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第2章 第2節「密心を抱く者、傷弓の鳥の無音に響くは一陽来復の珍味」

第2章 第2節「密心を抱く者、傷弓の鳥の無音に響くは一陽来復の珍味」


「…あのぉ…足元見えてます?かなり、痛いんですけど…」


てっきり岩でも踏んでいるのかと、勘違いした俺の暗い足元から、低い不機嫌そうな声がしたことに、俺は一瞬お化け屋敷の扉を開いてしまったのかと少し恐怖した。俺の名誉のために言っておくが、お化け屋敷に恐怖をしたのは、少しだけだぞ?そんな些細なことよりも、今はどうやって染にこの魔法を解かせるのかが重要なことだった。


 不貞腐れたうるちゃんの頭から足をおろし、染が大事そうに抱えるスケッチブックを眺める。この場を収める一番簡単な方法は、あのスケッチブックを燃やしてしまうことなのだろう。と、考えてはみたものの、そのあと染はどうなる?スケッチブックの変わりはあるのか?ページ数に制限があるスケッチブックが媒介なのだ。そのあとの策がないとするのは、いささか理解に苦しむところだが、染のことだ。制限とか言って、もう魔法を使わないなんて言い出しかねないなとも思った。

やはり、スケッチブックを燃やすというのは、現状の最善策ではなさそうだ。それならば次の手段を考えなくてはならないのだが、交渉事を嫌って人里離れたログハウスで生活をしてきたのだ。愛想よく振舞うことはできても、天才的なコンフィデンスマンのように他人を騙す術を俺は持っていないことくらいは自覚している。だから、今の俺に出来ることは、事実を伝えることくらいしかできないのだ。


「...なあ、染。外は雪だぞ。しかも灰色だ。」


手を数回叩き、染に告げた。






 完璧なはずだった。どんな攻撃にも耐えうるだけの壁を具現化したはずだった。なのに、何で、この男はまた、僕たちの目の前にいる?その扉の奥から光が指していないのに何故、どうやって、僕の描いた空間の中に入ることができた?

この狭い空間の中で、この男に魔法を使われたら逃げ場などなく、むしろ的を定める必要もない状況に、僕はスケッチブックを破り捨てようとした。

その時、無数に反響する音が、僕には聞こえるはずのない音が、僕の手を止めた。ふと男を見ると、大きく口を動かし僕に何かを言っているようだった。湿った泥だらけの男の口元が『灰色の雪』と動くのを見て、僕は僕の犯した罪を認識した。

どういうわけか、この男にはその意味が理解できていたのだろう。僕がやらなくてはならなかったことは、この男を隔離することではなく、この男を含め僕たち五人を隔離しなくてはならかったのだ。それでも、この男がいち早くこの空間に来てくれたことが、せめてもの救いであれと心の底から祈り、スケッチブックから手を離した。

 暗い部屋の中、ぼんやりと輝くうるは、おそらくなちさんの魔力によるものなのだろう。今にも消えそうな光を飲み込むように、男の手のひらの小さな太陽のような輝きがこの狭い空間を照らしだす。


「なあ、染。この空間であとどれくらい巣籠りするつもりだったんだ?」


その口唇の動きに、僕は僕の犯した罪の重さから逃げ出したくなった。この狭い空間の中で、何日も何日も生存し続けることなんて到底できるはずもなく、餓死以前に、酸欠という問題で皆の命を危険に晒してしまったことに今やっと気が付いた。最悪の事態を想像して、四肢の先が冷たくなっていくのを感じる。自らが犯した罪に居た堪れなく、僕の体は硬直した。






 泥だらけの靴底を押し退け、ようやっと地面との添い寝に解放された私だが、その後のラフィと染君の会話の意味は全くもって理解し難い内容だったのは言うまでもないだろう。本当はこういうのは、ちあちゃんのお勤めなのだろうけれども、今は動けそうにない彼女の代わりに染君の右手をとった。とても冷たくて、まるであの時のおばあちゃんの手みたいで、少し涙で視界が滲んだ。


