悪に走った悪役令嬢の話
あれは・・・婚約破棄をされ。処刑される時の事だった。
陛下は男爵令嬢を将来の王妃に、私を即妃にすると宣言した。
何故なら、王太子と関係し男爵令嬢は既に身ごもっていたからだ。
お父様、一族は憤慨し。王に抗議をしたが、一族はことごとく誅殺された。
私は火山の火口に連れて行かれた・・・・
溶岩の中に飛び込ませ。肉体を滅し。二度と転生もさせないとの処置らしい。
「元公爵令嬢エスメラルダ、謀反人の娘よ。最期に何か言うことはないか?」
私は縛られ抵抗する術はない。
「・・・・はい、女神でも魔神でも悪魔でも良いですわ。私の命を差し上げます。どうかなすべき事をなさせて下さいませ」
「浅ましや。殿下に命乞いをすれば、この状況は脱し得たかも知れないのに」
「女はこの方が可愛いのだ」
火山に落とされると目をつむったら。騎士達が騒ぎ始めた。
「うわ。何だ!光だ!」
「化け物か!」
目をつむってみても分かる。
辺り一面が昼間のように明るくなっているわ。
そして、声が聞こえた。
‘’エスメラルダよ。命を差し出すと言うのは本当か?’’
女の声だ。若いのか老女なのか分からない。
私は心の中で返事をした。
はい、左様でございます。私にはお父様に命じられた役目がございます
なら、叶えて進ぜよう。
☆☆☆12年後
「エスメラルダという悪女は王太子であった私に意見ばかりしていたのだ。最期は謎の爆発が起きて騎士達と共に死んだ。悲惨な最期だった」
「はい、お父様ぁ~」
「うむ。クリス、女はこれぐらいが可愛いのだ」
何の因果か。私はこの男の娘として生まれた。
男爵令嬢、現王妃との仲は良くない。
何故なら、私が仕込んだからだ。
『・・・お父様~。お母様が男の人と寝室から出てきましたわ~』
『何?』
『でも、絶対に話してはいけないと言われたの~。お父様を裏切りたくなくて・・グスン』
嘘も100回言うと本当になると言うが。
しかし、あの女浮気性だったのが幸いした。
めでたく別居と相成った。
兄はおだてまくった。
「お兄様は王太子ですぅ~。特別なのですわ。なのに、使用人達が侮っているのを聞いてしましましたぁ~」
「何?」
「もっと、将軍のように威張っても良いと思いますわ~、将軍は平民の出なのに威張り散らしていますぅ~。不公平ですわ」
私はこの男の血筋を残したくない。
散々、お兄様を甘やかし。お父様に酒を勧め。政務を私が見るまでになった。
と言ってもゴーレムのように印璽を押す係だ。
「王女殿下、決済をお願いします」
「はぁ~い。ここね。私、政治出来るでしょう」
勉強は二回目だ。
学業は優秀だが隠した。
「お兄様、この文字の意味を教えて下さらない」
「クリスは・・馬鹿だな。これは・・えっと、こうさ・・・ってほら、交差点だよ」
「すご~い、お兄様」
兄上は良い具合に仕上がった。
考査と交差の区別が付かない。
頃合いか?
16歳の時に仕掛けた。
頭の軽そうな。今世の母上に似た女を用意した。どこの馬の骨とも分からない元貴族令嬢の娼婦だ。
「初めまして・・私、ソリアと申します」
「おお、可愛いな。ミリンダとは大違いだ」
この国は男爵令嬢ですら身ごもったら王妃になれたのだ。
お兄様もその気だ。
お父様は酒浸り。お母様は社交界に出て浮気ばかり。
お兄様は婚約者をないがしろにする。
そして、遂にお兄様は婚約破棄をした。
その後は・・・
私が女王になった。
理由は、馬鹿だからだ。操作しやすい。
群臣どもは侮った。
「ああ、クリスティーナ様は学園の成績は下から数えた方が早い」
「いや、最下位だそうだ」
「仕方ない。他の王族はあれだもの」
私は玉座に座り宣言した。
「皆様、王配が決まっておりませんわぁ。王都に住んで頂ける家門の方を王配に選びますわぁ~」
野心のある貴族たちは王都に移住した。
私はのらりくらりと躱し続けた。
「是非、我が息子を王配に」
「でも~、身長がもう少しあった方が」
あの女の容姿を受け継いだ私は可愛い。
多くの貴族が王都に移住したが・・・領地経営がおろそかになる。
借金を抱える貴族が続出した。
「えへ、もう少し待って下さい。よく考えたいのですぅ~」
良い頃合いか。
「騎士様たち。領地経営をおろそかにする貴族をやってつけて下さい・・」
「陛下・・・それは」
「グスン、グスン、私は女王なのよ!」
粛清をした。
私兵を領地に置いている貴族など怖くない。
すぐに気づかれたか?
