第19話 おじさんは幸運を運ぶ?
「おじさんちょっと待って。」
少し距離をとって、ジュリさんに確認してみる。
「あの【???】の強化書って武器精霊だと思いますか?」
『うーん。どうだろう。絶妙に成功率が3%ってのが違う気もするのよね。偽装するなら、極限までさげるか上げるかするのが武器精霊の正解では普通だったのよね。』
「3%がネックか。でも今回のことがあると、買わないのもな…」
「あと一つの武器に二つの武器精霊はつけられるんですか?」
『それは無理ね。このスポンジなら耐えられる可能性は高いけど、2つの意識が入るから、精霊同士の意思疎通が難しいわ。』
そりゃそうか。簡単にコントロールできるわけはないよな。
「おじさん。【質量増加】と【???】が欲しいんだけど、今、そんなに手持ちがないんだ。」
この後魔石が売れればそこそこになる気はしているが、出来るだけ安く買っておきたいし、このおじさん自体に信用はない。
「おぉ、二つも買ってくれるかね。それなら、5000ゴールドでどうだい。」
「いやいや、前回のあの強化書売りつけて来たときは、説明もなかったし、1500ゴールドまで負けてよ」
「こっちも商売じゃ、そう易々と売るわけにはいかん。」
「わかった。1500ゴールドとこのスライムの魔石10個でどう?」
「お兄ちゃん、まだまだ持ってるじゃないか。15個じゃ。」
「わかった。それで買うよ。」
実際の所、15個は普段だったらめちゃくちゃ痛い。3日分の生活費になってもおかしくない。
ただ今回は大量に狩りまくったし、黒スライムの魔石という希望がある。
これで2つならいい買い物だろう。
強化書をしっかりもらったので、街に向かう。
あの強化書おじさんに会うといいことがあるのだろうか。
そんなことを思っている間にギルドへ着いた。
買取カウンターで、魔石とイビルスライムの羽を出した。
カウンターのお姉さんは2つのアイテムを確認して、
「少々お待ちください。」
と奥へ引っ込んでしまった。
いったいどうしたのだろう。
そして、帰ってきたお姉さんから、
「ユーリさん。奥のお部屋へどうぞ。」
といわれ奥の応接間へ通された。
応接間では、屈強なカラダをしたベテランさん二人が座っていた。
「ユーリくん。そこにかけてくれるかな。」
言われるがまま、椅子に掛けたところ、一番偉いであろうベテランさんから、威圧感たっぷりに言われた。
「このアイテムは誰から奪ったんだね?」
あの強化書おじさんは、幸運ではなく不運を運んできたようだった。
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