「染君、あなたは間違っていないわ。」


気休めかもしれない単純な言葉が、染君には届かないはずの言葉が、染君の指先に僅かな震えをもたらしたのを感じて先を続ける。声が聞こえなくとも、口の動きで伝わるよう願いを込めて、意識してゆっくりと。


「仮に、この行為が間違っていたとしてもよ。それを正解に変えてしまえばいいだけの話なの。間違いを頭ごなしに、間違いだと決めつけてしまえば、その先はずっと間違いになってしまうわ。だから...何て言えばいいんだろう...。」


その先の言葉が、どうしても見つからなくて、少しの間沈黙が流れる。ぽつん、ぽつんと滴る雫がその沈黙を静寂に変える。


「...うるちゃんにしては難しい言葉を並べたな。マリアンの受け売りか?」


この静寂を切り裂いてラフィが呟く。それはきっと私への優しさで、染君には届かない小さな声だった。


「染、女の子に言わせるなんて、男が泣くぞ?」


ラフィは片膝をたて染君の左手に自分の手を添えて、染君にそう言った。

その瞬間、染君の目からは涙が溢れ、何かを伝えようと必死に口を動かしているが、言葉にはなっていなかった。


「染、本当に泣く奴があるかよ。」


そう言ったラフィの顔は綻び、うっすらと涙を浮かべていた。


「え?何?どうしたの!?」


どうしてこうなった?の状況に混乱する私を見て、ラフィが泥だらけの手で私の頭を撫でる。


「骨伝導だよ。今、染にはおそらく僅かな振動だが、俺たちの声が聞こえている。それを一番最初にやってのけたのは、うるちゃんだぞ?自覚がないのか?」


はい、なんのことでしょうか。ということよりも、ぐちゃぐちゃになってしまった私のキューティクルにどう責任とってくれるつもりなんだ。けれども、褒められたのか、貶されたのか曖昧なラフィの態度よりも、染君に言葉を伝える手段があったことのほうが嬉しかった。


「私だって、やるときはやるんだからね!」


精一杯の見栄をはったけど、その声は何故だか震えていた。






 うるちゃんが見つけてくれた「骨伝導」という伝達手段は、間違いなく偶然の産物であろう。しかもまだまだ改善の余地がある代物。それでも間違いなく物事の伝達において、一方通行ではあるが俺たち「欠落者」にとっては、小さくても確実な一歩に間違いはない。

俺は骨伝導についてそれ程までに詳しい訳ではないが、おそらく何となくだが、俺の手を染の頬に当てて会話を続ける。この方がより鮮明に聞こえるのでは無いかと直感したからだ。


「染、今は話さなくて良い。外の『灰色の雪』のことは知っているんだな?」


その言葉に、間髪を入れず頷く。意思の疎通が図れていることを俺に伝えようとしているのを感じる。


「ならば、この『灰色の雪』は普通ではないんだな?これは完全に俺の憶測なのだが、あの雪は無作為に魔力を探知していると考えて良いのか?」


俺には『灰色の雪』に僅かだが魔力が込められていて、その術式が見えていたから、おおかたの予想がついていた。だが、まだこの能力について知られたくはないから、敢えて染に答えを求めた。染は少し考えてから小さく頷く。おそらく確信はないのだろうが、それでもその可能性は考慮すべきだとの考えなのだろう。「イエス」か「ノー」の二択しか答えられない状況で、染が出来る最大限の意思表示なのだろう。


「だとしたら、こんなシェルターでなくても、家の中で十分じゃ無いのか?」


この質問には意外にも染は全力で首を横に振る。そして手にしたキャンパスノートに走り書きでこう書いた。


「感知できなかった雪が地面に落ちて、やがて水になり、水蒸気となって空中に散布するから。」


その答えに、染の暴挙とも言える行動に納得をせざるを得なかった。






 まさか、自分が誰かの声を再び聴ける日が来るとは考えもしていなかった。ましてや、久々に会話が出来た声が、よりにもよってあんな男だとは妄想の対象外ですらあった。それでも、一番最初に聞いた声がうるで少し救われた。本当はなちさんの声を一番最初に聞きたかったのだが、あの男よりは十二分にマシだった。

