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ファシュトリッシェ帝国⑤

煌びやかな宴会場は夢にまで描いた景色だった。見た事のない机に並ぶ料理もまた豪華で目が引かれる。両手に花を持ち中央へ向かい歩いて行く。


「皆の者!!此度の厄災、我らが帝国の脅威を打ち払った『英雄』の登場だ!!」


元々集まっていた視線が一気に三人に集中する。立ち上がった皇帝陛下に同調するかの様に持っいたグラスを置き皆が陛下に体を向ける。


「ケント殿、此度は本当に助けられた。ありがとう。帝国全土に代わって私から礼を。そして、その仲間アミット殿、ミティーネ殿麗しき少女ながらガレリオの街では勇敢に戦ったと聞く。二人にも深き感謝をありがとう。今日は三人への感謝を込めた宴会だ、存分に楽しんでくれ!!!」


皇帝陛下の言葉が終わると拍車が空間を支配する。称賛の嵐で広間は揺れだいぶ恐縮してしまう。音が鳴り止むまで待ち大きく息を吸い言葉を発する。


「お言葉有り難き幸せ!!本日はお招き頂き光栄に存じます!!」


「そんな固くならなくてよい!ケント殿はこの国を救った英雄、本日は貴殿の為の宴会だ!肩肘張らず大いに楽しんでくれ!」


「はっ!ありがとうございます!」


「「ありがとうございます!!」」



張り詰めた緊張感が解け再び楽しい宴会が始まる。見た事ない美味しそうな料理を前に三人は手が止める事ができず黙々と食事を楽しんでいた。


「ダメだ!美味しすぎるどうしよ」


周囲の目を気にする事なくどんどん料理を口に運ぶ。三人で別々の料理を食べながらお互いに食べさし合うという何とも言えない光景。しかし、食べ方に下品さは無くハシタナイとも言えない。


「皆様は本当に仲がよろしんですね、お羨ましいですわ!」


その輪に最初に飛び込んできたのはヴェマリナだった。紅のドレスに黒を基調としたレースを羽織り妖艶さを演出している。


「これは、ヴェマリナ王女。ご機嫌麗しゅう」


「まぁ、そんな固くならないで下さい!どうぞわたくしにも素のケント様をお見せ下さいまし!」


背中に胸を押し当てて迫るヴェマリナ。困り顔で喉にご飯を詰まらせる健人は一旦手を止め飲み物で流し込む。


「ヴェマリナ嬢、ご飯中はちょっと///」


「あら、食事中で無ければよろしいので?」クスクス


「まぁ、それだけなら吝か(やぶさ)ではないですが...。」


「ゴホッン!ゴフッ!....ちょ、ちょっとケント!!」


「わ、私達では不満なのか?」


「えっ!ちょ、いや、二人とも〜勘弁してよぉ〜」


健人は形無しとばかりに狼狽えている。その光景を見て皇帝陛下も何故かご満悦。


「も、もぉ〜!ちょちょっとお花を摘みに行ってきます!」


その場から逃げる様にトイレへに向かう健人。扉の前にいた執事の人が案内してくれる。


「ふぅ〜〜」


用を足し手を洗い一息ついて広間へと帰る。少し落ち着きを取り戻せた健人はしっかりと服装を正し再び夜会へとはせ参じる。


「ケント様!!遅いですわ!わたくし待ちくたびれてしまいました!」


「ヴェマリナ嬢、お伝えするのが遅くなりましたが今日のお姿も大変お美しい御座います。」


「ちょ!!そんな、急に、ズルいですわ....」


ヴェマリナは攻めに弱かった。健人は一息ついた事で挨拶をしていなかった事を思い出し改めて挨拶しようと考えていた。それが丁度よく嵌った。


「さぁ、いきましょうヴェマリナ嬢」


腕を組み宴会場へと足を向ける。アミットとミティーネを探すが見当たらない。すると人集りが出来ているのを見つける。


「あ、ケント!!」


その中から割って出る様に駆け寄って来るアミットとミティーネ。健人が居なくなった事で我先にと挨拶に群がっていたらしい。


「ごめんごめん!もう大丈夫!ほら、挨拶行こ!」


食事に集中していた為挨拶も碌にしていなかった健人は今日の来賓者に改めて挨拶に赴いた。


「ご挨拶遅れて申し訳ございません」



「は゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛〜〜〜〜〜!!!」


王城の用意された部屋にて綺麗な服のまま寝具へと身を投げる健人。大きな溜息を吐くそれには疲れが伺える。


「疲れないのにめっちゃ疲れたな...。精神的にかな、、、」


あの後引っ張りだこにされた健人は宴会が終わる際の際まで問い詰められたり言い寄られてりしていた。


「・・・・。流石に着替えた方がいいよな。でも、だっっる〜〜い!!」


でしたら、わたくしがお脱がせ致しましょうか?


「!!!!!」


そう聞こえた気がした。声はしていないが何故か背中に悪寒を感じ飛び上がり周囲を見渡す。


「いや、流石に....。ねぇ??」


コンコンコン


「ひゃい!!」


驚き変な声を出す。それが応答したと受け取られそのまま扉は開かれる。


「ケ、ケント入るね!」


「や、やぁケント...」


ドレスを脱ぎ去った殆ど下着姿のアミットとミティーネが寝室に入ってくる。


「おいおいおい.....アカンだろアカンだろ」


いつになく激しく動揺する健人。それは、二人以外に入ってきたもう一人の所為である。


「ケント様...。今夜はお供させて下さいませ」


「わ、わぉ」


完全に虚をつかれた健人の抵抗は虚しくファシュトリッシェ帝国の夜は更けていく。後日、夜の王城で動物が鳴き叫んで煩いと少し問題になった。


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