「water」
ほのぼのとした雰囲気が一変し張りつめた緊張がはしる
バン!!!!
和やかな3人の雰囲気を切り裂くように
激しい音が鳴り響いた
すると先程入って来た男性客が憤慨した表情で
こちらを睨みながら
「すいませんが 少し静かにしてもらえませんか?
考え事してるんですよ私は・・・・それに客が来ているのに
いらっしゃいませの一言もお冷も持ってこない何て言う失礼なお店ですか?
ここのお店は・・・」
その言葉を聞いた依里加と達矢は慌てて
「大変申し訳ありませんでしたお客様 すぐにお冷をお持ちしますので」
男性客に頭を下げながらそう言うと
急いで厨房の中に入っていった
「わかればいいんですよ わかれば」
ボソボソとそう男性客は言うと
再び席に着き窓の外を見つめた
この男性客
スーツ姿ではあるがネクタイは着用しておらず
シャツははだけ
その胸には輝きを放つネックレス
そしてその繊細な顔立ちからは一般的なサラリーマンとは違った
雰囲気を漂わせ
何かうまくいかない事でもあるのだろうか苛立ちを隠せない表情で
窓の外を見つめ煙草を吹かしている
男は煙草を揉み消すと
テーブルを叩きながら
「バン バン バン」
「ちょっとまだですか?私だって暇じゃないんですよ」
そうやって怒り口調で厨房に叫ぶ
その言葉を聞いた依里加は
「はい 大変すいませんお客様 すぐに持って参りますので」
慌ててメニューを手に取り
男性客のもとへ行こうとすると
先程まで黙って座っていた美優夢が徐に立ち上がり依里加の持つ
水の入ったコップを取り上げた
「依里加お姉ちゃんに貸しな!」
そう一言いって男性客のもとへ向かう
「ちょっとお姉ちゃん」
依里加は慌てて美優夢を止めようとするが
エプロンがテーブルに引っかかって動けない
「お姉ちゃんてば!!」
そう叫ぶも美優夢にその声は届いていない
ツカ ツカ ツカ
「遅かったじゃないか!いつまで待たせるんだよ全く」
そう男性客が美優夢に向かって言うと
バシャ!!!
「お待たせしましたお客様 ゆっくりお飲みくださいね」
そういって男性客の頭に持っていた水を零した
達矢と依里加は驚き
「!!!!お姉ちゃん」
「お姉さん」
二人同時に叫び
「お姉ちゃん何やってるの?お客様だよ
なんてことするの?本当にすいませんお客様
たっちゃんタオル持ってきて」
依里加はそう達矢に指示すると
男性客のもとへ向かう
「いったいなんなんだよ お前!!」
男性客は怒りに溢れた表情で美優夢を睨みつける
美優夢はそれに臆することなく男の眼を見てこう言った・・・・
(続く)
次回「taxi」ですwおたのしみにw