そんな男に、あろうことか頬を触られ、『灰色の雪』について問いただされるも、僕の感情は、この世界に来て初めて触れる温もりに涙が止まらなかった。考えてもみれば、これまで他人を避けてきた僕が誰かと手を繋ぐことなどはなく、なちさんとだって、テーブル越しに筆談で会話をするくらいだった。

そんな中、うるは水が上から下に流れるのと同じように、僕の手を掬いとり、僕に言葉を伝えてくれた。それは小さくて、でもとても温かくて、僕の心の鎖をいとも簡単に解いてくれた。そんなことがあったから、あの男の悍ましい行為も実直に受け入れられたのだろう。

 『灰色の雪』。長い間こちらの世界で生活をしてきた僕でも、一度だけしか見たことがなかった。

あれは、とある『ユニーク』がこの世界に反旗を翻し、こともあろうか絶対的支配者である『カーディナル』のもとを去った時だった。世界中を覆うように連日激しい猛吹雪が続いた。しばらくして猛吹雪はおさまり、また普段と同じ日常に戻るのかと思ったが、世界中を『灰色の霧』が覆い、時にはその霧で倒れる者も少なくはなかった。霧が覚める頃にはまた猛吹雪が世界中を覆い、これの繰り返しが続いたあと、残ったのは、僕やなちさんを含めた『ユニーク』だけだった。何故そうなったのか僕には分からないが、人の中に身を隠した『反逆者』は、いとも容易く捕縛され、磔刑に処された。その光景はあまりにも蛮族的で、とても文明を持った人類の成す行為とは考えられなかった。それと同時に、僕たち『ユニーク』に対して、恐怖を与えるのには十分すぎる光景だった。そして今まさに、あの時と同じ状況がこのシェルターの外では起こっているのだ。その時の『ユニーク』も、先代の『ドクトリーナ』だった。僕は彼と接点がなかったから、彼がどんな人物かは知らなかったけれども、『ドクトリーナ』というだけで、この男を敵対視していたのだろう。






 私の手を握った誰かの、小さな温もりを感じたとき、私は今持てる魔力を最大限その温もりに注いだ。私の意識が遠のき、気がついた時には染君の頬に手を当てた、ずぶ濡れのラフィと、何故か涙する染君がいた。私はどちらかと言えばTLが好きなのだが、その異様とも見える光景に、何故か心を奪われた。と、同時に私のお腹のグラトニーが不満を大声で叫ぶ。そのあまりに唐突な来訪者の呻き声に、瞳を見開いて振り返る二人の視線。まだ涙を流し続ける染君。そんな彼、彼女らに、朝の挨拶をする。


「ご、ごきげんよう...。」


ラフィだけずぶ濡れなのと、うるちゃんの頭が泥だらけなのと、何に涙をしているのか分からない染君と、頭の中がごちゃごちゃのままだ。元気そうな三人と、灰色になってもたれ掛かるマリアンを見て、どうやらさっき私の手を握ってくれたのはうるちゃんなのかなと少し安心した。と、同時にうるちゃんだった事が、私のお腹のグラトニーにとっては好都合だったようだ。


「...うるちゃん、朝ごはんまだ?」


そう言って、今朝の家事は『コウクス』様にお任せして、モーニングまで二度寝を決め込もうと思った矢先のことだ。ガチャガチャとけたたましい物音に、懐かしさを覚え、ふと顔を正面に戻す。そこは外の筈なのに、真新しいシステムキッチンと僅かな食材、調味料が綺麗に並べられていた。傍では、何かをどなり散らすラフィと、困惑する染君。今度はうるちゃんが涙でいたいけな表情を浮かべている。またしても、どうしてこうなった?という光景に驚きはしたものの、何故だか懐かしさを覚えて少しの眠りについた。






