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見覚えのあるあの子

※異世界転生・転移モノではありません。



「あ。やっぱりそうだわ」


「どうしたんだい?」


「この子とても見覚えがあると思ったの、夢で見た事があるのよ…この子みたいに尻尾の長い白い猫の」



しゃがみこんでゲージの中に居る白猫に視線を向けると、深い蒼色の瞳を持つとても綺麗な白猫が。

警戒しているのか、ゲージの隅で固まっている。



「あら、人が怖い?」


「ふぅー」


「興味はあるの?ほら、初めまして、挨拶挨拶」



指を近付けると、警戒しながらもゆっくり近付いて来て匂いを嗅ぐ。

じっと私の指と私を交互に見ながら白猫はそのままゲージの中央に座ってしまった。



「この部屋はこの子の為の部屋だから、また、遊びに来てあげてくれないか」


「その前に…お父様。この子保護でしょ?

リヒトルーチェが珍しいからって連れて来ただけなんてお父様がそんな衝動的な事するとは思えない。

どんな理由で何があってこの子を保護して連れ帰って来たのかきちんと説明して下さいませ」



にこりと笑みを浮かべると、アリッサと父は同時に苦笑してしまう。

思わず「逃がしませんよ?」と追い掛けると「誤魔化せないか」と諦めたようにため息を吐き出した。



「この子ははぐれ、獣の中でもリヒトルーチェの中でもはみ出しものだったらしくてね。

僕もあちらへ行って初めてリヒトルーチェを見て現地の人の話しを聞いたから知識があるとも言えないんだが、本来彼等は群れで行動する。

知識も高く力もある種類の獣だから狩りは確実に多数で行う。

だがこの子は一匹狼の気質なのかずっと1人でね。

帰りがけに気になって見に行ったら集団リンチにあっていて…」


「えっ」


「思わず庇って割って入ってしまった。

自然界の事は自然界に、人間が入ってしまうといけないと頭では分かっていたのだけれど思わずね。

後からレガシーにはとても怒られたけれど、放っておけなくて現地の人に伝えて譲ってもらったんだ」



父の視線がリヒトルーチェに注がれる。

そう言う理由だったのかと納得しつつ、やはり私の父は優しくて素敵だなと苦笑した。


「怪我は?」


「引っ掻き傷なんかはこの子が治してくれたよ。

けれど一定の距離を置かれてしまってね…さっきはリューナと挨拶していただろう?

やはり君は動物達に好かれやすいんだね」


「お父様の事も嫌っても居ないと思うわよ?

ただこの場所に見覚えが無い事に戸惑って居るだけだと思う。

この場所に慣れたら私達とも交流してくれそうな雰囲気だと思うわ」


「……やっぱり、リューナはすごいな」



優しく穏やかな笑みを浮かべると、父はまた来るよと言い残してシェルターから出て行った。

色々な贈り物は今までたくさん貰って来たが、生き物は流石に初めてだなあと私は真っ白な体毛の猫…改めリヒトルーチェに視線を向ける。



「…ねえあなた、私のお友達になってくれるの?」



ポツリと呟いた言葉に返事は無く、私は苦笑して「また来るわね」と言い残して立ち上がる。

そして見覚えのあるその様子をイメージして、そう言えば最近あちらにはあまり、顔を出して居なかったなと思い出す。

真っ白な髪と蒼い瞳はとても綺麗だが、それはまるで宝石の様で触ると汚してしまいそうになってしまうほど儚く見える。

だけれどその居住まいには確かな存在力があり、見る者を惹き付けるのだ。



そんな人見知りの隣人に笑みを向けて、私はリューナのままにシェルターを出たのだった。

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