第1話 この「スポンジ」すごい……
「これってヤバくないか…」
ユーリは台所で鑑定したスポンジをみて、思わず呟いていた。
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「はぁ、掘り出し物だと思ったんだけどなぁ。」
露天商から買った強化書を見ながらユーリはトボトボと帰路についていた。
破格の値段・スキル付与という珍しさに惹かれて気づいたら購入していた。
「今思えば、あの時の笑顔が胡散臭かったよなぁ…はぁ、とりあえず帰ってちゃんと確認しなおそう。」
足取りは重い。
もともと、運動神経が良いわけではなく、中の下くらい。
能力もギリギリ平均的なところに届くかなというくらい。
なれるジョブも消去法で戦士しかなかった。
スライムには勝てるが、
ゴブリン相手には苦戦してしまう。
結果として稼ぎが少なく、生活もギリギリ。
それでもコツコツと貯めてきたゴールドだったのに…
「もう一度確認してみよう」
□
・中級武器強化書
強化可能武器種〈全〉
効果〈スキル付与〉【???】
成功率:1%
□□
「スキルの種類も分からないし、成功率低すぎだろ…」
一般的に武器にはスキルがつく事が多く、
使用者の能力を上げるものや武器の能力を上げるもの、
属性の付与なんてものもある。
戦士のユーリが使っている武器は[両手剣]
近所の武器屋で購入した普通の一品
スキルもついていないし、攻撃力もそこそこ。
今回の強化書で少しでも狩りが楽にならないと思っていた。
今回の強化書使用に渋るのには理由があった。
まずは信じられないくらい成功率が低い事、
1%ってなんだよ!
そして、どんなスキルがつくか分からない事。
特定の武器にしか有効でないスキルが存在し、
【飛距離アップ】のスキルがついても剣技には何の意味もない。
ユーリ自身の持つ剣技の中に斬撃を飛ばすものもない。
せっかく成功しても無駄になる可能性があることがユーリを躊躇させていた。
「このまま強化書、転売するか?
あの露天商があれだけ割引してたんだからなぁ…
最低でも10万ゴールドはする強化書が1万ゴールドだもん。
気づけよ俺…」
この剣は1000ゴールドなので、
強化書でなくいい武器を買うことも出来た。
ただ、使い込まれて馴染み始めた今の剣に愛着があったこと
強化書のロマンに心が傾いてしまった。
「貯めてきたお金もほぼなくなったし、
まずはスライム借りに行くか。」
騙されたという気持ちをスライムにぶつけて、いつもより狩りは捗ったが、
それでも、ギルドで素材を買い取ってもらい150ゴールド。
散財してしまった心のダメージをまた感じてしまった。
「とりあえずご飯を食べて元気だそう。」
黙々と食べて、少し元気が出たので早速片付け。
そして、強化書をどうするか考えながら皿を洗う。
「剣に使って、強化失敗の方が納得出来るのか?
なんかいい武器があるといいんだけどなぁ。」
そんなことを考えていると食器を洗っていたスポンジのステータス画面が現れる。
□
・ふつうのスポンジ(黄色)
〈スキル〉【除菌】
□□
「えっ?」
「何これ!!」
もう一度落ち着いてスポンジのステータスを確認。
□
・ふつうのスポンジ(黄色)
〈スキル〉【除菌】
□□
「スポンジにスキルがついてる…
両手剣にはついてないのに」
もしかして…
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