オルメニアに向けて⑦〜地下都市 ガイアナ〜
人の形と成ったドラゴンを抱え街道沿いを突っ切る様に走る健人。陽はすっかりくれていて月と星が夜を照らす。抱えている女性は息をしており何故だか安心して眠ったままだ。
「なんでこんなに気持ちよさそうに寝てるんだよ....それに焦げ臭さも無くなってきたし、心做しか傷も少なくなってるような?...」
戦いが終わってまだ間も無いが確かに傷は少なくなっていた。焦げた痕は段々と薄くなり爛れた皮膚は繋がり綺麗になっている。
「い、いったい何者なんだ?」
疑念を拭えぬまま街に連れて行ってもいいのかと悩む健人。襲ってきた理由が王女や自分に在るとすれば一緒に居るのは不味いともいえる。だが、傷だらけの人をあの場に置いいける程、非情になれない自分もいる。それを考えながら街へと向かう道中はあっという間に時が過ぎ去った。
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〜地下都市 ガイアナ〜
「ケント...そろそろ来ても良いと思うんだけど...」
「そうだな、む?アミットあれじゃないか?」
「あ、ホントだ!走って...きてるよね?」
街の入口付近で健人が来るのを待っていた一同。此処、地下都市ガイアナは地上の街殆どが張りぼてに近く建物は立っていても人は住んでいない。朝や昼は多少賑わっているがこの街の本領は地下に広がっている巨体都市でにある。
入口は複数個、地上に設置されているが一度地下へと入ってしまうと出会う事は中々難しい。それ程に広く混雑し入り組んでいる。そうならない為に地上で合流しようとヴェマリナが提案したのだ。
「ケント〜〜!!!ん?あれ?何か抱えてない?」
「ん、うむ。ひ、ひとか?」
アミットの声が聞こえ少し見えていた灯りがやはり街だったのかと再確認する健人。しかし、街と呼ぶにはあまりにも静かで暗い印象を持っていたがこの後合流したアミットによって理由を説明され納得した。
「そ、それで。あの空に見えてたでっかいのがこの人って事?」
「う、うん。なんか気付いたら人の形になってた...」
「それは連れてきても大丈夫だったのか?また襲ってくる可能性も...」
「そうなんだけど、置いていくのもなんだか忍びなくて...」
馬車の外で歩き乍会話する三人。街へと入り馬車を預けにいく。流石に地下にまでは連れて行けないので明日の出発まで預かってもらい健人たちは地下へと行く事にした。
「それじゃ、明日の朝ね。いってらっしゃい!」
馬車預りの店主に見送られそのまま地下へと続く扉へと入っていく。この店は複数個在る入口の一つを担っており馬車を預けそのまま地下都市へと行けるように配慮されている。扉を開けると何も無い空間が広がっており部屋の奥にもう一つの扉があるだけだ。
「地下都市...すっごい楽しみだね!」
「あぁ、噂でしか聞いた事がなかったが...まさか、この街がそうだったとは」
「ガイアナは他国でも有名ですからね!わたくしも久々に訪れましたわ!」
一様に皆テンションが上がっている。だが、テンションが上がっているのは間違いなくこの男だった。
「ち、ちかとし?この入口も秘密の入り口みたいやし.....おいおい、楽しみすぎるってやばばばば」
勢いよく奥の扉を開けると小さな部屋に動く階段があった。それは上りと下りに分かれており丸でエスカレーターみたいだ。健人はその光景に絶句し、逆に少しだけ冷静になった。
「エ、エスカレーター?」
「あらケント様、これは魔機具の一つ『ペリオロネーター』ですわ!正に魔法と技術の結晶、素晴らしいですわ!」
「うわぁ!凄い!階段がっ!階段が動いてるよ!」
「な、なんだか珍妙な光景だな、、、自分で歩いてこそ階段だというのに...」
「これは是非、皇国でも取り入れたい技術ですね....流石はファシュトリッシェ帝国、魔機具の技術も素晴らしいです!」
「ええ、ええ!ホントに素晴らしいです!」
多種多様の意見を述べつつ地下へと続く下りのペリオロネーターに乗り込んだ一同。先は長く街が広がっているとは到底思えない、そう考えていた矢先、視界から邪魔な物が消え景色が広がる。
「ここが、地下都市ガイアナでございますわ!」
「「「おぉぉぉぉ〜〜〜〜!!!!」」」
健人、アミット、ミティーネのの声が重なった。地上とは比べ程にならない程明るく広大に広がる地下都市。キラキラと煌めく灯火が宝石の様で街の全てが色めき地下という暗闇を一身に照らしあげる。
「ん....んん、、」
「あ、煩くしちゃったな...起きないかな...」
腕に感じていた重みを忘れ騒いでいたのを思い出す。少しだけ寝苦しいそうに身体の位置を整えると再び気持ちよさそうに寝息をたてる。
「本当に傷が治るんだね...」
「そうなんだよ...もう殆ど何も残ってないな」
「この女性がドラゴン...俄に信じ難いな」
身体に残っていた傷は殆ど無くなり身綺麗になってきた。何も着てなかったので健人の上着を上から掛けているが宿に着き次第誰かしらの衣服を着させようと言うことになり宿へと向かう。
「地下都市...満喫できそうにないなぁ〜、、、」
小声で悲しみ混じりに放った言葉は賑わう街の喧騒へと消えていくのだった。