 御用命とあらばどこででもお作りいたします!と意気込んでみたものの、私のレパートリーは『マリアンの、マリアンによる、マリアンのためのチャーハン』一択なのだ。何を迷うこともなく染君に必要な物をオーダーする。長い名前とは裏腹に、至ってシンプルな材料から作り出されるこの料理のポイントは、卵をご飯に絡めてから炒め、途中で追いタマをする所がポイントだ。あと唯一の食感である玉ねぎは、少し存在感を残すように大きめに切る。このサイズ一つをとっても、マリアンはネチネチと文句を言うのだ。この前鳥カツを縦横四角にカットしたら、


「普通スティック状にカットするだろ」


と怒鳴られた。だったら最初から自分でやれよと思ったが、あの時は確か、ナイフを取ってくれと言われただけだったのを思い出した。その上、


「食べて欲しいなら、食べて欲しいなりの料理をだせ!これじゃ食べにくいのが変わってないだろ?」


とまで言われたが、そこは何か何となく納得してしまった私がいる。

そんなことを思い出しながら作るチャーハンは、果たして皆んなのお口には合うのかしら?そんな不安もあるが、何年も作り続けてきたこの味だけは自信がある。卵をふんだんに使用したチャーハンの上に、スクランブルエッグを添える。この一食にどれだけの卵を消費するのかマリアンは知らない。だけど、私の作るチャーハンが世界で一番美味いと豪語する姿が、私は大好きなのだ。


「さてー、お待たせさまー。」


何故だか髪を逆立てたラフィが、出来立てのチャーハンを覗き込んで無言になった。


「ねーねー染君、テーブルも出してよ。」


染君の頬に辛うじて届いた指をあて染君にテーブルをオーダーする。染君が描いてくれたテーブルに並んだチャーハンを見て、他の二人も言葉を失った。


「...いや言いたいことは分かるんだけど、騙されたと思って一口食べてみてよ。」


その言葉を聞いて三人は恐る恐るチャーハンを口に運ぶ。


「え、美味しい...。」


よっぽどお腹が空いていたのだろうか。味覚のないはずのちあちゃんから、味の感想が聞けるとは正直思ってもいなかった。


「ちあちゃん?味、分かるの?」


その言葉にハムスターのようにモグモグと動く口が一瞬止まり、瞳が冷静さを取り戻す。


「...黒胡椒とガーリックの香りがそう感じさせるのかな?...でも、とっても美味しいんだよ。」


そう言って、満面の笑みでチャーハンをたいらげた。まるで、昔を思い出すかのように。


「フラッシュバックだな。嗅覚は脳の記憶に直接作用するらしいからな。きっとあっちの世界で食べた味を思い出させるんだろ。この卵入りガーリックライスは。」


そう言ってラフィは黙々と食べ続ける。


「そう、このガーリックライス、とっても良い香りで、目隠ししてても美味しいのよ、きっと!」


いや、悪気は無いのは分かってはいるが、これはチャーハンだし。目隠しって...。私のこの行き場のない感情はどこのポケットに押し込めばいいのだろうか。

そうこう考えてるうちに、ちあちゃんがぐったりと倒れ込んでいるマリアンの元に駆け寄り、私を見る。その行動の示す意味を私は知っている。


「ちあちゃん、ありがとう。でも大丈夫よ。キスしなくても治せるんでしょ?」


その言葉に、後ろめたさと恥じらいを隠しきれない表情でこう答えた。


「うるちゃんごめん!...あれは、なんて言うか、その場の雰囲気で私からしちゃったの。そんなつもりとかは全くなくて、むしろぷっくらと誘惑するマリアンの口唇に引き寄せられたというか...」


必死の相で言い訳を並べるちあちゃんが少し可愛く見えて、何故だか怒る気にはなれなかった。


「いいよ?だって今マリアンは私たちと同じ女の子なんだもの!新しい世界へようこそ(笑)」


そう言って茶化してみたものの、私の中では複雑に絡まる糸がキツく心臓を締め付けていた。


「ごめん、ありがとう。」


ちあちゃんがそう言ってマリアンに顔に近づく。その瞬間、ちあちゃんは二度目のキスをマリアンに捧げた。


「え?」


その言葉に口唇を合わせながら綺麗な二重を大きく見開くちあちゃんも同じく


「え!?」


その『え!?』の根拠はどこから来たのだろうか。


「え、だって今いいって言ったし、今は女の子だから、新しい世界へようこそって...」


Oh No...。確かに言ったのは私だが、私の語彙力が乏しいのか、ちあちゃんの想像力が逞しいのか…。いや恐らくはその両方なのだろうが、平日の昼ドラはきっとこんなシーンを毎日流しているのかなと、更に複雑な気持ちになった。

