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朧木探偵社  作者: 神島世判
朧木良介と見る霞町
52/228

荒れる現場

「そっ、それはニンニク!」


 明日光が驚いている。


「そう。吸血鬼が苦手なモノ。ニンニクです。ニンニクは邪悪なモノをうち払うという伝承がありまして、その影響でしょうかね」


 そう言う朧木はただ取り出しただけのようだが、明日光の動揺はただ事ではなかった。


「グッ、それを私に近づけるな!」


 後退る明日光。朧木はぐいぐいとニンニクを明日光へと押しやる。


「これは伝承どおりに有効なようですね」


 明日光が壁際まで追い詰められる。彼女は跳躍し、天井の角にへばりつく。


「私がこんな屈辱を受けるとは! おのれ、東洋の魔術師!」


 天井に張り付いた明日は凄惨な気迫を浮かべた。目を赤く輝かせ、牙を剥いている。


「あ、明日光。大人しく投降しろ!」


 刑事が銃を明日に向ける。


「人間如きがぁ!」


 明日は素早い身のこなしで刑事に向かって襲い掛かる!


「月魄刃!」


 朧木が放つ三日月の輪光が容赦無く明日を切り裂く。

 バチィ! 激しい衝突音と共に月魄刃が弾かれた。


「アッハハハ! ヴァンパイアにそんな下等な術が効くと思って?」


 月は夜の象徴。夜の眷属であるヴァンパイアには月魄刃はあまり有効では無さそうだ。どうにも相性が悪い。

 朧木は術を破られた反動でよろめく。魂魄を消耗したのだ。


「なら、これはどうか!」


 朧木は手にしていたニンニクをヴァンパイアに投げ付けた。

 バチィ! これまた激しい音が鳴る、ニンニクは明日に当たったようだが、当たった箇所から煙が出ていた。


「グッ、おのれ!」


 明日は殺意を込めた視線を朧木に向ける。


「うっ、撃て撃てぇ!」


 刑事の合図で一斉射撃がヴァンパイア向けて放たれる。明日は弾丸の勢いに弾かれたようにロビーの窓ガラスを叩き割って外に飛び出した。


「むっ、これはいけない…」


 朧木は危惧した。魔除けの銀の弾丸でもなければ、ヴァンパイアへの決定打にはなり得ないだろうと判断したからだ。


「おのれ、貴様ら。ただではおかぬぞ!」


 外から明日の怒鳴り声が聞こえてきた。

 朧木は警官たちと外へ飛び出す。

 そこに明日の姿は無かった。


「どこへ逃げた? 探せ探せぇ!」


 刑事の怒鳴り声。警官たちは散り散りに明日を追う。


「これはまずいかもしれない」


 朧木はそう呟いて刑事を呼び止めた。


「なんです。朧木さん」

「相手が正真正銘の吸血鬼なら、警官に単独で追わせてはいけない」


 朧木がそう言いかけたとき、どこからともなく男の絶叫が聞こえてきた。警官の一人の声のようだ。

 やがて静かになったかと思うと、声のした方角から一人の警官が歩いてきた。


「お、おい。大丈夫か?」


 近くにいた警官が戻ってきた警官に声を掛ける。


「あぁ、俺は大丈夫だ…」


 戻ってきた警官はそう言うと、声を掛けた警官にふらっと近寄る…。

 距離を縮めた瞬間。戻ってきた警官が声をかけた警官を押し倒す。

 あっという間に喉笛に噛み付く警官だったモノ。


「ぎゃあああああ!」


 噛みつかれた警官が叫び声を上げた。

 ゆらりと立ち上がる噛み付いた警官。口元を血で濡らし、その瞳は赤く輝いていた。


「恐れていた事が!」


 朧木が叫んだ。


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