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ガレリオ攻防戦

「ケント!!」


「おう!分かってる!」


連携がとれた動きで黒狼の群れを意図も容易くいなしてしまう。対して今回のベルディ・バウンドは人を喰らう事に異様な執着を見せ更には逃げ惑う人々を狙い追いかけているようにも感じた。目の前に居る三人を無視するように飛び走っていく黒狼を市民に追いつかせない為に確実な連携で対処する。


「よし...見えてきたな...」


数十匹いた黒狼の群れは残り数匹にまで数を減らす。終わりが見えてきた事で少し気が軽くなった矢先健人は嫌な予感を感じ取る。


そして次の瞬間残り数匹になった黒狼達の体が段々と二つに裂けていく。分裂し数を増やそうとする挙動にいち早く気付いた健人がゲイボルグを投げ飛ばす。だが、分裂を始めた黒狼達は魔槍を躱すように分裂していく。


「はぁ〜〜〜...そりゃぁぁ!!!!」


アミットの両腕に嵌められた魔篭手から大量の魔力が放出される。その勢いは推進力となり空気を叩き殴り真空波を生み出した。


ズドォォォァォ!!!!


アミットの攻撃により身体が半壊しドロドロとした黒い液体を垂れ流す黒狼達。だが、その身体はすぐに再生していく。液体が引っ付き水分が薄くなったようにサラサラと再構築していく体を気にも止めず此方に向かってくる。


「こいつ気持ち悪!!なんだよマジで!」


目に映るそれは明らかにダンジョンで遭遇したベルディ・バウンドとは異なっていた。それは、此度の厄災が原因になっている。今回ファシュトリッシェ帝国を襲った厄災は突如として都市の中央に現れた。其れは真っ黒い球体であった。その球体の影から溢れ出した凡百(あらゆる)種類の厄災は一晩もせずに帝大都市ルドニクスを滅ぼし各地の帝国都市村村を襲っている。


この球体が生み出した厄災の身体は球体の謎の物質で構成されており保つどころか今にも崩れそうになっている。なのにも関わらずハッキリと形造られた様に見えるその厄災達の姿は異質であり違和感を覚えざるおえない。


「跡形もなく消滅させるしかないしらしい...」


物騒ながらに的を得た事を言い放つミティーネ。その目論見通りこの厄災の攻略方法は直接武器で叩き完全に消滅させる事。これは健人達が魔を司る武器を持っているから成立しているが普通の武器なら全く歯が立たない。それは抵抗しようした住民達の惨い姿から想像する事ができた。


「一気にカタをつけよう!!!このまま市民を守りつつ戦ってたら他の街に間に合わない!」


健人が一気に走り出す。建物を利用し跳ねる様に飛び回るが早すぎて目で捉える事は出来ない。その間にアミットとミティーネは何かを思いついたらしくベルディ・バウンドに向けて背中を見せ走り始めた。


ダッダッダッダッダッ

ダッダッダッダッダッ


その瞬間ベルディ・バウンドの群れは一気にアミットとミティーネの背中を追い始める。走り出した黒狼達は段々と纏まりを見せ縦一直線の一列で並び走る。そしてその隙を見逃さない健人。


ズドォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!


地面を抉る程の衝撃がベルディ・バウンドを襲う。逆に一列に並んだ黒狼の背後を見逃す事なく確実に仕留める為に。アミットとミティーネの咄嗟の判断は一気に厄災を屠る作戦であった。その動きに一瞬、動揺したが黒狼達の動きを見て瞬時に理解し行動に移した。


「さっすが!!ケント!!


「あぁ!私達よりも身体に魔槍が絶対的に馴染んでいるな!私も早く使いこなせるようにならなければ」


何故か誇らしげな二人を見て気が緩む健人。笑みが零れいつもの三人の空気感が場を包む。駆け寄り無事を確かめ合うと拳を当て合い勝利を祝う。傍から見れば正に歴戦のパーティーに見えるであろう。それが厄災を屠ったとあれば尚更である。


「た....たす...かった?」


逃げ惑っていた人々や家の中に隠れていた人達が次々に外に出てくる。どうやら建物の中に避難していた人達は襲われず無事だったみたいだ。しかし、周りの建物や地面、美しかった筈の湖までもが血に染まり水上都市ガレリオは殆ど壊滅状態だった。せめてもの救いは建物が倒壊せずそのままの形を維持している事くらいである。


「取り敢えずは大丈夫だと思いますよ!この街に居る厄災は全て処理しました!」


健人が住民達に歩み寄り状況を説明する。それと同時に何が起こったのか事の顛末を聞いた。


「ルドニクスにて厄災が現れたという情報は帝国中に知れ渡っていると思いますじゃ...。しかし、都市より大きく離れた国境付近の都市や村村には通達が少し遅く、皆が厄災の存在に半信半疑になっている矢先....今日のような事態が...」


厄災の対処というのは基本的に存在しない。勿論、等級やその数にも左右されるが都滅級〜国滅級以上になると人間がどうにか出来る次元を軽く超えてくる。そして、数百年の空白期間。現代を生きる人々にとって厄災の存在は伝承やおとぎ話そのものであり国家の重要人物、重鎮達以外は厄災を軽視している傾向があった。その思想は官僚内にも広がりつつあり厄災に対する避難等の資金を出し渋る国まで出てきている始末。


「取り敢えず皆さんは何処か避難出来るところに...。また襲われないとも限らないですし」


健人は帝大都市ルドニクスにて出現した厄災が今回の元凶であり各地に散らばっているベルディ・バウンドの様な厄災はあくまで分裂体か何かなのではと考えていた。つまり、


「私達が元を断ちに行くんだね!!」


元気いっぱいに張り切るアミットが両手の拳をグッと握り気合いを入れ直す。頷き今後の行動を確定させる。


「な、なにか、、、お礼でも、、、」


未だに困惑と動揺が着せない住民達は健人達にも怯えているように見えた。街の兵士達が全く歯の立たなかった厄災の群れをたった三人の青年少女等があっさりと倒してしまっから。


「先を急ぎます!!!皆さん、どうかお気をつけて!!」


準備を整え息をつく暇も無く健人たち走り出し街の外へと向かう。次なる厄災に立ち向かう為に。


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