ドキドキな一日の終わり
「ここが、食堂。おいしいけど学校は学食で食べる人がほとんどだからかなり混むよ?お弁当を持ってくるのお勧めするけど・・・まぁそれは東さんが決めることだから」
食堂を紹介しながら私はそう言う。
「関川さんたちは、お弁当なの?」
「えっと・・・そうだね、私も朱莉も生徒会の仕事とかあるからあまり学食にはいかないっていうかいけないんだ・・・生徒会室で食べるのが日常茶飯事だから。」
私は苦笑いしながら東さんに言う。
「そうなんだね。うーん・・・」
そう言うと、東さんは少し悩んだように何かを考え込む。
「どうかしたの?」
私は、首を首を傾げながら東さんを見た。
「あっいや・・・私もお弁当にしようかなって考えてた。そしたら、関川さんたちと食べれるし・・・」
東さんは私に微笑みを向けながらそう言った。
「でも、食堂で食べなくていいの?」
私は、驚いた表情でそう言った。
「私、料理好きだし、前の学校はお弁当持参だったから。食堂ってどうにも落ち着かないみたいそれに・・・関川さんたちとお弁当食べたいな・・・ダメかな?」
東さんは上目遣いで笑いながらそう言う。
(ドキッ)
「あー・・・うん、別に構わないよ?明日から一緒に食べる?」
私は自分の胸の高鳴りを隠すように平常心でそう答える。
「やった!」
東さんは笑顔でそう言うと子供のように無邪気にはしゃいで見せた。
(こういう面もあるんだ・・・可愛すぎる・・・)
私ははしゃぐ東さんを見ながらそんな事を思った。
「じゃあ、東さん次に行こうか」
「あっ!待って、関川さん」
東さんから呼び止められ私は東さんの方を振り向いた。
東さんは何やら体をもじもじとさせ、顔を赤らめ下を向いている。
「どうしたの?」
私はそんな東さんに話しかける。
「えっと・・・ずっと言いたかったことがあるんだけどいいかな?」
「えっ!?」
いきなりのその言葉に私の胸はドキリと弾んだ。
(こっ・・・告白!?)
私の脳裏はパニック状態になる。
「なっ・・・なに?」
私は、察せられまいと普通に話す。
「えっと・・・」
(ごくり)
私は、生唾を飲み込んだ。
「私の事は、その・・・名前で呼んで・・・」
「へぇ?」
私は東さんが発した一言に間抜けな声が出てしまう。
「・・・」
(あー・・・そうだよね?告白なわけないよね?女の子同士だもんね・・・)
私は冷静さを取り戻しつつそう考え
「えっと・・・紗季?」
と下を向き黙り込む東さんに名前を言う。
私が名前を言うと東さん・・・もう名前で言ってるからここからは、紗季って言うね?紗季はバッと泣きそうな顔で私を見た。
「えっ?紗季?どっ・・・どうしたの?違った?」
私は、オドオドとしながら紗季に言う。
「いえ・・・その・・・嬉しくて」
(いや・・・ただ名前言っただけなのに・・・普通・・・だよね?私がおかしい訳じゃないよね?)
私はそう思いながら
「もう泣かない!」
とポリポリと頬っぺたを搔き、泣いている紗季にホイっとハンカチを差し出した。
「えっ?」
「泣いてると、せっかくの可愛い顔が台無しだよ?」
私は、優しく微笑みながら紗季に言う。
「あっ・・・ありがとう」
紗季は、私からハンカチを受け取ると涙を拭う。
「下校の時間です。校内に残っている生徒は速やかに帰宅しましょう」
そうこうしていると下校を告げるアナウンスが流れた。
「あっ・・・もうそんな時間か・・・ごめんね?あんまり案内できなくて・・・てか、食堂しか案内してない・・・」
私は、そう言いながら肩を落とし苦笑いする。
「いえ・・・」
涙が止まった紗季はそう言いながら私に笑顔を向けた。
(ドキッ)
私はその笑顔に胸の鼓動が早くなるのを感じながらも平常心に
「じゃあ、紗季、帰ろうか。明日また案内するから」
「うん!あっもう一ついいかな?」
紗季は忘れていたことを思い出したかのようにそう口にした。
「なに?」
私はそう言いながら紗季を見る。
「私も・・・関川さんの事、名前で呼んでいいかな?千沙って・・・」
「もちろん!いいよ。てか、私が紗季って呼んで紗季だけ名字で呼ぶの変でしょ?」
紗季の言葉に私は少し笑いながら答える。
「それもそうだね?」
そう言いながら紗季もクスリと笑う。
「あっ、そうだ、今更だけど・・・一個だけ紗季に言うことがあったの忘れてた!」
「何?」
紗季はそう言いながら私の言葉に首を傾げる。
「ゴホン・・・紗季!須王桜高校へようこそ!これからよろしくね!」
私はそう言いながら紗季に手を差し伸べる。
「うん!よろしくね、千沙!」
紗季は私の手をギュッと握りそう言った。
(ドキドキ)
紗季から手を握られ私はまたもやドキドキと胸の鼓動が早くなった。
「じゃあ、帰ろうか」
「うん!」
私たちはそう言いながら下校する。
「ただいまー」
紗季と途中で別れ私は家に着いた。
(ボスッ)
「はぁ・・・今日一日疲れた・・・」
今日、一日中紗季にドキドキさせられ疲れ切った私はため息をつきながら自分の部屋のベッドに横になった。
「名前で呼んで・・・くー!」
(バタバタ!)
私はベッドの布団に包まりながら紗季を思い悶えるのだった。