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雪山での男たちの戦い

作者: ふーちゃん
掲載日:2023/12/12


「なぁ、やっぱりやめようぜ」

「ここまで来て何言ってんだよ。やるしかないんだよ、俺達は!」

村外れに出来たゴブリンの巣を前に、男達は揉めていた。

レニオン村外れの森の奥。一歩間違えば遭難しそうな雪山で、二人は叫ぶ。

「俺達、男になるんだろっ!」

「でもこんなやり方間違ってるっ!」

最近、村の娘がゴブリンに攫われる事件が頻発していた。

たまたま狩りで遠征した際、隣の(クリス)がゴブリンの巣を発見。

(トール)を呼んで二人で奴等の巣の前にいる。

額に滲んだ汗が、彼等の緊張を物語る。

クリスは拳を握りしめる。

「俺たち二人、全然イケメンじゃないし、ここで頑張らないと一生童貞だぞ」

「だからって、ゴブリンに攫った女の子を御裾分けして貰うなんて、人として終わってる!」

「プライドは捨てろ!」

そう言って、肩から下げた荷籠をトールに見せる。

籠の中は、今年収穫した芋がぎっしりと詰まっていた。

「この最上級の芋を見せれば大丈夫だ!」

本気の目だ。

「悩んでいても仕方ねぇ!行くぞ!」

「どうなっても知らねぇぞ」

巣穴に向かって走り出したクリスの背中を追って、トールも同様に巣穴に向かった。


暗く、ジメジメとした洞窟内。時折響く水滴が落ちる音。

暫く歩くと、話し声が聞こえてきた。

「む、村の娘がいたぞ。ゴブリンも三匹いる!」

娘は壁穴に鉄の杭をはめただけの簡易的な檻の中にいる。

先程のクリスの声に、ゴブリンが反応し、剣を携えこちらに向かって走って来た。

クリスの目がきらりと輝く。

「今だっ!」

手にした木の板を地面に滑らせ、宙を舞ったクリスが投げた板の上に膝の上から着地する。

スライング土下座である。

「む、村の娘たちを俺達に分けてくれっ」

瞬間、背負った籠の中の芋がゴブリンの足元に転がり、足を取られた奴等は手にした剣で互いを刺して死んでしまった。

残りのゴブリンが叫び声をあげる。

「ひいっ!」

逃げる為に上げた頭がゴブリンの顎にヒットし、そのまま即死。

「・・・・・・えーっと」

檻に捕らわれた娘に向かって微笑み、親指上げてグッドポーズ。

「助けに来たぜ!」


檻から出た娘達は正座させた二人の男の前で仁王立ちしていた。

「おいお前ら。さっきゴブリン共に私等を『分けろ』とか言ってやがったな」

「そ、それは誤解で・・・」

「うるせぇ!この事は村に帰ったらしっかり村長に言っとくから・・・」

ギラリと娘達の目が光る。

「首洗って待ってろ!」


その後、クリス達が童貞を捨てられたかは定かではない。

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