オルメニアに向けて④〜ユターニアの街 夜の一幕〜
食事を終えた健人達は満足気な顔で馬車へと乗り込んでいく。皆が食事をしている間に御者の人が宿を手配してくれたようで其方へと向かう。
「ジュビアナ様....美味しいお食事ありがとうございました。お代もお支払いしてもらって....」
「元々私が行きたかった所ですしお礼も兼ねております。まだまだこんなものでは労いきれませんよ?」
そうこう会話していると宿にはすぐ着いた。ユターニアの街は歓楽街といえどさほど大きくはなく都市とはいえない。だが、それ故に賑わいは凄まじく街全体が踊っている様、毎日がお祭り騒ぎで夜のユターニアは正に歓楽街。
そんな雰囲気から少し外れた路地明らかに怪しいが其処に案内され一同は一列に並び路地を通る。先頭は健人最後尾にアミットと万全を期し念の為警戒しつつ進んでいく。
「到着致しました。此方でゆっくりお休み下さいませ。」
路地の先は行き止まりで物凄く開けた場所になっていた。其処に待ち構える大きな建物は丸で健人の居た世界のホテル見たいだ。既に入口前から人が両脇に並んでおり道を作っている。
「いらっしゃいませ。」
「「「「「いらっしゃいませ!」」」」
見るからにお偉いさんな執事の格好をした男が声と共にお辞儀するとそれに続くように両端の人達もお辞儀をする。
「す、、すご。もう、ホテルだろこれ」
HOTELと何処かに書いていても可笑しくない程の外観。それに加え最高品質なおもてなしを宿に入る前から既にされている。人の道を通ると飲み物やらなんやら色々と出てくるのだ。
「ふふふっ。これくらいしか私達にはできませんから。責めて旅の間の衣食住は私達にお任せ下さい。」
ジュビアナが優しく微笑みかける。思わずそれに見蕩れてしまい固まってしまうがそれに気が付いたのかジュビアナも少し恥ずかしいそうにする。
「はっ!すいません...」
「お母様ったら!抜け駆けですか!ダメですよっ!」
「い、いえ健人様。ルシエラ、貴方は黙っていなさい」
そのままチェクインを滞りなく進めそれぞれの部屋へと案内される、筈だったのだが。何故か全員が同じ部屋に通されたのだ。
「え?流石にこれは...」
「そうですよ!私とミティの時間なのに〜!」
「その通りです!」
と三者二様な意見を述べていたのだが生憎人気名店で厄災後に帝国国内の貴族やお金持ちがこぞって来店しているそうで宿泊する事自体本当は難しいらしい。しかもユターニア自体も人気で街も広く無い為他の宿も殆ど埋まっていて全員同じ部屋にしないと宿泊できないという。
「....まぁ一緒なら」「....まぁ一緒なら」
とアミットとミティーネが了承した為に健人は問答無用で同室を止む無くされる。この時の多数決を決して忘れないと彼は後にそう語った。
「(あんなに多数決をゴリゴリに押してくると思わなかった...。別に皆がいいならいいけんだけど..王族と同室ってなに?そんなん大丈夫なの?)」
六人で泊まるにも大き過ぎるその部屋は超ド級のビック太客でないと決して宿泊する事はできない。他国の皇族は勿論の事、帝国の王女となればこの部屋に宿泊するのも容易だ。
其処で一人悩み続ける男、天海健人。他の女性陣はお風呂や探検やと騒いで部屋を散策中。健人は柔らかく大きなソファに寝転がり今の状況について頭を悩ませていた。
「はぁ〜。まぁ、護衛?警護が役目だし...当然ちゃ当然だよな」
声に出しそう思い込もうと一人頷く健人。そこへトテトテと音を鳴らし乍忍び寄るひとつの影。
「ケ〜ント!!」
わぁ!と言わんばかりにソファの背もたれから顔覗かせる。目を瞑っていたし気配も感じていたので驚きはしなかったがその正体がアミットだと言う事には少し驚いた。
「どうしたの?疲れた?」
「まぁ、そう、かも?気疲れっていうのかな?そんな感じ」
「まぁ、ケントはな...しょうがない部分もあるが...私達にも構ってくれ...」
アミットの隣に自然にスっと来るミティーネに思わず上体を起こす健人。
「ミ、ミティ!そいうのはズルいぞっ!」
夜を共にしたあの日から部屋では物凄く積極的になったアミットとミティーネ。特にミティーネのデレ可愛さが健人に何故か刺さりまくりミティーネが可愛い事を言う度に健人が衝動的に抱き締める事が日常になりつつある。
「もう!またミティだけ!」
「あ、ごめんごめん。でも、今のはミティが悪いだろ」
「ま、まぁ。それもそうなんだけど.....」
何も言わなくなると黙って身体を預けてくるアミット。そのまま二人を抱き締めるとパッと離れ改めて座り直した。
何も言わず健人の両隣に座る二人を当然の如く向い入れる。
「こんな旅になるなんて思わなかったね」
「あぁ、ほんとだな」
「最初は空を飛ぶんだからどうなる事かと思ったぞ!それからずっと....ずっと.....うぅぅぅぅ」
高所恐怖症のミティーネにとって空の度は快適とはかけ離れたものだった。これにより更に高所恐怖症が酷くなっているのだが本人はまだ自覚していない。
「おぉ....お労しや.....」
健人はミティーネの頭を慰める様に撫でる。それが良かったのかだんだん落ち着いてくるミティーネ。
「あんな移動の仕方人には見せられないよね...」
「確かにな...槍にしがみついて飛ぶ人間が三人...面白いよなハハッ」
傍から見た時の事を想像して笑う三人。其処に探検を終えたヴェマリナが此方と近付いてくる。
「ケント様〜!!」
有無を言わさず健人の上へと座るヴェマリナ。「あー!」と少し怒りを顕にする両隣は直ぐに諦める。
「今日は流石にしないからね?」
ベットは大きなサイズが一つだけだったのでソフォで寝ようとしたが結局全員で寝る事になりある意味で一夜を共にしたのだった。




