二部 その2
「人がたくさんいて危ないですから、必ずご家族と行くように。みなさん、いいですね!」
みんなはよい子の返事をした。帰り道はその話題で持ち切りだった。
「ねえねえ、ティナちゃんは行くの?」
「行ったことある?あ、初めてかな?」
みんな口々に説明してくれる。人がたくさんいてお店もたくさんあって、ダンスもあるそうだ。
「ダンスはこの間から習い始めたでしょう?」
この辺りではティナくらいの年からダンスを覚え始めるらしい。この間から週に1回、学校でダンスの授業が始まっていた。ダンスの先生が来て教えてくれる。男の子と逆向きに並んでどんどん相手を変えて一周したり、くるくる相手の周りを回ったりというのを習った。
「結婚式とか、お祭りとか、ダンスを踊れるようになったら参加できるのよ」
それは日が暮れても家に戻らなくていい、ということだ。大人と一緒に夜まで残れるのだ。
「最後には花火も」
はなび?
「ティナちゃんはまだ見たことないかなあ?」
「空に打ち上げるの」
「夜空にきらきらした大きなお花がパって、たくさん咲くのよ」
「花火があがったら、お祭りはお終いなの」
はなび・・・空に、きらきらした花が、たくさん。
それはティナの心をとらえて放さなかった。
星祭りだあ?
それを聞いたロイは内心渋面を作った。
星祭りはここらで一番大きな祭りだ。人でごった返すし酒が入っている奴も多い。
子供だけで行けるような祭りじゃあない。
ティナはどこかで聞いてきたようでダンスがある、花火もみたい、と言う。
なになにちゃんは去年見にったらしい、なになにちゃんも今年家族で行くと攻勢は強気だ。
まあ、こんな森の中で学校と家だけを往復させて箱入りにするつもりはないが・・・。
ようし、とロイは言った。
「いいだろ連れてってやる。ただし、オレから離れんなよ。すげえ人だからな。誰かに話しかけられても絶対付いていくなよ?」
ティナはうんうんと頷いた。
「あとオレその日、外で仕事だから合流になるわ。広場の東側の入り口でいいか?」
うん、とティナは頷いた。オレが着くまで絶対中には入るなよ、と念押しした。
ダンスの授業ではまた新しい曲を習った。何度も腕の中をくぐったり回ったりして頭ががこんがらがる。お祭りまでにもう少し時間があるからきっとうまくなる、とティナは思うことにした。