「もしや、王直轄地を広げるために・・」
「王都脱出だ!」
しかし、許可のない移住は厳禁とした。
「グスン、グスン、私が嫌いで逃げだしたのね」
「そのような事は決してありません」
「殺して下さい」
大勢の群臣達を粛清した。
王都に残った貴族たちは王宮に住まわせた。仕事をさせるのだ。
「年金をあげるから、仕事頑張ってくださいぁい」
「ヒィ、お慈悲にすがらせて下さい」
と言っても私は長生きするつもりはない。つまり嘘だ。
貴族を監視する。
この時から私は素に戻った。
「開拓案をあげなさい。畑がないから民は暴動を起すのです。屯田制を作ります。大臣達、一日で計画を立てなさい」
「ヒィ、せめて、三日・・」
「殺せ!」
「面倒な仕事は民に任せなさい。役所を廃止します」
「それじゃ、私らは路頭に迷います」
「迷えば良いじゃない。役所多すぎだわ」
貴族たちが減ったから仕事を民に丸投げした。
殺し。騙しまくった。貴族はいくら死んでも構わない。
時々、前世のお父様の言いつけが頭に浮かぶ。
私は25歳になった。
父は酒浸りでお兄様は貴族牢だ。母は離宮だ。
復讐?そんなものつまらない。私がやりたいこと。なすべきことは・・・
「女王陛下、サウス王国が攻めて来ました」
「ほお、頃合いか」
何でも今生の兄上の元婚約者が隣国に赴き反乱の旗印になったようだ。
騎士達は奮戦したが・・・・
「もう、良い。妾は前線に出るぞ」
「陛下・・・」
「お考え直しを。遷都しましょう」
「貴族どもを殺しまくったのだ。もう、逃げる場所もないぞえ」
・・・・・・・・・・・・・・・
騎士達は全滅した。妾は捕まった。それで良い。あの時の騎士の末裔だ。
「暴虐クリチィーナよ。最期に何か言うことはあるか?」
ほお、これがミリンダの夫か。真面目の前に馬鹿が付くタイプだ。
「ふむ。王城に入ったのなら、まず。やることは三つある。
まず一つ。王族たちを殺せ」
「当たり前だ!」
「次に、屯田兵に田畑の所有権を認める宣言を出せ」
「屯田兵?何だそれは?」
「殿下、平民兵の事です。何故かこの女は動員令を出しませんでした」
「既得権益を握った者は平民でも手ごわいぞ」
「黙れ!」
「平民の多くに国家の事業を下請けさせた。もう、この国の王は飾りでしかない」
「私は私欲で王になりたいのではないぞ」
「王に、私欲も公もない。王とはそういう者だ」
「戯言を・・・」
「三つ・・・・」
妾は三つ目を言おうとしたら、胸を刺された。
「ウグ・・・、それで良い・・・もう、一度、民の力に・・・」
前世のお父様の声が浮かぶ。
王国に謀反の疑いをかけられた時。我が一族は抵抗しなかった。
お父様の言葉だ。
『戦争を起したら民に迷惑がかかる・・・裁判で謀反の意思がないことを証明する!』
三つ目は、民に迷惑をかけるな・・・だ。
お父様はいつも民に迷惑をかけるなと口癖のように言っていた。
それが私の目標になった。だからあの男の婚約者にもなったのだ。
意識が無くなった。あの時の声は何だったのだろう。
悪魔だろうと思っていたが。
意識が戻った。
天界にいた。ここは天界の宮殿か?
砂漠の民の服を着ている女がいる。金髪だが肌が黒い。目は碧眼だ。女神像とはほど遠い。
女は話しかける。
「クリスチィーナ、約定どおり働いてもらうぞ」
「・・・女神様?」
「そうじゃ。私は人族の神、全人族の特徴を持っておるぞ」
あのときの声は女神じゃったのか。
救われない。
「そなたは使徒になるのだ」
このような心根の私に愛を説けというのか・・・これも罰なのだろう。
まあ、致し方ない。
だいたい愛をとく奴はこんな私のような腹黒に違いない。
愛も人族が生き延びる手段にしか過ぎないのだ。
最後までお読み頂き有難うございました。




