする!」
ジョシュアはそう言って、足早に大広間を後にした。
ライラも恥ずかしそうに、その後を追いかけて行った。
一同ポカーンの事件だ。
どうしてこうなったのかというと、それはまた別のお話で…。