表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/76

オルメニアに向けて②

帝都を出発して一週間。帝国に向かう際は空の旅になってしまった健人達にとって馬車での長旅はとても楽しい物になっていた。現在は帝国国内をオルメニア皇国に向けて移動中、魔物等も少なく安全な旅を満喫中だ。


「それでは参りましょう」


バシンッ!


ヒヒーン!!!


ジュビアナの一言で馬車が動きだし、昨日宿泊した街から再び街道へと歩みを進める。幸い馬車の車内は広く六人も居るのに手狭に感じない。


「ケント様、本日もよろしくお願い致します。」


「はい、こちらこそよろしくお願いします。そ...それよりジュビアナ様...」


「ん?どうされましたか?」


健人の右側に座り腕を掴み胸の谷間の中に収める。流石の健人も人妻で王妃である身分の人間に手を出す訳にはいかない抑えてはいるが悩める種はこれだけではない。


「ケント様の隣はなんだか安心しますわ」


健人の左側にはルシエラが陣取りジュビアナ同様に腕を抱え込む。密着した車内では少し暑ささえ感じるが汗ばんでもお構い無しに近付き離れようとしない。


「むぅ〜〜....。ジュビアナ様とルシエラ様ばっかりズルいです!」


「失礼ながらアミットに同じです!」


向かい側の席にはアミットとミティーネが不服そうな顔で座っている。


「その代わりお二人にはケント様と同じ部屋で泊まって頂いてるでしょ?私たちは抱かれない分これくらいわねぇ〜?」


「お母様の言う通りです!ヴェマリナ様までケント様の寵愛を受けていると聞きました...私としても吝かではないのですが...」


「いやいやいやいや、ヴェマリナ様も勿論のこと王族が軽々しくこんな男に抱かれたらダメだろ」


「こんな男なんてっ!貴方様はこの世界の英雄なんですよ?」


「それも...まぁ成り行きっていうか...偶々だし」


腕を組む力が少し強くなる。健人としても自身を卑下するつもりは無いが元居た世界でも特に恋人が作れた訳ではなかったので今こんなにも自分の周りに女性が集まってくるのが少し怖いと感じているのだ。それに、普通の凡人だったのが魔槍を手にして力を得て、ただそれだけなのに王族の女性となんて...そう考えてもいた。


「ケントはケントが思う以上にとっても魅力的だよ!!」


「あぁ、こんな一緒にいて心休まる男性ははじめてだ。」


アミットとミティーネが向かい側から声を掛ける。それが建前ではなく本音で言っている事が伝わるからこそ余計に嬉しくなる。


「二人ともありがとう...。ところでヴェマリナ様...そろそろ退いては下さらないですか?」


健人の上に向かい合う様に抱きつき座っているヴェマリナ。今の話を聞いて激しく頷き共感しているがその揺れがあまり宜しくない。


「ケント様!わたくしも構ってください!」


「いやいや...もぉ〜」


諦めて今日も馬車を揺られる。帝国を抜けるにはあと一週間程掛かりそこからオルメニアにむけて更に二週間。健人はこの先身が持たない事を確信しながらも今はただこの現状を楽しむ事にしたのだった。



〜ユターニアの街〜


日が暮れはじめた頃、丁度街が見えてきたと御者の人が教えてくれる。結局あの後三人に為す術なく同じ体勢のまま馬車に揺られ続けた健人はいつの間にか寝てしまっていた。護衛としては失格かもしれないがアミットとミティーネも居れば健人の第六感は寝ていても発揮される為に心配はなかった。


「ここは帝国でも歓楽街として有名なんですよ。夜食はお勧めがあるので其方に参りましょう!」


空気を察したアミットが御者に伝えそこへ向かってもらう。場所や店名が分からなくても大雑把な説明でも理解できる御者はこの仕事が長いのだろうかとアミットは感心していた。


「ジュビアナ王妃、個室のあるあの場所ですわね」


「はい!以前ヴェマリナ王女に教えて頂いた...。景色も良くて料理も絶品で私、虜になってしまいましたわ!」


興奮気味に大きな胸を健人の腕に押し付け乍熱弁する。どうやら王族関係者御用達の料亭らしく完全個室を完備している。


「皆様、そろそろ到着致します。ご用意を」


その一言を聞いてスっと立ち上がるアミットとミティーネ。しかし、ジュビアナ、ルシエラ、ヴェマリナは一切動こうとしない。ギリギリまでこの状態で居たいらしい。


「.....ほら、皆様着きましたよ」


馬車が段々と速度を緩めていき完全に止まると健人は三人に対して動く様に促した。


「ケント様ならこのままでも動けますでしょう?」


そう言ったのはジュビアナだった。


「ジュビアナ様.....分かりました。しっかり掴まっててくださいね」


健人がそう言うと谷間から腕を離し二人の体に手を伸ばした。片手で抱き込むように二人を抱え首の後ろに手を回して強く掴むようにヴェマリナに言いそのまま席から立ち上がる。


「よっと...。マジでこの身体イカれてんな」


軽々しく立ち上がる。最早人間離れしたその状況は提案したジュビアナ本人が一番引いており結局自分の足で立つことにした面々なのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