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二部 その7

ロイは最近出かけることが多くなった。

それでも日中は家にいて、仕事をしたり古書を研究したり庭の手入れをしたりしているが、夕方になると出かけていく。

夜遅くに帰ってくることもあれば朝になることもあった。ときどき酒の匂いを残していた。


「あらホントだったのね」

「・・・何が」

「あんたが昔の女を渡り歩いてるって。」

ふんと鼻を鳴らしてベッドに寝っ転がる。

サラはしつこく男に言い寄ることをしないさっぱりした付き合いの女だった。付き合い安いが積極的でもあるので、寝っ転がったオレの上に早速のし掛かってくる。

「子供がお家で待ってるんじゃないの?パパあ?」

「家で眠れるかよ」

「あらあ~?」

おもしろい玩具を見つけたと言わんばかりにニヤニヤと見下ろされる。

「女の子だっけ?そういえば前にあんたが小さい子連れて街をちょろちょろしてたの見たわ。なに、もうそんなに大きくなったの?」

これだから女は侮れない。家で眠れないって情報だけなのに、すぐさま核心を突いてくる。

「・・・いいから寝かせろよ。寝てねえんだよ」

「ここはあんたのベッドじゃなくってよ。そうね、あんたを悩ませてるそのかわいこちゃんの話でいいわよ?」

しばし考えたが、やっぱり面倒くさくなってくるりと寝返りを打った。

「ちょっとほんとに寝る気?・・・もう」


久しぶりによく眠ったといい気分で朝日のまぶしい外に出た。見送りに戸口まで出て来たサラが別れ際に言い残した言葉が妙に心に残った。

「子供って、こっちが思ってるほど子供じゃなかったりするのよ?」



サラのやつ、余計なこと言いやがって!

よけい眠れなくなったじゃねえか・・・



ロイはそのうちに決まって朝に帰ってくるようになった。一晩中飲み歩いていたのだろう酒の匂いをぷんぷんさせながらふらふらと戻ってくる。


ティナは冷たい井戸水を準備して待っている。

酔っぱらった様子で戸口に座り込むロイに、コップに入った水を差し出した。

一息で飲み干すとコップを返し、ふらふらと立ち上がる。

「昼まで寝る。起こすなよ」

こく、と頷いて部屋に消えていくロイを見送る。


オレは部屋に戻るとブーツも脱がずにベッドに寝っ転がる。

酔っぱらって帰ってくる自分のために、朝一番に汲んでおいてたのであろう冷たい井戸水は酔いの熱を一瞬で冷ましてくれた。いや、酔ってなどいなかった。酔いたかった。

心配そうにコップを差し出すティナ。ぶっきらぼうに起こすなと言う自分を、ドアが閉まるまで見送る健気なティナ。眠っているであろう自分を慮って物音を立てず静かに過ごすティナ。湯を沸かすことすらしないのだ。

酔えるかよ・・・


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