オルメニア皇国④
バルガスと健人の間にある机に準備された魔機具に向かい立ち尽くす。そして、目の前に置かれた水晶に手を翳す様に指示されたので言われるがまま手を翳す。
スっ
ポワーン
水晶が少しだけ光り反応を示す。本来ならこの水晶からカードが浮かび上がってくるらしいが健人には魔力がない為発行されない。
「よし、先ずはこれで大丈夫だな!後は、コイツを使って...」
水晶の反応と共に起動した仰々しい魔機具にバルガスが魔力を少し注ぎ込む。その魔力を媒介としギルドカードを発行すると同時に隠蔽魔法を発動する。
ゴゴゴゴゴ
歯車が噛み合う様な音がし始めると光を放つ。バルガスが隠蔽魔法を使える訳ではなく魔機具の方に隠蔽魔法が付与されていて所有者の魔力を媒介に発動する仕組みになっている。これは皇族や王族といった身分を隠す人達の為に作られた物で基本的にどのギルドにも置いてあり使用するにはギルドマスターの魔力が無ければならない。
「こいつを使う事は滅多にねぇーからな。っとこれで大丈夫だな...よし!発行されたぞ!これがケントのギルドカードだ!」
徐ろに手を差し出すバルガスはカードの様な物を手にしていた。大きさで言えば免許証やクレジットカード位でその名の通りギルドカードである。
「コイツがあれば色々出来るからな、冒険者を狙った山賊や盗賊が後を絶たねぇんだ。呉々も紛失・盗難には注意するように!」
「ま、まじか...。分かりました、注意します」
差し出されたカードを手に取る。硬さや重さ等を手触りで確認しつつゆっくりと曲げたりしてみる。が、曲げる事は出来ず撓る気配する感じない。
「硬った!凄いですねこれ!」
「あぁ、特殊な素材と魔法で出来てるからな!まぁ、そんな易々と折れたりする方が困るだろ?」
「たしかに(笑)」
「あ、てか忘れてたぜ。」
「???」
「ケント、冒険者になるには一応試験があるんだ。筆記と実技の2項目あるんだが筆記は免除にしておく。が、実技はそうはいかねぇ。命が掛かる仕事だしな。モンスター、時には人間と戦わなきゃならねぇ。さっきも言ったがギルドカード目的で狙ってくる奴らは山のようにいる。特に冒険者になりたてのルーキーはソイツらにとって格好の的だ。そこで、実技試験を取り入れてある程度の実力を見る事にしたんだ。中には武器に触れた事のねぇ奴も居るしそんな奴らにはギルドが見合った仕事を斡旋したり実践訓練なんかもしてる。まぁそんな構えなくてもこの試験でギルドカードが剥奪されたりする事はねぇから安心しろ!それにお前の事は伏せとかなきゃいけねぇし俺が試験官を務める!」
「なるほど。仕事の斡旋や訓練までしてくれるなんてギルドって凄いですね!それに、いいんですか?筆記免除なんて...」
「この世界の知識がねぇお前に筆記試験しろちゅう方が無理難題だろ?大丈夫!そこら辺もある程度はこっちで教えてやるから」
「何から何まで、、、なんと言う高待遇!まさにホワイト!」
「それじゃ早速、実技試験だ!いくぞケント!」
「はい!分かりました!」
~演習場~
「ここは俺らギルドで保有している特別演習場だ!ここなら思う存分力を発揮できる!さぁ、どっからでもかかってこい!」
連れて来られたのはギルドの地下にある特別演習場という場所だった。ギルドの作りは一階が受付と酒場になっており冒険者が飲み食いしたり依頼を受注したりしている。そして二階部分にギルドマスターの部屋や執務室が存在する。
地下に行くには二階にある開かずの部屋を通らなければならない。これは、ギルドカードを作った魔機具と同様ギルドマスターの魔力が無ければ入る事ができない。
そして現在、広い演習場にたった二人だけ佇むその姿は少し寂しく感じられる。が、人目を気にせず心置き無く戦える事は健人にとっても好都合であった。
「それなら、遠慮なくいかせてもらいます!!!」
右手に突如現れる槍を片手に強く握りそのまま突っ込んでいく。その一閃は地を抉り衝撃が目に見えて纏わりつく。
スバッッッン!!!
「(なんという威力!皇様の手紙に書いてあった魔槍ってのは本当みたいだな、まさにトンチキ!だが、)」
バルガスはサーベル状の片手剣を構え健人の突きに対して迎え撃つと威力を各方向に分散させ逆に自分の迎撃の威力はバルガスを中心に槍の先端へと収束・発散される。
バッチィィィ!!!
轟音と共に雷が落ちたような衝撃が走る。稲妻が何本も二人の周りを走り土煙があがり二人の姿を隠す。
「(この感覚!硬っい何かに阻まれてる!嘘だろ?ある程度は手加減したけど...)」
「手加減なんて俺相手には!!!」
そう言うとバルガスに跳ね返えされ後ろへと後退させられる。
「マジかよ、うんともすんとも...」
「そんな腑抜けた攻撃じゃあ合格は出せねぇ〜な〜」
土煙が晴れていき余裕な表情をしているバルガスが剣をパンパンと逆手に当てて音を鳴らす、
「今回は試験だからな!こっちからは攻撃しない。どんどんかかってこい!」
「それなら!!」
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健人の実技試験はこの後二時間程続き、長時間の実技試験は異例とし暫くの間色々な噂がチラホラ聞こえてきたそうな




