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アンダーハウル  作者: 室木 柴
第一章 誰しも頭のなかに
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UH用語メモ

 こちらはアンダーハウル(略称:UH)に登場する用語、世界観設定になります。

 わかりやすさを考え、同じような説明がある箇所もございます。

 また、一応資料を読んだうえでの設定ではございますが、勉強不足により「おかしいな?」という点があるかもしれません。ご容赦いただけますれば、有難く存じます。


【バラール国】

 二度の大地震(境界大震災、第二次境界震災)によって甚大な被害を受けた元・観光国。

 一度目の大地震で、一定のラインから磁場の乱れを始めとした原因不明の異常により、孤立した。

 その大地震以降、一定のライン=「境界線」近くで琥珀と石炭の中間のような見た目の石が採れる(猟れる)ようになる。鱗のような模様があり、従来の石炭をはるかに超えるエネルギーを秘めた石は、「竜炭石(ドラッシュ)」と名付けられ、蒸気機関が急激に発展した。

 治安向上・スムーズな情報伝達・効率化、そして才能の発掘と文明への貢献を理由に、下層民にも六年間の義務教育を施し、優秀者はそれ以上の教育を得られることもある。識字率が高い一方で、格差は大きいまま。


【貴族】

 表向きは、バラール国混乱期において、率先して立ち上がった人々およびその子孫・血縁者。上流階級。

 実態は、英雄・魔術師などの血筋であり、オカルト的能力を有する人々。

 混乱期において人々の無意識に方向性を与え、その後も魔術によって国が崩壊しづらいように動き続けている。

 彼らの魔術は信仰をはじめとした無意識のちからを利用するものであるため、人々と己自身に対し、無意識に「文明は続く」「文明は頑健である」と語りかけており、その暗示の一環としてヴィクトリア風の文化を残している。


【中流階級】

 中流階級。結構いい暮らしをしている。

 魔術師として蓄積した魔術を喪失してちからが弱まったり、事業に成功したり能力を認められたりした下層民など、一番色んな人間がいる層。

 後天的に魔術を知って取得した人間、奨学生として認められた人間(学者など)の多くは中流階級に属する。


【下層民】

 バラール国が孤立した際、なかには偶然その時たちよっていただけの異国人もいた。

 元の国に戻れず、連絡も取れない。同じ宿に泊まり続けることもできるはずがない。

 やがて彼らは「移民」として扱われるようになる。

 あるものは収入を求めて雇用され、またあるものは自分たちを守るために移民どうしで手を組んだ。

 識字率こそ高いものの、貧しい環境から抜け出しきれず、義務教育が終われば働く子どもがほとんどである。

 すべての異国人が下層民になったわけではなく、地震前から定住していたもの、特殊技能を有していたもの、まだ孤立したと確信していない頃にうまくやったものもいるとか。しかし口に出さずとも、異国人=下層民という認識があるのは変わりない。


【向こう側】

 俗に文字にすれば「オカルト的パワー」が存在する正体不明領域。

 いくつか存在する仮説では、「人々の普遍的無意識の海」「物理法則とは異なるルールで構成された精神世界」とされている。

 多くの人間は無意識、感覚的にしか触れることができず、また触れたという自覚もない。

 

ビースト/獣憑き(ビーストライダー)】

 何らかの事情で「向こう側」とつながってしまった生物。

 まれに動物にも「向こう側」とつながるものがいるが、比率としては人間が多い。

 非常に強い願望・もしくは衝動が、「向こう側」に対する「知覚してはいけない」壁を突き破ってしまい、オカルト的能力を保有してしまうことを「獣憑き」と称す。

 初期は「獣憑き」自身が異能を有していると思われていたが、獣の研究が進むうち、彼ら自身のなかに異能があって目覚めたのではなく、無意識の海から自分の願望に合致した能力を得ているとわかっている。

 この無意識の海からくみあげられた、個人が有する超常的能力を「獣」と称するようになった。


 一方で、祈りやおまじないなど、無意識の海/「向こう側」からくみ上げたチカラを用いた方式として組み上げられた術を「魔術」という。

 前者は個人の執着によるもの。後者は不特定多数の人間の無意識によって編まれた「これはこういうものだ」というルール(認識)を強化することで「向こう側」から集中的・限定的にちからをくみあげ、現実に作用させるもの。

(ただし、多くの人々が信じてしまう、考えてしまうことで、個人が存在しなくても「獣」が発生する場合もある。

例:実在しない「怪物」の噂が流れる→噂の存在を知る人、想像し、恐れ、認識する人間が増える→一人一人は微弱でも、多くの人間の想像力が強固なものになる→人々が「このような怪物がいる」と考えた通りの怪物が出現する)

 このように、「向こう側」から流れ込むチカラは、物質の世界に対し、精神のちからで作用できてしまう。

 獣憑きには様々なタイプがいるものの、その執着が多人数の想像に匹敵する強力さであるのには間違いない。

 たいていは無意識に存在する「ここまででやめておくべきだ」というブレーキを失ってしまっており、「走りきるまで止まれない」性質から保有者はビーストライダーと仮称されている。


