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VOLTIA  作者: わさぎ
3/6

火炎と雷

 登場神が一人増えます。

 ある日のこと。

 いつもと同じように、ヴォルティアは、ガドウォルドの路地を歩いていた。

 あちこちに酒瓶が転がっている。

 ヴォルティアは今日、とある神に会うことになっている。

 名をイグニセイアと言った。

 

 イグニセイアは、ガドウォルド有数の金持ちで、炎と金の神であった。

 イグニセイアは、強かったが、一度も戦争に参加したことがなかった。

 ヴォルティアは、イグニセイアを、ガドウォルド軍の戦力とするために、イグニセイアの居へと向かっているのだ。


 ヴォルティアは、歩きながら、別なことを考え始めた。

 実は今彼は、親と(いつも以上に)仲が悪い。

 ファラライズはうざい奴だなーとか、そういったことを考えていた。

 ヴォルティアのほうが明らかに強かった。それはファラライズも認めていた。でも、ファラライズのほうが、権力はずっと上だから、ヴォルティアのほうが総合的には、弱かった。

 

 ついにイグニセイアの家に着いた。

 イグニセイアの居は、”炎の都”と呼ばれる都市にある。

 そこは、夜でも松明やろうそくがあり、たき火をする人がいる。

 いつでも明るく熱い街、ということである。


 イグニセイアの家は、大したものではない。

 ガドウォルド有数の金持ちでありながら、決して飾ってはいない。

 ヴォルティアがノックしたら出てきたが、別に荘厳な衣装をまとっているわけではなかった。

 しかし、性格はどうかというと、高慢で、自意識過剰であった。

 イグニセイアは、昔、フメンウォルド(=地球)における、”太平洋戦争”という戦争で、アメリカとかいう国の軍に交ざったことがある。

 それがばれて、レジアスに追放されてしまったのだ。

 しかし、最近、あらゆる次元との戦いが迫っている。

 前、ストラウォルドとグリンウォルドが戦争した。

 ならいずれは、ガドウォルドも、どこかと戦争することになる。

 だからこそ、レジアスはイグニセイアを引き戻したいのだ。


 イグニセイアは、ヴォルティアに、武勇伝を延々と聞かせた。

 ヴォルティアとしては、早く本題に入りたかったし、しかも出された酒や茶がまずいので、早く帰りたかった。

 しかし、図らずもイグニセイアはヴォルティアよりも権力があった。

 ヴォルティアは、目上の神に向かって、「早く本題に入らせろ」とか、「帰りたい」というほど、愚かではない。

 イグニセイアの家は、見たことがないものでいっぱいだった。

 多分、フメンウォルドのものだろう。イグニセイアは、フメンウォルドが好きだったはずだ。

 読者にはわかるはずだが(ヴォルティアにはわからない)、テレビ、ラジオ、パソコン、車、自転車、バイクなどが置いてある。

 ヴォルティアは気になってしょうがないので、一通り話してから、謎の機械で黒い液体(=コーヒー)を作っているイグニセイアに訊いた。

「イグニセイア様、こちらにある不可思議なものはなんでしょう?」

 イグニセイアは答える。

「ああ、それか? まずそれはテレビ。いろいろな映像を映せるものだ。もちろんここでは映らんが。あれは、なんか電波とかいうものを飛ばしてるから、別次元には飛ばないんだ。で、それがラジオ……」

 と、3分ほどしゃべったが、ヴォルティアは、実に熱心に聞いていた。

「……で、ほかにもいろいろ。フメンウォルドは面白い。ここよりはるかに発達している。もちろん、ここにいるものより力は劣るが。でも我々より頭脳は素晴らしい。何かを楽しもうとする心意気もな。ついでに、マシンガンとかもあった。いちいち魔法を放つのではなく、もともと”弾”という固形のものがあって、それを連続で撃つんだ。あれはすごかったよ」

 ヴォルティアは、やっと話が終わると、椅子の背もたれにもたれた。

 そして、また訊いた。

「イグニセイア様、先ほどの機械と、黒い液体はなんでしょうか?」

 イグニセイアは答える。

「液体はコーヒーと呼ばれる飲み物だ。機械は、コーヒーを入れるものだよ」

 ヴォルティアは感心した。

「で、何の用なんだ?」

 イグニセイアが訊く。やっと本題に入れると、ヴォルティアはまくしたてた。

「いや、イグニセイア様、現在、あらゆる次元で戦争が起こっておりまして。フメンウォルドの者が発見した神々は、もう戦争していませんが、我々もいつか戦争を始めることになると。そこで、レジアス王はあなたを追放なさいましたが、もう一度戦力として呼び戻したいとのことです」

 イグニセイアは笑って、

「冗談だろ?」

 と訊いた。

「俺はガドウォルドのために戦ったりしない。俺は、フメンウォルドも好きだし、ガドウォルドも他の次元も好きだ。だから、あくまで傍観者でいたいんだ」

 ヴォルティアは説得する。

「いや、あなたは素晴らしい戦力です。現在、グロウシャスが失踪しました(この時、イグニセイアは「ウソだろ?」とつぶやいた)し、戦力不足です。あなたの力が必要なのです」

 イグニセイアは、

「だから嫌だ。俺は傍観者でいたい。この手で、自分の愛するものを滅ぼすなんて俺にはできない」

 ヴォルティアはがんばっている。

「ですが、故郷であるこのガドウォルドが滅んでもよいのですか!」

 イグニセイアは怒った。

「だから何度言ったらわかる! 俺は傍観者でいたい! 確かに自分の愛するものが滅ぶのは辛いが、どうせそうなるなら、自分の手で滅ぼそうなどとは思わない! 始まりから終わりを見ていたいのだ! いいか、レジアスに伝えておけ、俺は決してお前らの味方になろうなどとは思わない。俺は誰の味方でもない。単純な傍観者だ! 帰ってくれ!」

 ヴォルティアは、炎に巻き上げられて、開いた窓から飛び出した。

「二度と来ないでくれ!」

 イグニセイアはそう叫び、窓を閉めた。

 ヴォルティアは、仕方なく立ち上がり、歩き始めた。

 そして、数メートル歩いたのち、彼は、空高く飛び上がり、宮殿のほうへ飛んで行った。

 登場しましたが、大した神ではないです。

 今度イグニセイアがどうなるか、お楽しみに。

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