「taxi」
張りつめた状況でも一歩もひかない美優夢
午後の静かなカフェに緊張が走る
「あんたさ! 確かに私達がうるさかったかもしれないけど
その態度は何なの? あんた男でしょ?
悩んでいる位だったら行動してみればいいじゃない!!!!
行動に移してこそ初めて悪い所がわかる そしてそれを自分で
解決し正していく・・それが男ってもんじゃないの?」
男の眼を真っ直ぐにみて話しを続ける
「それなのにあんたは何?考え事してるって?
考えてもわからないのに考えて行動しないからそんなにイライラ
するんだよ!それに八つ当りまでしちゃってさ
男としての価値を疑うよ!!!!」
最後まで眼をそらす事なく美優夢は言い放つ
すると男はしっかりと見られた美優夢の眼を見る事ができない
それでも男は眼をそらしながら
「いったいお前は何なんだよ?偉そうに言いやがって!!」
再び凄んで美優夢に言う
「あんたさ 今眼をそらしていったでしょ?人はね
やましい事がなければ真っ直ぐに眼を見て話すもんなんだよ!
そうやって眼をそらしたって事は図星なんでしょ?そうやって眼を
そらしながら凄まれても全然怖くなんかないんだよ」
そう美優夢が言った後
タオルを取りに行った達矢が二人の横で呆然と立ち竦む
依里加に
「ほら 依里加タオル タオル取って来たよ」
そう言って依里加にタオルを渡す
依里加はそれでようやく我にかえり
「お お姉ちゃん一体何言ってるの? お客様本当に申し訳
ありませんでした」
そう言ってタオルで水で濡れた男のスーツを拭こうとすると
男は依里加の手を振り払って
テーブルを激しく叩き
「バン!!!!!!」
「もういい!こんなに不愉快な思いをしたのは初めてだ帰る!!」
男はそう言い放つと
出口へと向かった
「お客様お待ちください本当に本当に申し訳ありませんでした」
その必死な依里加の声も届かず
カラン カラン バタン!!!
男は激しくドアを閉め出て行ってしまった
「お待ちください!!」
男の後を追い
達矢と依里加も慌てて外にでる
それから数分後・・・
カラン カラン
「ハァ・・・」
大きなため息をつきながら二人が戻って来た
そして依里加は
美優夢に向かって
「もう!お姉ちゃん何てことするんだよ!!
さっきのお客さんものすごく怒ってて私達が必死で謝っても
聞いてもらえなくてそのままタクシーに乗って行っちゃたよ!!」
そう言って呆れた眼差しで美優夢を見つめる・・・・
(続く)
次回第6話「ticket」ですwお楽しみに♪