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オルメニアに向けて⑳

「ではケント様。ジュビアナ様とルシエラ様をよろしくお願い致します。それと....また、お会い出来ますわよね?」


街の城門前で別れの挨拶をする。顔は凛としているが少し淋しそうにしているのが分かる。健人は近付き抱擁を促すと暖かく二人で抱き合った。


「シャオンさんもヴェマリナ様をよろしくお願いしますね」


「敬語はよしてくれ、慣れてねぇんだ。シャオンでいい、それと任せな!王女様は何があっても守るからさ」


ヴェマリナと離れシャオンの方に向き直り改めてお願いをする。奴隷契約で無理矢理、命令を効いていたシャオンはすっかり自由の身になりヴェマリナを警護しながらルイスイスを監視出来るのは彼女にとっても好都合だった。


「ヴェマリナ様、では参ります...帝国での数々のご厚意誠にありがとうございました。このご恩は何れ...」


「お元気で...」


「はい、ジュビアナ様、ルシエラ様。またお会いしましょう!お元気で!」


全員で別れの挨拶をし、馬車に乗り込み出発する。段々と遠くなる歌の街ラーララとヴェマリナ、シャオン。二人は馬車が見えなくなるまで見送るのを辞めなかった。健人たちも街が見えなくなるまでは余韻に浸るのだった。



「何だか、静かになった気がいたしますね」


「そうですね、ここまでは凄く賑やかでしたから」


「なんだ、一人居なくなったくらいで辛気臭いな!二度と会えなくなる訳でもあるまいし」


ヴ二トラの一言に あはは っと苦笑いを浮かべるアミットとミティーネはヴ二トラと横並びに座っている。その向かい側に健人、ジュビアナ、ルシエラが健人を挟みこむ形で腕を組み座っている。今までならそれに加えて健人の上にヴェマリナが乗っかっていたのだが、それも無くなってしまえば少し物足りなさを感じる。


「ヴェマリナ様はお強い方ですから...それにシャオン様も付いてくれてますし...私達は国に帰ることを第一としましょう」


王妃ジュビアナはこの中でもヴ二トラを除き一番の年長者である。言動や行動から少し子供っぽい所があるがそれは健人達の前、もっといえば気が緩んでいるからこその態度であり本来ならその振る舞いは健人達が初めて馬車で出会った時の物が正しい。母性ともいえる優しい声は馬車内の空気を安心に変えるのには十分だった。


「はい!オルメニアまで、しっかりと責任を持って俺達が送り届けますよ」


「あらケント様、責任だなんて...よろしいのですか?」


「ちょ、ちょっとルシエラ様....揶揄うのは辞めてください...ハハハッ」


乾いた笑顔をで対応するがいつもの調子に戻った事を今は嬉しく思う。揺られる馬車に乗ってどれくらい月日が経っただろうか?そう考えながら外の風景を見渡す。気が付けばずっと馬車に乗っている気もするが行く街行く街で一つ一つ思い出が出来ていくのは全くもって悪くない。寧ろこれが望んでいた世界を旅するという事なのでは?と健人は思いを馳せる。この世界に来て厄災やら何やら色々問題は起こっているが順調な異世界生活を送れている気がしていた。


「でも、私達の今までじゃこんなの想像もできなかったよね?ミティ」


「あぁ、二人で冒険者をしていた時も悪くなかっが...今の方がずっと楽しいな!厄災に魔剣、ダンジョン踏破をしたと思えば一国を救う英雄...そして帝国から皇国までの馬車旅、まぁ護衛だが...それでも、私は本当に楽しい!ありがとうケント!ケントに出会ってから全てが新鮮だ!」


「うんうん!ホントにホントに!!ありがとう!」


「な、なんだよ急に二人とも....俺の方こそ感謝してるよ。この世界に来て分からない事だらけだったし冒険者になって不安が無いとも言えなかったし...二人のお陰で良い旅、異世界生活が出来てると思う。ありがとう!」


妙な空気が流れ少し恥ずかしくなる。照れるのを隠す様に本音で感謝の言葉を伝えて見るがヴ二トラや両隣の女性陣がニヤニヤとしているのがどうも居心地が悪い。しかし、悪い気はしなかった。


「今日、明日くらいでそろそろ帝国領を抜けます。皆様、もう暫く馬車の旅を満喫して下さいませ。」


御者の人とも寝食を共にする機会が多くある程度は仲良くなっている。特にアミットは座っている席が御者から一番近く会話をする事が多い為よく話している。咄嗟の判断や緊急事態になった時は素早く行動をしてくれる。宿屋の手配もそうだが夕食の店等も諸々準備してくれる手際の良さは正直一家に一人欲しい人材だ。


「ファシュトリッシェ帝国...このまま長らく安寧が続きますように」


そう願いながら残りの道を進んでいく。新たな出会いに感謝しながらこの先の自分達の旅路が安心で光がある物になりますようにと健人は心の中で祈るのだった。


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