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私の中での安息地

※このお話しは異世界転生・転移モノではありません。



「んん?」


「おい」



目を開けると、真っ暗だった。

はてさてここはどーこだと身じろぐと「動くなアホ!」と下から声が聞こえて来た。

少しだけ目が慣れて来て馴染み深い黒髪と、その奥にある力強い瞳を見て「あ!」と距離を詰めた。



「タクミ!」


「なんでここに…いや、ひとまず出る事を考えるか」


「出るだけなら全然問題無いよ、どこ行く?」


「どこ行く?じゃねえんだよ、簡単に捕まりやがって」



深く溜息を吐き出されて「まあまあ」と私は出るつもりで見知った場所を思い浮かべた。

…が。そのまま力を抜いてタクミの胸元へダイブする。



「…どうした?」



ピリッと空気が緊張をはらみ、声と添えられた手から安堵が広がる。

そうだ、この手だと更に抱き着くと…その緊張感はなりを潜めた。



「何してる」


「んー?いや、最近タクミに甘えられてなかったな〜と思って」



ギュッと抱き締めると短い溜息と共に「なんで今なんだ」と漏れ出る声。

ここに出る前に何をしていたのかを思い出すと、やっぱり自分は甘いなあと思い知るがそれでも私の行く先が運命なのだと決め付けた。



「オルランドくんだった?やっぱり」


「オルランドだったな、結局」



それぞれが黒幕の名前を出した事により、この前に何があったのかをしっかりハッキリ思い出す事が出来た。


て事はここは多分地下埋葬地のどこかの棺の中だし、黒幕であるはずのオルランドくんは今頃ランゼさんとランクさんにボコボコにぶちのめされて居るだろう。

どこかの国の王子様が、別の国のお姫様に一目惚れ。

そのお姫様には旦那様が居たが不慮の死を遂げた…それが再婚した次の旦那様もと続いた姫様が怪しんで、私達に相談を持ちかけたのだ。

セルベア国に観光しに来ていた私がその依頼を受ける事にして、タクミは諦めて付いて来て、ランゼさんとランクさんも付いて来てくれたのが今回の旅。

いやしかし、本当にこの世界は色々とあるねえともはや自分が神になってしまったので愛おしさすら覚えてしまっている私。

だけれどそれはそれとして、オルランドくんには後で私の大切な人を埋葬したお仕置をしなければと思い当たった。



「……おい」


「はい?」


「はい?じゃねえよ、なに可愛く笑ってんだ」


「タクミと一緒なんだもん、どこで居たって楽しくなる自信しかないよ?」


「……」



開いた口が塞がらないと言わんばかりのタクミから少しだけ距離を置くと、ハッとした様に背中に手が回ったのに思わず笑みを浮かべる。



「コノヤロウ」


「えー、酷い冤罪だー!」


「出たら覚えとけよ」


「忘れるわけ無いでしょ、そろそろ行く?」



そう言って手を取ると、しばらく黙った後にまた溜息を吐き出して手の甲にキスをした。



「お前のそう言うところ、めちゃくちゃ腹立つしたまにぐちゃぐちゃにしてやりたくなるけど…それを許すのは俺だけにしてろよ」


「うーん、そもそももうタクミ以外目に入らないし…あっちの話しが出来るのもタクミだけだし。

もしかして私の愛を疑われてるの!?それなら怒っちゃうけど!」


「そんな訳無いだろ、自分自身の情けない気持ちの確認みたいな物だ。

……思い出したらめちゃくちゃ女々しいな、忘れろ」


「絶対忘れなーい!」



ケラケラ笑いながら言って、私は青空の下にタクミと共に出て行った。

初めこの世界にやってきた時はこの世界の学級委員長的なモノで居れば良いんだとか簡単に考えて来たけれど、穏やかな旅の合間にこう言う刺激的な出来事があると毎日が楽しいと思えてしまう。

これぞ非現実だなと、それを楽しんでいる自分自身も好きだなと笑った。

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