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朧木探偵社  作者: 神島世判
朧木良介と見る霞町
36/228

戦い、その後

「助かったか・・・」


 朧木の背後で狼男がそう呟いた。


「一体何者だったんだ・・・おい、丼副君。無事か?」


 朧木がさくらの頬をぺしぺしと叩いた。さくらがうーんと唸る。


「・・・・・・あれ、所長。どうしたんですか?」


 さくらが目を覚ました。


「どうしたもこうしたもないよ。まったく」


 さくらが起き上がった。


「あれ。私、どうしてこんなところに」

「君は何者かに攫われていたんだよ。記憶が無いのか?」

「えーと、急にお客様が現れて玄関口まで向かったところまでは覚えているんですが・・・そこから先は覚えてないです」


 狼男が周囲への警戒を解いて話しかけてきた。


「やれやれ、お嬢ちゃんが無事なようで何よりだ」

「あれれ、こちらの方は?」


 さくらが狼男に気がついた。


「あぁ、君を捜すのに協力してもらった狼男君だ」

「それはそれは。ありがとうございます。おかげで助かりました。・・・・・・えっ、狼男?」


 さくらは狼男に礼をしつつ、遅れて気がついたようだった。


「よぉ、この間は教会の人間とつるんで俺を捜していたようじゃねーか。大分無茶をしたようだが感心しねぇな」


 狼男はにやりと笑った。さくらが悪質なナンパ野郎に捕まっていたのを知っていたからだ。


「ん、何だ君ら。既に顔見知りか?」


 さくらはばつが悪そうにしている。狼男は笑っていた。


「それにしても、だ。メイガス。さっきの野郎は一体なんだったんだ? 危険な野郎だと俺の勘が告げていた」


 朧木は狼男の台詞に考え込んだ。


「検討も付かんな。だが危機感を感じていたのは僕もだ。実際、相手に影法師たちの余力があった事もあって、相当危険な状態だったが」

「この街は退屈しないねぇ。もうしばらく滞在しよう」

「なら生活などの面倒はこちらで見よう」

「あぁ、しばらく厄介になるぜ。あんな連中がいるなら、俺も埋もれてしまうだろうよ。平穏な日常から離れた場所は俺達みたいな連中にとっては憩いの場だ」


 さくらが狼男を見た。


「えっえっ、妖怪を従業員にするんですか!」

「飼い猫が既に妖怪なんだ。君も慣れたものだろうに」


 朧木が不思議そうにさくらを見つめる。


「猫科と犬科の妖怪が一緒って・・・・・・」

「おいおい。嬢ちゃんよぉ。俺は犬じゃなく狼だ。そこ、間違えるなよ」


 狼男があからさまに不機嫌になった。


「ま、そういうわけだ。彼は通り魔ではない。まぁ、善人の部類だ。彼のこともよろしく頼むよ、丼副君」

「ん? じゃあ、所長。通り魔事件は解決したんですか?」

「解決? うーん。したとは言いがたいが、表向きは解決したよ」


 朧木は先ほどの黒い僧侶のことを思い出す。黒い僧侶が立っていた場所を見た。


「あぁ、あの黒い僧侶ならもうこの場にはいねえぜ」


 狼男が気配を探りながら答えた。


「ま、そんなわけだ。今日のところは帰ろう。みんな無事ならそれでいいじゃないか」


 最後は朧木がとりあえず取りまとめた格好となった。

 朧木は式神たちを式神符に戻した。

 三人で帰路につく。長い事件が終わったようで、別の何かが始まったような予感。朧木の直感は、今日の日がただの始まりに過ぎない事を感じ取っていた。


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