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内緒の初恋スクールライフ!  作者: アルブレッド
2/6

初めての恋

次の日、私は、学校で昨日の出来事を朱莉に話す。


「えー!それ、千沙の見間違いじゃない?」


「そうかな?」


「絶対、錯覚だよ!」


「うーん・・・そうだよね?」


 私は、〈錯覚だ。〉と自分に言い聞かせることにした。


 (キーンコーンカーンコーン)


朝のホームルームが始まるチャイムが鳴り、皆はそそくさと自分の机に座る。


朱莉も椅子を前に向けきちんと座りなおした。


(ガラッ)


教室のドアが開き先生が入ってくる。


「ハーイ!朝礼始めますよ!その前に、今日は転校生を紹介しますね!」


先生はそう言いながらドアの方を見る。



「かわいい子ならいいなー」


「えー、イケメンがいい!」


クラスでは、チラホラとそういう声が上がる。


「もうみんな静かに!さぁ、入って」


私は、そういうのに興味がないから肘をつきながら窓の外を見ていた。


「うぉー!」


「よしゃー」


男子がそう言いながら叫んでいる。


「めちゃ可愛くない?」


「うんうん、まるでおとぎ話で出てくる妖精みたい」


女子がコソコソとそんな事を言うのが聞こえ、私はバッと教卓を見る。


「あっ!」


(ガタン)


その子を見た瞬間、私は目を見開いて思わず声を出して立ち上がってしまった。


「どうしたの?関川せきかわさん・・・」


先生が驚いたように私を見る。それと同様、クラスメイトも全員が私に注目した。


「いっ・・・いえ・・・少し、寝ぼけていて」


私は、苦笑しながらそう言う。


「生徒会長の仕事で大変でしょうけど、しっかりしないといけませんよ?」


「すみません」


私は顔を赤くし頭を下げて席に着席する。


「ははは」


皆は、少し笑いながら教卓に目を戻した。


私も皆と一緒に教卓に目をやる、するとその子と目が合った。


目があった事に気が付いた彼女は、少し微笑みながら黒板の方に向き名前を書く。


「初めまして、あずま 紗季さきです。皆さんと仲良くできたらと思います。どうぞよろしくお願いします。」


彼女の透き通るような奇麗な声に私はもちろん、教室中が静まり返った。


「はい!じゃあ、東さんの席は、そうね・・・関川さんの隣でいいかしら?」


「はい」


彼女・・・いや、東さんはそう言うと、私の席の隣に置かれた席に座る。


(あー、教室に入って席座って、妙な違和感があったのはこれか・・・)


私は、机が増えていたことと、最初から東さんの席は決まっていた事に気が付き私は先生を見る。


「関川さん、東さん転校してきたばかりだから教科書とか見せてあげて下さいね?」


私と目があった先生は、笑みを浮かべながらそう言った。


「はい」


先生の笑みで私は察した、先生は間違いなく、私に東さんの全てを任せるつもりだろう。


(全く・・・教師が生徒任せって・・・)


私は、そう思いながらため息をつく。


「あのー・・・よろしくお願いします。」


小声でそう言う東さんに内心動揺しながらも、それが表に出ないように私は


「こちらこそ!わからないことがあったら遠慮なく言ってね?」


と笑顔で返した。


東さんは、私の言葉に微笑みを浮かべながら


「はい」


と又も小声で話した。


(ドキドキ)


さっきから心臓の音がうるさく鳴る。


(もう、ドキドキが止まらないとかまるで恋してるみたい・・・恋・・・もしかして、私彼女に恋してる!?)


私が初めて恋を知った瞬間だった。


(いやいやいや・・・だって、相手は女の子だよ?ありえない・・・)


「関川さん、教科書見せてもらってもいいかな?」


私はその声にハッとなり横を向く。


気が付くと、一限目の予冷がなり、皆は席についていた。


東さんは、申し訳なさそうに私を見つめている。


「あっ・・・教科書ね・・・うん、どうぞ、どうぞ」


私は、そう言うと一時限目の教科書を出し準備する。


「ありがとう!」


東さんはそう言い、私の机に自分の机をくっつけ顔を近づける。


(ドキ!)


彼女の顔の近さに少しビックリしながらも私は、動揺を見せないように必死に隠す。


「ねぇねぇ・・・」


「うんうん・・・」


「美形の関川とかわいい系の東さんが並ぶとすっげー絵になってるよな?」


「そうだよねー・・・私、一瞬見とれちゃった」


クラスからチラホラと小声でそう聞こえるが、そんなの気にならないくらい私の心臓はドクンドクンと脈打っていた。


(もうこれは、認めざるを得ない。私は、彼女に恋をしたみたいだ・・・)


高校二年の春、桜が散り終わる季節、私は恋をした。


春の妖精のいたずらか、それとも神様のいたずらか、今まで恋って何だろう?って思っていた私が初めて恋したのは、イケメンな男子生徒でなく、ひ弱で可愛いクラスメイトの女の子である、東 紗季、だった。

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