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朧木探偵社  作者: 神島世判
朧木良介と見る霞町
29/228

現代のものと過去のもの

 周囲を式神が取り囲むボロ屋。式神の包囲のさらに内側を警察が包囲していた。

 朧木はパトカーに乗って刑事に同行していた。


「犯人は空き家だった家に潜伏中の模様。出てくる様子はありません」


 警察官が刑事にそう告げた。


「さて、警察官に突入をさせるべきか迷っている。朧木さん。相手は正真正銘の沖田総司の生まれ変わりだと聞く。おとなしく捕まるようなタマだと思うかね?」


 刑事が朧木に尋ねた。


「噂の真贋はともかく、流石にすんなりとは行かないでしょうねぇ」

「だが犯人は応じなかった。仕方がない。・・・おい、突入させろ」


 刑事は警察官にそう命じた。現場の警察官達があわただしく動き、ボロ屋に突入していく。

 しばらくして現場が騒がしくなった。

 朧木達の下に警察官が駆け寄る。


「大変です! 犯人は包囲網を破り逃走しました!」


 刑事がしてやられたかといった表情をした。


「全く、特殊事案の案件で無ければあんたには頼まないんだがなぁ。朧木さん、協力願えますか?」

「もとよりそのつもりで来ましたから。では!」


 朧木は快く承諾する。そしてパトカーを飛び出した。

 朧木は式神で犯人を追いかけ続けていた。まだ見失っては無い。犯人は警察官を切りつけて路地裏を逃走中だった。

 何体かの式神が足止めしようと沖田総司の前に立ちはだかる。だが、あっという間に突き倒された。

 しかし、その甲斐あって朧木は沖田総司に追いついた。


「沖田総司、立ち止まれ、そこまでだ!」


 朧木はそう叫んだ。その声に沖田総司が振り返る。


「お前は・・・そうか。朧木良介か。刀剣を持って俺の前に立ちはだかるとは。どうやら死にたいらしいな」

「あいにくと剣術には覚えがあってね。転生者とはいえ相手にとって不足は無い」

「俺を誰だか知ってやろうというのか。いいだろう、いざ、尋常に勝負!」


 朧木は直ぐには切りかかるような真似などしないで、式神たちに命じて沖田総司に飛び掛らせた。


「失敗したなぁ。護法童子、今日は休みだったんだった・・・手持ちの式神たちだけでなんとかしなくては」


 沖田総司はばっさばっさと式神たちを切り伏せていく。


「なんのつもりだ! こんな紙切れまがいの者を使って俺を倒せるとでも思ったのか! 俺も軽く見られたものだな」


 転生者。誰かの生まれ変わり。生前に有していた能力やスキルを唐突に開花する者。沖田総司は信じられない刃物捌きを見せる。


「やだなぁ。僕は転生者が大嫌いなんだよ。生前がなんであろうが知ったことではないし、そいつ自身は何か偉業を成し遂げたわけでもない。生前の能力だけを振るい、自慢する。そんなやつばかりを見てきた。沖田総司君。時代はもう幕末じゃあないんだよ。幕末であったとしても、今の君みたいに辻斬り行為などしちゃいなかっただろうに。あー、やだやだ。『近年は転生者がなぜか増え続けている』が、努力もなしに才能を開花させているように見えて本当に嫌だねぇ」


 朧木が容赦なく相手を挑発した。今度は通り魔が朧木をあざける。


「俺は生前にそうであっただけで、今の時代に特に何かをするつもりは無い。だが、過去の偉人の生まれ変わりと言うステータスは俺のものであって、お前のものじゃない」


 今度は朧木が通り魔を鼻で笑った。


「よく言うよ。自分で自分を偉人だなんて」


 通り魔が真紅のカプセルを飲み込んだ。


「自分が何者かもわからない現代人よりはマシさ。オカルトドラッグと思って最初はバカにしていたが、いざ使ってみるとまさかこれほどとは」


 沖田総司は覚醒していく。より詳細に前世の記憶を呼び戻しているのだ。


「前世帰りもドラッグ頼みとはねぇ・・・。オカルトが幻覚ドラッグと結びついているというケースはあるが、前世療法に悪質なドラッグを持ち込むようになるとは。いやはや、現代と言うのは時代そのものが病巣なんじゃないかと思うよ」


 朧木は霊剣破軍を構えた。


「そういうあんたは誰の生まれ変わりだよ? 刀剣なんざ構えてよ」


 朧木は笑った。それはもう笑った。


「だから僕が誰かの転生者だと? バカ言っちゃいけないよ。僕は僕だ。僕は自分自身が何者であるのかわかっているからこそ、今この場で刀剣を手にして君と相対している。自分が何者なのかわかっちゃいないのは君の方ではないのかな。通り魔君」


 沖田総司は笑わなかった。代わりに加州清光だったナイフを構えている。


「俺は・・・・・・いつだって俺だ!」


 そう叫んで沖田総司が一気に距離をつめる。

 同時の3連突き!


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