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朧木探偵社  作者: 神島世判
朧木良介と見る霞町
63/228

仕掛け

 緊張感に包まれた事務所内。

 その外に1羽の鳥がいて、窓から朧木たちの様子をうかがっていた。

 鳥の頭はしゃれこうべとなっている。何かしらの妖怪だった。鳥の妖怪は羽ばたいて行った。

朧木がさくらを教会まで送り届けたあとの帰り道。

 朧木はチラリと近くの電線を見た。頭がしゃれこうべの鳥が来ている事を確認している。彼は行動を監視されているのに気がついていた。


「さて、普通にしていては仕掛けてこないだろう。誘いかけてみるか」


 朧木はぶらりぶらりと町中を歩く。彼の目的地は決まっていた。

 朧木が訪れたのはいつもの店。『女狐CLUB』だった。

 朧木が扉を開けて店に入る。


「あら。良介ちゃんじゃない。いらっしゃい」


 ジュリアが朧木に声を掛ける。

 平日の為か、店の中はまだ空いていた。朧木は真っ直ぐにジュリアの正面のカウンター席に座った。


「やぁ、今日は予定があるが、立ち寄らせてもらったよ。なにか軽く食べるものがある?」


 朧木はジュリアに尋ねた。ジュリアが怪訝な表情を浮かべる。


「うちは料理屋じゃないからおつまみになるようなものしかないよ?」


 朧木は「それでいい」と笑った。


「どこに立ち寄るか迷ったが、いつものところがいいかなとね。少しだけ時間を潰させてもらう」

「そうよね。このあとの予定が押しているの?」

「すぐに片付ける仕事さ……」


 そう告げる朧木の瞳には覚悟の光が宿る。


「お仕事なんだ?なら、珈琲も付けようか」


 ジュリアが背後の棚を漁る。


「ちょうどいい。ありがとう。それで頼む」


 ジュリアが調理を始める。


「今回の仕事は楽な仕事ではないの?」

「何時だって楽な仕事なんかいないさ。今回は気を引き締めていく。用心するに越したことはないさ」


 朧木はジュリアから出されたサイコロステーキを受け取る。続いて珈琲が差し出された。


「これならいいでしょ? ご飯とかはないよ」

「十分さ!」


 朧木は出された料理にありついた。

 そしてその二時間後。


「長居してしまった。また来るよ」


 そう言って朧木は店のドアを開けて出てきた。足取りはフラフラだ。布で包まれた何か、おそらく霊剣を杖代わりになんとか歩く。


「おっと、飲みすぎたかな……」


 お店の置き看板に倒れかかるようにもたれ掛かる。その姿は泥酔している姿そのものだった。


「ちょっと公園で休んでいくか……」


 朧木が独り言のようにそう呟く。

 そんな様子を頭が髑髏の鳥が見ている。朧木は気がついているのかいないのか、気にも介さず歩き始めた。

 大通りから外れた人気のない公園。朧木はベンチの上に横たわる。酔って寝ているようにも見えた。

 暫くして、ジャリッジャリッと何者かが近付いてくる。


「ほっほっほ。無様な姿ですな、陰陽師!」


 黒衣の僧侶だった。

 朧木は起き上がらない。


「おやおや、しこたま飲まれたようですな。このような状況で飲酒とは余裕がお有りで…」


 黒衣の僧侶は嘲笑する。その背後から影法師達が出てくる。


「お前たち。やってしまいなさい」


 黒衣の僧侶が影法師達に命じる。影法師達はベンチで寝ている朧木を取り囲む。

 影法師達が一斉に斬り込む!

 ザン! 何かが斬られる音。影法師の一体が倒れ伏す。


「な、なんだと……」


 黒衣の僧侶が驚愕する。


「やれやれ。酔ったふりをしてみるものだな。僕は酒を飲んで仕事をする癖があるから、酔ったふりをしているとは思いもしなかったろう」


 霊剣を手にした朧木が立ち上がる。影法師達が怯み後ずさる。


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