第11話 ついに…
『もうイヤァァー』
案の定絶叫するジュリさんを無視しながら、スポンジを揉み込む。
何度となくスポンジを潰すのを繰り返していると、
『スキル取れたからやめて!』
何も普段のジュリさんが偉そうで、ちょっとイジメてやりたかった訳ではない。
断じて無い。
【形態変化】のスキルを取る条件に、「武器の外観が100回以上変わる」との記載があったので、スポンジを揉み込んでいた。
何度も言うが、断じてジュリさんをイジメたかった訳ではない。
そして、もう一つのスキル【硬化】を手に入れる為に、キッチンに向かう。
『まだ作業があるんだよね。』
「もうひとつですからね」
『今日はかなり活動したから、明日にしない?』
「こういうのはすぐに終わらせるに限りますよ」
言い終わった瞬間、手に持っていたスポンジをまな板にぶつける。
次の目当のスキル【硬化】は「武器より硬い物質に100回以上衝突する事」が取得条件だった。
『もうちょっと優しさとかないわ「ビタン!」
言い終わる前に再度ぶつける。
その後は言葉を無視して、無心での作業となった。
『スキル取れたから…』
『早くやめて…』
「取れましたか!そうしたらスライムのところいきましょう。」
『まだなの…』
「やっとスライム狩れそうですから。」
ーーーー
手元には[短剣]となったジュリさんがある。
【形態変化】の落とし穴があり、物質の質量は変えられなかった。
なのでスポンジを薄くして最大限のサイズが[短剣]だった。
《ウォーターボール》の失敗を活かして、
一応家の周りの木に[短剣]打ち込んでいる。
逆手に構えて、いつもの[両手剣]を振る時と剣撃のスピードは変わらない。
しかし、結果が全く異なった。
木が真っ二つになったのだ。
「おぉ!これならスライムガンガン狩れそうですね。ジュリさん」
『あの苦難を超えたんだから、当然よ!』
よっぽどスキル取得の作業がイヤだったらしい。
そんなジュリさんを使って何本か試し切りしたので、スライム狩りに向かった。
いつもの場所でスライムと対峙する。
ジュリさんを使ってのスライムとの三度目の戦闘。
こいつには何度煮湯を飲まされただろう。(主に自己責任)
今度こそはと逆手に構えた[短剣]を振るう。
いつもより間合いが近いが、恐怖心が出てしまったのか、切先が辛うじてスライムを掠めた。
ヤバイ、反射的に反撃に備えたが、スライムは倒れていた。
「やったー!やっと倒せたー!」
「続きが読みたい」と思った方は、
ブックマークと評価の方をよろしくお願いします。
更新の励みになります!
感想、レビューはもっと嬉しいです!