【ANFA】

 アンデッド・フロム・アガルタ(アガルタよりの死者)の略称。読み:アンファ。


 孤立したバラール国は、文明の発展を求めることで循環を高め、人々の鬱屈した願望に楽観を与えようとした。

 しかし一方で、国をいち早くよりよく機能させるため、古き血を継ぐ人々によるオカルト的パワー(魔術、奇跡などの超常)を用いて、物事が都合よく進むよう利用している。

 たとえば貴族層が、あえて(絢爛であれど)一昔前の文化であるヴィクトリア風の風潮を残しているかといえば、「かつてあったもの(特に、古い・美しいなど、人々の意識に強く残りやすい文化が望ましい)」が「残っている」という事実を人々に認識させることにより、「優れた文化は存続する」と信じさせ、その信仰の力を無意識の海からくみあげて、スムーズに文明の発展と保存を促すレール敷きと結界として利用している。


 信仰はひたむきだから、純粋なちからを持つ。それは無意識、あるいは感覚のレベルに近ければ近いほど不純物がなく無垢である。

 知識のみを未来を照らす松明とする無粋なる人々が、無遠慮にオカルトへ解明のメスを差し込めば、正誤にかかわらず失われる精神のきらめきがある。

 情報の伝達もいち早くなった世界で、下手にオカルトの実在が広まれば、コントロールできなくなる(最悪、神秘の力が消滅する)仮説もあった。

 さらには、孤立した環境のせいなのだろうか。不安感から迷信・伝承の復活、都市伝説の流行、カルト組織の発生、それらを起因とした獣も増えてしまった。


 科学も必要。オカルトも必要。

 結果、表社会では科学と発展を賛美し、オカルトを虚偽のものとしながら、古い文明や迷信がいまだに残っている状態になった。


 だが、実際には「オカルト」は存在する。むしろ、孤立した世界はかつてより狭く、空気のめぐりが悪くなった。

 表向きは事実ではないために真剣に扱うことのできない怪奇現象、奇っ怪な事件を、代わって解明する組織がANFAである。


 バラール国が孤立したのち、能力のある「移民」、そのなかでも「獣」の権能を得た人間を勧誘、表舞台では扱えなくなった事件を解決する役目を負うことで代わりのない立ち位置なっている。

 実質的な超法規組織。元々は孤立したバラール国で、早々に危機感を覚えた移民たちが手を組んで、自分たちで自分たちを守ろうとしたのが始まり。

 古い血筋でオカルト的知識・能力を有し、資金力もあったANFAの初代ボスが目をつけ、彼らを援助・統率して出来上がった。

 現在も獣を起因とした事件の関係者、獣の保有者、能力のある移民を中心に構成され、秘密裡に活動している。


 表向きの職業は主に鉄道会社。

 ANFA初代ボスは「異界との交信・調停」に関する魔術に造詣が深く、孤立以前に発生した獣憑きの事件によって迷い込んだ異種族ドヴェルグを保護の名目で囲っていた。

 大地震により深刻なダメージを受けた国土に、ドヴェルグ達の協力によって素早く修繕を行い、蒸気列車の走る鉄道を敷いたことで流通・経済などにおいても権力を握っている。

 おおもと――鉄道を敷くため――の資金源は、とある島の支配者一族から嫁を貰うことで成立した。

 支配者一族は、被支配されている住民たちに、一族と協力関係にある政治家を支持させ、当選させることで政治的権力を握っている。

 そこまでしておきながら、ANFAのボスは不思議とその権力を、経済や文明を発展させることと、獣憑きを探すことに費やしているようだ。

 

 名前の理由は、「既に死んだような扱いをされた者たちに与えられる、地下帝国だから」。

 ネヴの刀もドヴェルグ製。


駆動装甲ニスデール・ドライブ

 蒸気と合金を用いた強化外骨格パワードスーツ

 表向きは上流階級や一部の中流階級だけが購入できる義肢、補助機械とされている。

 実際はその製造には魔術的技術も使用されている。科学と魔術の間の子。

 魔術師でもあり科学者でもある錬金術師たちによって開発、製造される。

 身体の一部、ごく一部の機能であれば、誰でも使用できる。機械のちからで動くが、一部の原動力と操作は精神寄り。

 しかし、全身を覆うニスデール・ドライブとなると、使用できる人間は限定される。

 柔軟に魔術を扱える人物、もしくはニスデール・ドライブを扱うことに合致した性質を持つ獣憑きに限られる。

 錬金術師を囲えるだけ豊かな人間、ニスデール・ドライブの扱いに長けた優秀な貴族は個人的に有していることもある。他にはいざという時に危険な事件を鎮圧するための兵器として軍にも所有されているが、神秘を隠匿せねばならない事情から、まず使用されない。倉庫の肥やしになっている。

 ANFAには獣憑きが多いため、比較的ニスデール・ドライブの保有者も多い。ただしネヴなど相性が悪い獣憑きもいる。

 内面世界・精神とニスデール・ドライブを繋げて使用するため、肉体が現存していたとしてもすべての感覚を繋げてしまう全身駆動装甲は「めちゃくちゃに使い心地が悪い」らしい。

 人型の鋼鉄に包まれることから、全身駆動装甲は「装甲機人アーマード・メイデン」という別名を持つ。


【宗教】

 一神教。上流階級出身のメンバーも多く、また大地主であるため、発言力は強い。

 科学が賛美されるなかで、熱心な信徒の数こそ減ったが、不安定な状態から教会を頼る人間は多い。

 表向きに存在を知られていない(だからこそ多少横暴な行動もできる)ANFAと異なり、表向きにも活発に活動できる「エクソシスト」がいる。

 


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