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朧木探偵社  作者: 神島世判
朧木良介の受難
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再度の捜索

 翌日。朧木は一人で昨晩訪れた街に来ていた。今日も布で包まれているが霊剣を所持していた。不可解な点のある子供の動向。妖怪の仕業の可能性も高まってきたのである。その日の同行者は猫まんだった。

 暑い日差しの中、フォーマルスーツの男が一匹の猫を伴って歩いている。それは少々奇異な組み合わせであり、時折すれ違う女子高生等が視線を送る事があるくらいだった。


「良介。お前は妖怪の可能性も考えたんだね?」

「あぁ。警察も目撃情報を元にこの辺りは捜索しているだろうに、そちらの進展もないと来たもんだ。そして昨日ヴォルフガング君でも足取りを追えなくなった。まるで神隠しにでもあっているんじゃないかとも思えたが、子供がまるで自由に歩き回っているようなのも気にかかる。ならば何かしらの怪異、妖怪の仕業なのではないかと疑ったのさ。そこで猫まんの知見が欲しい」

「なるほど。そこで戦闘員よりもわたくしかいね」

「戦いになった時は僕が何とかするよ」


 朧木は布で包んだ霊剣をぐっと握った。


「狼男はどうしたんだい?」

「ヴォルフガング君なら母親のアパート周辺の張り込みをお願いしている。最悪あの女性を中心とした何らかの事件の可能性も考えてね。まぁ、これは僕があの母親と話をしてみて、その人間性に不安があったもので念のためね」

「それはどういう推理の上かいね?」

「親の子殺し。浮かばれない子供は幽霊となって目撃されている、と言う最悪な展開を想定した話さ。幽霊なら足取りを追えなくなるのもわからなくもないからさ。まぁ、幽霊には臭いはないと思うからたぶん違うとは思うんだが、一応母親サイドの動きも追っておいたほうが良いだろうと思ってね」

「・・・お前にそこまで言わせるとはよほどの親だったんだねぇ」

「とにかく、一旦人目の突かない場所に行こう」


 朧木と猫まんは雑居ビルの中へと入った。朧木は監視カメラがないことを確認する。


「どうしたのかいね」

「一応式神の簡易召還もやっておこうと思ってね。・・・あらよっと」


 朧木は和歌の詠唱なしで五枚の式神符を投げ払う。式神符はそれぞれ小さな鳥のような姿を取った。呼び出された式神たちはパタパタと外へと飛んで行った。


「それは子供の行方を追うつもりで呼んだのかい?」

「そう。ヴォルフガング君の代わりさ。一応ヴォルフガング君の話では何度もこの街をうろついているらしいという事だったからさ。なら直接居場所を見つけられるようにと思ってね」

「難しいところだねぇ。子供に自由行動を認めた状態で人攫いを行う妖怪の仕業とかを考えなければいけないのかねぇ。行方不明になった後も目撃されているというのがまた」

「猫まんでも難しいのか」

「何言っているかいね。歴代の朧木家の者と行動を共にし、解決した事件も数知れず。歴戦を乗り越えてきたわたくしに掛かればできないことはないね」


 猫まんは尻尾を振り振りと勢いよく振った。軽く興奮しているようだ。


「頼りにしているよ」

「頼りにされるのは構わないけれど、人に仇なす妖怪が相手ならお前がしっかりしてないといけないんだよ」

「あぁ、その時は任せてくれ」


 朧木は力強く頷いた。

 朧木達は子供の捜索を再開する。探す場所は昨晩狼男と共に捜索した場所である。その間に怪しげな輩はいないかも含めて調査するのだ。


「猫には人探しは難しいねぇ。犬みたいに臭いでは追いかけられないよ」

「人間の子供くらいは見分けがつくだろう?」

「物珍しそうに追いかけてくる人間の子供とかは顔まで覚えていたけれどねぇ。人間の子供は容赦がないから嫌いなんだねぇ」

「猫まんは子供は嫌いかい」

「嫌いさね。にゃんこにゃんこーとか言いながら尻尾を握り掴んできたりするから小さい子ほど嫌いさね」


 猫まんは身震いしている。かつて何か恐ろしい体験をしたことがあるらしい。その視線はじーっと朧木を見ている。・・・もしや、朧木良介の幼少期の出来事の話ではなかろうか。


「あぁ、小さな子は動物との接し方もまだよくわかっていないから・・・」

「・・・そんな事はさておき、どうしたものかいね。全くもって何の変哲も無い街だよ。ここは。妖怪らしい奴は歩いていないねぇ。まぁ、見た目だけではわかるようなものでもないがねぇ」

「僕も妖気とか言うのを感じられるわけでもないからね。気配を感じるって事はあっても、あくまで感覚の世界だからね。猫まんは妖怪アンテナみたいなのはないのかい?」

「妖怪が近くに居ると毛が逆立つっていうのかいね。そんな便利な能力は無いねぇ」

「ふむ。探知能力の面で難儀だなぁ。何か良いオカルトグッズでもあればよいのだけれど」


 朧木が歩きスマホをしながらネットショッピングを始める。もっとも怪しげなグッズを取り揃えたサイトであるが。


「良介や。歩きスマホは良くないと教わらなかったかいね。前方不注意になるから危ないよ」

「おっと、そうだね。ついやってしまうんだよ」


 朧木はスマホを仕舞った。


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