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表面上はいつも通りに

※異世界転生・転移モノではありません。



「うん?」



微睡みの中でもがくと、手が壁にぶち当たった。

思わず痛みで声を出すと覚醒が早ったようで、段々と白い天井が見えて来てハッとする。



「……戻った?」



違和感があったここ数日の事を思い出し、私は今の自分の手を握ったり開いたりを繰り返してみる。

謎にスッキリしている気分にホッとしている自分に気付いたけれど、不穏な雰囲気は全てスルーの方向で。

薄緑色のカーテンを引いて今日もまだ明けきらない朝日を探すがちょうど目の前家に隠れていて残念ながら見えない。

だけれど、それ以上にこの清々しい空気が美味しくて。

私は今日もベランダの植物達に挨拶をした。



いつも通りに準備を済ませながら朝早く家を出る。

近くの公園を横切り散歩中のママさん達に手を振りながら過ぎて、線路沿いを真っ直ぐに進んで職場へ。

既に何人かの姿が見えて挨拶をしながら道具を取りに事務所へ入って、今日も仕事の始まりだ。

朝早く起きるのは得意で、なんなら4時に起きるのが常になっている。

理由はベランダの植物達に水をあげるのに、夏場は家に居ない分朝早くと夕方にあげることにしているのだ。

それが習慣づいて今は朝の4時起きが基本となっている。

しかし逆に夜遅くまで起きているのが本当に苦手。

22時までには寝たいし、18時に寝る日もあったりする。

何故かと言うと少しでも長い時間夢を見たいから。

私は夢を見ている時間が1番好きだ。

だって自分以外の人として生きられる大切な時間だもの。

知歩の人生では成し得ない事を夢の中では軽くやってみせるのが夢が夢たる所以だろう。

だって存在しない生き物だって空を飛んだり海を渡る事だって出来るんだから、世知辛い知歩としての人生や生き方よりずっとずっと楽しいに決まっているのだ。


知歩は知歩で楽しんで居るものの、夢の中の誰かの生き方が出来ればとても素敵だと言う思いは消えやしない。

リューナである時間が長くなっていた気がしたけれど、それは私の勘違いだったみたいだ。

現に連続して別の人の夢だったのだから。

懐かしい人達は変わらず優しかった、綺麗だった、暖かかった。

ずっと居たい、そこで生きたいと思うと同時に…今は知歩として別の人なのだと悲しくもなった。



「そう言えば最近あれ見てないな」



随分前にずっと連続して見ていた長い夢の内容を思い出しながら、その人達の周りの賑やかさに笑ってしまう。


私の仕事はアルバイトであり、正社員ではない。

それもシフト制だから入りたい時に仕事を入れてもらうのだが、その仕事中空想や妄想が止められない。

もちろん仕事はしているし、怠けたりサボったりは出来ない性格なのでしっかりと勤めている。

その中での休憩時間や休み時間、待機時間は全て夢での出来事を思い出しては1人で楽しい気分に浸っている。

色んな人と話す事も苦では無いが、仕事上個人で時間を過ごす事が多い。

生活のほぼ全ての時間そちらの事を考えてしまうところが、知歩が主体であり夢が夢なのだと分かってしまうところか。


私が居るから他の人達の人生に切り替わって行くのだと気付いてからは毎日がとても楽しい。

不安に思っていた気分屋思いを心の奥底に押し込める様にして、今日もしっかり仕事は終了したのだった。

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