映画(2020ver.)
私が映画を撮るなら、死の予行演習のような映画がいい。いや、この場合むしろ死の百科事典と言うべきか。はじめに採血のシーンがある。それからカルテにサインをする。自らが望む望まない死に方にチェックを入れていく。
それから死ぬ。ひたすら死ぬ。バイク事故による轢死。痴情のもつれによる刺殺。ビルからの転落死。薬品による脳機能の破壊、老衰、心臓発作。アルコール中毒死。拒食死と過食死。失血死に、腐爛死に、臓器破裂による死も含めてあらゆる死に方を私は演じる。
あらゆる死を経験して人は大人になる。そう言いたいがために、私は何度でも死ぬ。
カットの後、今のもひでぇ死に方だったなと監督が言う。それに釣られて、私も笑う。