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オルメニアに向けて⑯〜歌姫ラーララ〜

続々とパーティー会場に入ってくる来賓客を眺めながら時間が来るのを待つ一行。急遽王族が来た事で屋敷内は一種のパニックに陥っていたらしいが健人たちには全く悟らせなかった。


挨拶に来る人達に対して今日は王族としてではなく個人的に楽しみ来ただけだと堅苦しい挨拶を全て断っていたヴェマリナとジュビアナ。本当の所はただ面倒なだけで肩肘を張らずリラックスして歌を聞きたいと思っていた。


「それにしても、急に来たのに態々個室が用意されてるなんて...」


「まぁ、貴族のお屋敷ですしね。帝国でも名家に数えられる家柄なんですわよ。」


「お客さんも沢山ですね!こんなにいっぱい、す、すごい!」


「な、なんだか...こっちまで緊張してくるな...」


「ミティーネさん、その気持ち分かりますよ。」


会場の雰囲気に燥いでいるアミットと強張った表情でタラリと額から汗を垂らすミティーネ。ルシエラも同様、少し場の空気に呑まれ緊張している様子だ。


「なんか、ドキドキしますね!楽しみだなぁ〜」


一方の健人は異世界の音楽ライブに胸を高鳴らしていた。緊張ではなく楽しみで仕方ないと言った様子は丸で子供みたいだった。


ガチャ


「これはこれはヴェマリナ様、まさかこの様な場所でお会い出来るなんて、これは最早運命のイタズラでしょうか?」


用意されていた待合室の扉が突如として開かれる。それと同時に入ってきた偉そうな態度の男は許可なくズカズカと待合室の中へと歩みをすすめヴェマリナに近付いてく。


「今日は個人的に楽しみたくご挨拶はお断りしていた筈ですが...貴方は...」


「お久しぶりでございます!私、デルサロス伯爵家が嫡男、ルイスイス・デスサロス、お会いしとうございました。」


ヴェマリナの言葉を遮るように挨拶をしたその男は堂々した態度で膝をつきヴェマリナの手を取ろうとするが


「貴方は......少しも無礼だとは思っていないですわね。無遠慮で...気安く触らないで頂けます?」


虫を見る様な目でルイスイスという男に視線を少しだけやる。思いもよらない拒絶にたじろい動揺しているが全く同情する気にはならない。寧ろ健人も滅茶苦茶失礼な奴が来たと思ったいた。しかし、あまりにも堂々とした態度からヴェマリナと仲が良いのかと考えたがそれは態度を見れば火を見るより明らかだ。


「取り敢えず、早く出て行ってください。貴方の気持ちに応える気も無ければ、これ以上他国の方々に帝国の恥を見せたくありませんので」


「なっ!ヴェマリナ様!!っち!おい貴様!いい度胸だな!」


ヴェマリナの言葉を聞き一瞬にして立ち上がると今にも触りそうな勢いだったので健人は間に入った。


「この私が誰かわかっているのか?私はデルサロス伯爵家が嫡男...「それがどうしたんですか?」


「は?」


健人の言葉に理解が追いつかず聞き直してしまうルイスイス。


「だから、それがどうしたんですか?伯爵がどうとか、王女様の前で身分とか家柄の事を出す時点で底がしれてるんですよ貴方の。しかも、挨拶は不要って言われてるのにノックもせず勝手に入ってきて....王女様の許可なく触れようとするなんて不敬罪で死刑ですよ?....ていうか殺すぞ?お前?」


健人は最後の方だけルイスイスにだけ聞こえる様に耳元で囁いた。それは、ルイスイスの傲慢で失礼な態度に腹が立ったからだ。折角の楽しかった気分が一瞬にして害された、そんな気持ちを感情のままぶつけたのだ。


「きっ、きさまっ!!誰に向かってそんな口を!!」


健人を突き放そうとするが壁の如く動くことはない。軈てルイスイスの声が部屋から漏れていたのか屋敷の護衛人とルイスイスの護衛人が部屋に入ってきたお陰で事なきを得た。だが、不満気に最後まで文句を垂れていたルイスイスは護衛達に連れられ部屋を退出していくが最後まで出ていくのは渋っていた。


「ケント様、大変お見苦しい所を...アノ者には然るべき対処を」


「いえ、気にしないでください。無礼は俺も一緒なので」


「ケント!!ちょーカッコよかったよ!!」


「ケントが居なければ私が斬り捨てていたぞ!」


真面目な表情を崩した健人は少し照れ気味で、場の空気は一瞬にして和んでいった。そこから屋敷の貴族本人が謝罪しに訪れルイスイスと名乗った男はそのまま帰らされたのだとか。



「皆様、大変長らくお待たせ致しました!我が街が誇る歌姫!ラーララの登場にございます!盛大な拍手でお出迎え下さい!」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチ


鳴り響く歓迎の嵐共に会場へと入ってくる歌姫は街と同じ名前を冠していた。その身に纏うオーラは王族にも匹敵する程上品かつ美しいものだった。健人はその歌姫ラーララに視線を奪われ気が付けば目が離せなくなっていた。



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