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ファシュトリッシェ帝国⑥

ちゅんちゅんちゅん


「......ん..んん。ん?...うわぁ〜お」


朝方、鳥のさえずりと共に目を覚ました健人は荒れ乱れた惨状を見て昨晩の記憶を思い返していた。あの後四人で激しく乱れそのまま眠りこけてしまったらしい。


「ふっ...。まさか、こんな事になるなんて...。でもまぁ悪くないよな」


アミットとミティーネは兎も角ヴェマリナが居ることが一番の問題ともいえる。一国の王女にして皇帝陛下の実娘、いくら国を救ったからといって未婚の女性としかも複数で愛し合う等、そんな罪悪感が芽生えたのは目覚めてほんの一瞬だった。三人の寝顔を見ると愛おしい気持ちで溢れ他はどうでもよくなった。


「.....。もうちょい寝るか」


ボフッ


勢いよく枕に頭を沈めるとそのまま二度寝しようと試みる。しかし、その勢いが合図となり寝ていた三人が起きてしまい健人は眠れる訳もなく贅沢な朝を過ごした。



「ケント殿、娘が失礼した。迷惑をお掛けしてはいないだろうか?」


お昼前、陽が高くなりはじめた頃健人は皇帝陛下に呼ばれ私室にて談笑していた。


「あっ!い、いえ、、そんな事は...。」


「大丈夫、心配せんでも話は聞いておる。なにも結婚せいともいわんから気にするな」


「えっ!!いや、なんか申し訳ないです.....。」


激しく動揺するがこの話をする為に態々私室にしたのだろう。そう理解した健人は焦りよりも少しの罪悪感を感じた。しかも、今朝も四人でイチャイチャしていた為にどんな顔して皇帝陛下を見ればいいか分からなくなっていた。


「まぁでも、ああいう性格故...あんなにもはしゃいでいるのは幾久しく見てない。嬉しくなってしまうのも親心だ分かってくれ」


「そう言われると....。あれは素って捉えていいんですか?」


「あぁ、そう思ってくれ。なんならアレが素だ。」


「それなら...めっちゃカワイイ娘さんですね」


「ハッハッハ!正直だなケント殿は!....好きたぞケント殿の様な者は...。改めて本当にこの国を救ってくれてありがとう、全ての民に代わり礼を」


「いえ、俺は...あっ!そうだ!やばい!皇帝陛下!」


健人は忘れていた本来の目的を思い出す。オルメニア皇に頼まれていた王妃と王女の安否確認である。だが、それを察していたかのように健人を宥め着席させる皇帝陛下。


「オルメニア皇の使者なのだから王妃様と王女様の生存確認は勿論済ませておる。幸いにも逃亡手配は出来てた故いつでも逃げれたのだが....何度説得しても帰らないの一点張りで困ったものよ」


「え!それじゃあ!!」


「あぁ、この城におるぞ。なんなら昨日の宴会にも参加しておったが...まさか挨拶なかったのか?」


「は、はい。全く何も、、、」


「ハッハッハ!本当によく分からん御方だな!まぁよい、ケント殿...お二人の事よろしく頼むな。」


「帰りの話ですね...わかりました!責任をもって送り届けます!」


強く握手をした二人の間には何かが生まれる。皇帝陛下には健人が異世界から召喚された使い人である事が知られているものの其れとは関係なく一人の人間として認めた。正直でただ真っ直ぐ、二人の女性を侍らしているものの不誠実とは言えない態度に緊張気味にも強く丁寧な言葉。最初に会った時から皇帝陛下は健人の事を気に入っていたのだ。


「うむ、正直もう少し居てほしかったが...オルメニア皇も気が気でないだろうからな...帰りの準備は既にはじめておる昼食を終えた後出発できるだろう。」


「えっ!もうそんな段取りよく!なにから何まで、、、」


「ケント殿...貴殿は国を救ってくれたんだぞ?こんな事は些細の内にも入らん、寧ろ此方が押し付けているようなもの...後でしっかりとお礼をさせて貰う。」


「あ、はい!有難く頂戴致します!」


その後昼食を終えファシュトリッシェ皇帝陛下に褒賞という名の大金を三人で分け合い健人には『英雄』の称号が与えられた。これは公にはお披露目されてはいないが公式的な発表である。帝国内ではオルメニアから来訪した『英雄』が厄災の脅威を討ち滅ぼしたと報道された。


「ケント殿、アミット殿、ミティーネ殿。本当にありがとう!そしてお二人をよろしく頼む!」


王城の入口前、城門が閉ざされたこの場所は外からは見えない。既に馬車に乗っている王妃と王女だが健人たちはまだ一回も顔を見れていない。同室の馬車でオルメニア皇国まで帰る事になるらしいが馬車となると最悪の場合1ヶ月程かかのに大丈夫なのだろうかと心配になる。


「皇帝陛下、またゆっくり遊びに来ますね!」


「あぁ!いつでも歓迎するぞ!」


「ところでヴェマリナ様は?」


「それがずっと探しておるが見つからんのだ....」


「そうですか....」ジー


直感で馬車の方へ目を向ける。皇国の馬車であるから大きさには違和感を感じない。だが、健人の第六感は確実にヴェマリナの存在を感知していた。


「......。まぁいっか」


別れの挨拶を済ませ馬車の中へ乗り込むと本当にヴェマリナが居て飛び込んできた。それを抱えつつアミットとミティーネにも手を差し出し馬車の扉をしめる。ヴェマリナを座らせ視界が広がり改めて挨拶をする。


「お初にお目にかかります。天海健人と申します。この度はご無事で本当になによりです」


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