 そんな私のバックラッシュ状態の感情などつゆ知らず、暴君が目を醒ます。たった数秒の出来事で、眠りについていた仮称レディを目覚めさせるのだ。ちあちゃんの能力の凄さを実感せざるを得なかった。


「...あれ?もーお昼?」


一体どんな夢を見ていたら寝起きにお昼ご飯の確認を...と、思うかもしれないが、マリアンは普段から朝食を摂らないのだ。なので、いつものチャーハンの香りから大方10時前後を想定したのだろう。

いつものように寝起きのボサボサの髪のまま食卓に着く。私は慌ててコップに水を入れマリアンの目の前に置く。その光景を見ていた三人は、ぽかーんと口を開けて不思議そうに観察していた。念のため用意していたマリアン分のチャーハンを取りにキッチンへ戻るが、そこにある筈のお皿がない!


「え!?ちょっと、何で?」


私の慌てぶりに驚くちあちゃんとラフィとは裏腹に、マリアンは涼しい顔で水を飲んでいる。


「ここにあったの誰か食べた!?あれ、マリアンのなんだけど!?」


その言葉に、はっとしたラフィが、恐る恐る震える手を挙げる。それでもまだマリアンが綺麗な顔のままで居てくれたことは不幸中の幸いなのか、嵐の前の静けさなのか、何日かぶりに実感する恐怖に言葉が出なかった。


「...マ、マリアン?すまん、おかわり分だと思って食っちまった。」


そう言って、ラフィがマリアンの目の前に差し出したチャーハンは、もはやラーメンのお供についてくる半チャーハン程しかなく、その分量に対してちゃんと計測したのか?と問い正される覚悟で唾を飲む。目の前に置かれた半チャーハンを見下すように見て、深いため息をつく。くるぞくるぞーと心を臨戦体制まで押し上げるも身体は硬直していた。ひやりと嫌な汗が私の全身の毛穴から噴き出すのが分かる。


「...スプーン...ちょうだい。」


その言葉に、硬直したはずの身体が勝手にスプーン手に取り暴君へと捧げた。


「ん、あんがと。」


へ?それだけですか?まだ寝ぼけているのかい?いやマリアンが寝ぼけている所を見たことがない私には、違和感しか感じられなかったが、何も知らないちあちゃんは私の行動を見て少し不思議そうな顔をしていた。ラフィは、ほっと一安心した様子で、マリアンの食事を眺めていた。


「ロココ、そんなに見つめられると食べにくい。」


そう言って、ロココの視線を外し、半チャーハンを食べ終えたマリアンが満足そうな顔で言う。


「やっぱ、うるの作るチャーハンは美味いなー。」


その言葉を聞いてラフィとちあちゃんが一斉にマリアンを見る。マリアンは瞳を閉じて口の中の余韻を楽しんでいる。


「そ、そうだ、だな。このチャ、チャーハン、さ、最高だ、だよな。」


小さなチワワが震えながら答えるも、ちあちゃんは驚きのあまり、私に叫んだ。


「うるちゃん!?これ、ガーリックライスじゃなかったの!?」


「ADXラプラス」第2章をご覧いただきまして有難うございます。

物語の始まり、複数視点からの進行となりまして、最初は読み辛い点も多くあるかと思いますが

今は誰の心情で物語が進行しているのだろうかなどを楽しんで頂ければと思います。


公式ホームページより

各種SNSのリンクもあります。ぜひご登録頂けましたら今後の活動の原動力ともなります。

どうぞ、宜しくお願い致します。

https://6212.me/


佳逗葉

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